Project/Area Number |
21H02340
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 42010:Animal production science-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
麻生 久 東北大学, 農学研究科, 名誉教授 (50241625)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北澤 春樹 東北大学, 農学研究科, 教授 (10204885)
野地 智法 東北大学, 農学研究科, 教授 (10708001)
白川 仁 東北大学, 農学研究科, 教授 (40206280)
庄 涛 東北大学, 農学研究科, 助教 (60836203)
中村 武彦 東北大学, 農学研究科, 特任准教授 (90892951)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2021: ¥7,410,000 (Direct Cost: ¥5,700,000、Indirect Cost: ¥1,710,000)
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Keywords | 牛乳房炎 / シクロフィリンA / 乳汁中因子 / 乳汁中体細胞 / 炎症免疫 / シクロフィリンA |
Outline of Research at the Start |
本研究では、乳頭孔投与実験あるいはin vitro乳房炎発症モデルを用いてシクロフィリンAによる乳房炎誘導機構を明らかにし、シクロフィリンAによって誘導される乳房炎誘起因子を同定して乳房炎早期診断法の確立と新規な乳房炎治療法開発への応用を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
シクロフィリンAがウシ乳房炎における炎症増強に関与する事を明らかにするため、ウシ乳腺上皮細胞を用いたin vitro試験において病原体関連因子及びシクロフィリンAによる刺激を行い、炎症関連遺伝子の発現について検討した。病原体関連因子のモデル分子としては、昨年度同様TLR3のリガンドである二本鎖RNA(Poly(I:C))及びTLR4のリガンドであるリポ多糖(LPS)を用いた。シクロフィリンA刺激後に連続して各病原体関連因子による刺激を行ったところ、各病原体因子単独刺激よりも炎症関連遺伝子の発現が増強されることが判明した。その増強は、シクロフィリンAが病原体関連因子の刺激時に存在することで、さらに高まる傾向が認められた。また、炎症増強に関係する炎症関連の細胞内シグナル分子についても解析できた。これらの結果より、シクロフィリンA存在下において病原体による炎症が増強される可能性があることが明らかとなり、シクロフィリンAは乳房炎誘導因子の一つとして位置づけられ、乳房炎予知マーカーとなる可能性が強く示唆された。ウシ乳房炎発症におけるシクロフィリンAの作用メカニズムの解析と新規乳房炎マーカタンパク質の検索を行なうため、乳房炎発時および発症前の乳汁中に分泌されるタンパク質を網羅的に解析した。その結果、乳汁中に約300種のタンパク質を同定した。発症前に比べ、発症時に2倍以上増加したタンパク質とシクロフィリン投与乳で増加したタンパク質と比較を行ったところ、乳房炎乳で増加したタンパク質のうち、約1/3以上がシクロフィリン投与により誘導されるタンパク質であった。一方、乳房炎乳でのみ上昇したタンパク質には、病原性細菌に対して反応するLactoferrinが含まれていた。今後は、ほかの乳房炎乳中のこれらタンパク質量をELISAによって測定して、乳房炎マーカーとして使用できるかどうかを確認する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
乳腺上皮細胞を用いた研究では、シクロフィリンA刺激後に連続して各病原体関連因子による刺激を行ったところ、各病原体因子単独刺激よりも炎症関連遺伝子の発現が増強されることが判明し、乳房炎予知マーカーとなる可能性を得ることができた。また、乳房炎乳でのみ上昇したタンパク質には、病原性細菌に対して反応するLactoferrinが含まれていたことから、乳房炎マーカーとして使用できる可能性が確認された。しかしながら、シクロフィリンA投与実験では、コロナウイルス感染拡大によって共同研究施設への立入と採材に影響があったが、乳汁因子のマススペクトル解析は順調に進み、乳房炎の予測に使用できるマーカー候補を数種類特定することができた。よって、研究はおおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
シクロフィリンA存在下において病原体による炎症が増強される可能性があることが明らかとなり、シクロフィリンAは乳房炎誘導因子の一つとして位置づけられ、乳房炎予知マーカーとなる可能性が強く示唆された。次年度は、シクロフィリンAによる炎症誘導機構の解明を進めると共に、分化誘導したBMECにおける炎症免疫応答及び乳タンパク質発現におけるシクロフィリンAの影響評価を進める予定である。乳房炎乳とシクロフィリン投与乳で増加したCathelicidin-1, -2, -7, S100A12, Serum amyloid A, Haptoglobin, Actin, Lipocalin-2とすべての乳房炎乳で増加したLactoferrinが乳房炎マーカーの候補として選抜できた。乳房炎乳中のこれらタンパク質量をELISAによって測定して、乳房炎マーカーとして使用できるかどうかを確認する。
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