Project/Area Number |
21H02465
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43060:System genome science-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
程 久美子 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (50213327)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2023: ¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
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Keywords | microRNA / bioinformatics / gene network / neuron / memory / pathway |
Outline of Research at the Start |
miRNAは約22塩基程度の小さなnon-coding RNAであり、相補的な塩基配列をもつmRNAに対合し、RNAサイレンシングという機構により翻訳を抑制する。miRNAは多数の遺伝子を一括して抑制するだけでなく、その程度もさまざまという非常に複雑な遺伝子発現調節をおこなうことから、記憶・学習・思考などの高次脳機能の分子メカニズム解明の鍵となる分子と考えられる。しかしながら、その遺伝子発現制御機構の複雑さから、どのように高次生命機能を制御しているのか、詳細は不明である。そこで、本研究ではさまざまな手法を組み合わせ、miRNAが制御する複雑な遺伝子ネットワークの詳細を明らかにすることをめざす。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年のRNA研究の進展により、ヒトには2,000以上のmicroRNA(miRNA)という小さなノンコーディングRNAが存在し、それぞれが複数の遺伝子の発現を異なる程度で微調整していることがわかってきた。このような極めて複雑な遺伝子発現の制御機序は、特に学習・記憶・思考などの高次脳機能の調節に適したシステムと考えられるが、従来の研究ではmiRNAを介した高次脳機能における遺伝子ネットワークの詳細は明らかにされていない。本研究では、トランスクリプトーム解析と共に、独自性が高く、従来法とは異なる視点からの実験的解析手法と、申請者らが新たに開発したバイオインフォマティクス的解析手法を組み合わせ、高次脳機能におけるmiRNAによって構築される遺伝子ネットワークの詳細を明らかにし、その動作原理の解明をめざしている。 本研究では、実験的研究手法と計算科学的研究手法の両方を用いて研究を推進するが、本研究の初年度であった2021年度はコロナ禍であり、実験的研究は予定通りの進捗には至らなかった。しかし、申請者らによるRNA結合タンパク質に関する先行研究から、特定のmiRNA群の活性は、それらに特異的な二次構造に結合するRNA結合タンパク質によって制御される可能性が考えられた。そこで、そのような仮説に基づいてmiRNAの成熟過程を制御する新たなRNA結合タンパク質をマススペクトロメトリー解析により特徴抽出した。一方で、miR-124aはヒト・マウス・ラットで塩基配列が同一で、脳に発現する全miRNAの25~48%を占める脳でもっとも多く存在するmiRNAである。今後はmiR-124aに焦点をあてた研究も実施することを予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒトには多くのmiRNAが存在し、個別に複数の遺伝子の発現を異なる程度で制御している。miRNAは遺伝子発現を微調整できることから、特にヒト高次脳機能の調節に適したシステムと考えられるが、従来の研究ではmiRNAを介した高次脳機能における遺伝子ネットワークの詳細は明らかにされていない。本研究では、実験的研究手法と計算科学的研究手法の両方を用いて、miRNAによる高次生命機能の制御機構の全貌を解明することを目指している。2021年度はコロナ禍であり、特に実験的研究において予定通りの研究進捗がみられなかった。申請者等は、これまでの研究成果より、RNA結合タンパク質はmiRNAの特異的二次構造を識別して結合し、その活性を制御する可能性が提唱している。そこで、miRNAの成熟過程を制御する新たなRNA結合タンパク質を、共同研究によるマススペクトロメトリー解析と計算科学的研究手法により明らかにした。その結果、miRNAの成熟過程に関わるタンパク質と相互作用するRNA結合タンパク質、および成熟過程が制御されるmiRNAの種類は外部からの刺激によって変動することが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究でmiRNAの成熟過程を制御するRNA結合タンパク質の相互作用について解析を行なった。今後はmiR-124aが関わる制御機構に関する研究も行う。miR-124aはヒト・マウス・ラットで塩基配列が同一で、脳に発現する全miRNAの25~48%を占める脳でもっとも多く存在するmiRNAである。そのノックアウトマウスでは脳の発達障害や「記憶」に重要な海馬の神経回路形成に異常が認められるため、ニューロンの維持・機能に関与するmiRNAと考えられている。そこで、本研究では、まずmiR-124aの下流の遺伝子ネットワークを解明する。マウス神経堤細胞由来のNeuro-2A細胞はレチノイン酸とdbcAMPによってニューロンへ分化誘導可能で、同時にmiR-124aおよびCREBが発現誘導される。そこで、まず分化Neuro-2AにおいてmiR-124a阻害剤を用い、CREBやBDNFの発現がmiR-124aに調節されていることを確認した上で、RNA-seqにより下流遺伝子群を網羅的に同定する。さらに、miR-124aの直接の標的遺伝子群の生物学的機能をパスウェイ解析により推定し、実験的に証明する予定である。
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