負の情動改善を伴う我が国に適した採卵鶏飼育法の構築
Project/Area Number |
21H02346
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 42010:Animal production science-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古瀬 充宏 九州大学, 農学研究院, 学術特任教員 (30209176)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村井 篤嗣 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (10313975)
安尾 しのぶ 九州大学, 農学研究院, 教授 (30574719)
豊後 貴嗣 岡山理科大学, 獣医学部, 教授 (40325361)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2021: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 負の情動 / ストレス / 管理 / 免疫 / 栄養 / 平飼い / ケージ飼い / コルチコステロン / 暑熱ストレス / 行動 / IgY / 遊離アミノ酸 / 卵黄 / 青色LED / 白熱灯 |
Outline of Research at the Start |
現在、西欧諸国が提案するアニマルウェルフェアの考えを導入した飼養技術への変更が強く求められている。しかし採卵鶏に関して我が国が取り入れにくい問題は、飼育面積の拡張と飼育ケージの形状の改変である。国内生産にほぼ依存している卵の生産は、海外の基準に従うことにより、需要を賄えなくなる。ウェルフェアの目的を達成するには、ストレッサーを軽減することが重要なポイントとなる。本研究では、従来の採卵鶏の飼育環境から「負の情動の軽減」を試みる。「従来のケージ飼育した群」と「平飼い群」を比較し、その結果を基に管理技術と栄養素の強化から、「負の情動の軽減」を確認し、我が国に適した養鶏技術の構築・提案を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
試験後半の数日間、台風のため気温は低下したが、それまでは日平均気温は上臨界温度を超えていた。産卵数・産卵総重量ともに、ケージ区が平飼区を上回った。一方、飼料摂取量は、平飼区で高く、飼料効率が悪いことが示された。 行動型については、試験開始時ではケージ区より平飼区で「佇立」の割合が若干多かったものの、各行動の割合に大きな違いは示されなかった。しかし、試験最終日では、「腹臥」において両区間で違いが示された。これについて詳細な記録はとってないものの、数羽の上位個体が最劣位個体を頻繁に攻撃していることが見られ、それに伴って、歩行が増加したことが原因と考えられた。試験開始日は昼間の高温により行動の主な目的が生命維持に注がれたため行動割合に両区間で大きな違いはなかったが、最終日の比較的過ごしやすい気温では、自己よりも他に注意が払われた結果と推察される。 試験開始前と試験終了時に採取した卵から卵黄抽出物を得て、卵黄中のコルチコステロン濃度を測定した。試験開始前には、ケージ区と平飼区でコルチコステロン濃度に差は見られなかったが、暑熱暴露後の試験終了時には、ケージ区よりも平飼区のコルチコステロン濃度が約1.5倍高くなった。血液中のIgY濃度は、試験前と試験後の何れにおいても、ケージ群と平飼い群で差は見られなかった。 肝臓で生産された卵黄物質が血流を通して7~12日間かけて卵胞に蓄積する事実から、卵黄の遊離アミノ酸濃度変化を長期的なストレス指標と捉え評価した。ケージ区と平飼区の間で全ての遊離アミノ酸濃度に有意な差は認められなかった。一方、両飼育環境共に暑熱ストレス負荷により遊離アミノ酸濃度は減少し、特にオルニチン、アラニン、プロリン、メチオニン、トリプトファン、アルギニンの順で著しかった。暑熱ストレスに対応するために夏季にはこれらのアミノ酸給与量を高める必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物実験を担当する研究分担者が、機関を移動したために実験開始に時間を要した。また、実験の規模を縮小せざるを得なかった。しかし、平飼いとケージ飼いの環境下で暑熱ストレスの影響を調査することが最終的にできたため、おおむね順調に進展したと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2年間の研究成果を踏まえると、我が国が用いているケージ飼いの様式は、一般的思われていることと異なり、平飼いとの間にニワトリの生理状態に大きな違いが認められないか、むしろ良い状況を示す結果となった。そこで、これまで用いてきたケージに脚置き台、爪研ぎや突く目標を配置することで、生理状態の改善が見られるかを確認する。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)