Project/Area Number |
21H01986
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 35010:Polymer chemistry-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松宮 由実 京都大学, 化学研究所, 准教授 (00378853)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 宏 京都大学, 化学研究所, 教授 (90167164)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥15,340,000 (Direct Cost: ¥11,800,000、Indirect Cost: ¥3,540,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
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Keywords | 会合性高分子 / 粘弾性 / 誘電緩和 / レオロジー / ダイナミクス |
Outline of Research at the Start |
本研究は, 会合性高分子のダイナミクスを記述する一般理論の構築と, その実験的検証を目的とする. 会合性高分子では, 高分子鎖自身の熱運動と会合/解離過程の競合が, 粘弾性緩和をはじめとする全ての動的過程を支配する. 解離平衡状態にある会合性高分子系において, ある特定の条件下において, 会合/解離鎖の緩和モードに強いカップリングが生じ, 特異な粘弾性緩和挙動が観察される. この詳細を明らかにするために, 誘電活性な会合性モデル高分子の絡み合い系のダイナミクスの理論解析を行う. さらに, モデル高分子を合成し, その粘弾性・誘電緩和データを用いて理論解析結果を検証する.
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Outline of Annual Research Achievements |
会合性高分子鎖の緩和過程は、 鎖自身の運動と会合/解離ダイナミクスの競合に支配されるが、 この過程を包括的に記述する理論は未構築であった。 代表者は、鎖骨格に沿った A 型電気双極子を有し、 片末端会合性であるモデル鎖を想定して、 その粘弾性緩和と誘電緩和に対する理論解析を行った。 会合基を持たない参照単量体と参照二量体のブレンド系中とは異なり、 会合系中では単量体と二量体の鎖形態は相互に転写され、両者の運動モードに相関が生じる。 この形態転写と運動相関の解析から、 会合系中の二量体・単量体の粘弾性緩和は参照ブレンド系中に比べて加速・減速され緩和モード分布も広がるが、誘電緩和のモード分布は参照ブレンド系中と一致し、その加速・減速の程度も小さい(絡み合いがなければこの加速・減速は起こらない)ことなどを理論的に予測した。 さらに、片末端に会合性の -COOH基を有するポリイソプレン(PI) を合成し、その粘弾性緩和と誘電緩和が上記理論で定量的に記述できることを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
-COOH基を有するポリイソプレン(PI)鎖の末端を酸塩基反応で -COOM (M = Li, Na, K) に変換した系では, 二量体に加えて 4本以上の鎖が鎖端で結合・解離する星型会合体も形成される. この系について, 温度と金属種 Mに応じて粘弾性緩和と誘電緩和がどのように変化するかを実験的に検討した. その結果, 非会合性の参照 PI (単量体, 二量体, 6分岐星型鎖) に比べ, PI-COOM 系の粘弾性緩和は非常に速いが誘電緩和には大差がないことを見出した. さらに, 理論解析から, この実験結果が上記の形態相互転写と運動相関の帰結であることを実証した.
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Strategy for Future Research Activity |
末端会合性の直鎖について, 鎖自身の運動と会合/解離ダイナミクスの競合についての理論の構築は完了しているが, 会合/解離の時定数はパラメータとして導入されたのみで十分に実証されていない. 今後, 分光的手法 (例えば NMR) でこの時定数を決定し, その結果を用いた理論と粘弾性・誘電緩和の実験結果を対比することで, 鎖自身の運動と会合/解離ダイナミクスの競合についての理解を深化させたい. 両末端で多重会合するモデルテレケリック高分子系について検討を行いたい. この系は 3次元網目構造を形成する. 片端が解離した場合は星型鎖の緩和機構に類似した枝収縮が起こり,両端が解離した場合は直鎖の緩和機構に類似した reptation が起こると考えて, 解離/会合過程との競合を解析する. さらに, この理論が, 解離が遅い極限状態においてChenらによって提唱されているSticky鎖モデルに帰着するかどうかも確認する. 対応するモデル高分子系 (アイオノマー系) を合成し, 理論の検証も行う. また, 流動下では鎖の張力が増加するので, 会合/解離の時定数は流動により変化し, この変化が流動下の会合高分子の粘弾性・誘電緩和に影響を与えることが予想される. 今後, この予想を定量化する理論を構築し, さらに, 流動下の粘弾性・誘電緩和測定から, この理論の実証を行いたい. なお, 流動下のメルト系においては局所的なバネ定数κ, 摩擦係数 ζ, 熱揺動力強度 Bが流動によって変化する. この点に鑑み, 会合/解離の時定数に対する流動の効果を考慮した上記理論には, 流動下のζ, κ, Bに対する流動の効果も取り入れたい.
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