Project/Area Number |
21H02493
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 44020:Developmental biology-related
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Research Institution | National Institutes of Natural Sciences |
Principal Investigator |
上野 直人 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(機構直轄研究施設), 新分野創成センター, 特任教授 (40221105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 典行 基礎生物学研究所, 初期発生研究部門, 准教授 (30300940)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2021: ¥7,410,000 (Direct Cost: ¥5,700,000、Indirect Cost: ¥1,710,000)
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Keywords | ZO-1 / 原腸形成 / 力学刺激 / 液‐液相分離 / 細胞間接着 / 液-液相分離 |
Outline of Research at the Start |
我々は初期胚における力学刺激特異的な新しいシグナル経路が細胞-細胞間接着を著しく強化し、いわゆる間充織-上皮転換(MET)を誘導すること、また液-液相分離による密着斑構成タンパク質のZO-1の凝集体形成を負に制御しているという興味深い事実を明らかにした。さらに、ZO-1の凝集体形成を介した力学刺激依存的な細胞間接着強化の仕組みは両生類、哺乳類に共通していることも確認された。そこで、本研究では、力学刺激がZO-1の凝集体形成を介して細胞間接着の制御するメカニズムを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
原腸形成は多様な細胞運動からなっている複雑な形態形成運動であり、その理解は不明な点が多い。我々はアフリカツメガエル胚を用いた実験から、タイトジャンクション形成をとおして細胞間接着を担うタンパク質ZO-1が力学刺激など細胞環境の変化に応じてリン酸化を受け、液液相分離による細胞内凝集体を形成することによって、細胞内局在を大きく変化させることを見出した。さらに我々は、ZO-1の細胞内ダイナミクスやその制御機構を詳細に、また定量的に解析するためにMDCK細胞を用いて解析している。MDCKの創傷治癒時の集団的細胞移動に見られる動態解析を行った。その結果、ZO-1は集団的移動を始めるとタイトジャンクションから、細胞底面の細胞-基質接着構造へと移動することがわかった。この構造への移動は細胞集団の中で先端部から集団内部へ波として伝播する。我々はマーカー染色により、この細胞-基質接着構造はinvadosomeと呼ばれる構造であること、同構造への局在にはアクチンとの相互作用が必要であることを確認した。牽引力顕微鏡を用いた解析や浸潤解析により、アクチン結合部位を欠いたZO-1は、同構造の形成だけではなく牽引力や浸潤能力を低下させることから、ZO-1はinvadosomeの形成のみならず、細胞運動における牽引力の発生に必要であること明らかにした。さらに、invadosomeへの局在制御機構におけるERKシグナルの役割についても議論したい。これらの結果はZO-1はタイトジャンクションにおける細胞間接着のみならず、細胞-基質間接着に寄与し、集団的細胞移動を制御しているものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ZO?1の細胞内動態を解析するにあたり、より均一で安定的な条件で定量的な解析を実施することが必要であると考えた。そこで、アフリカツメガエル胚を用いた実験系から創傷治癒における細胞運動の解析に用いられる培養細胞としてMDCK細胞を選び、ライブイメージングによる解析を進めることとした。MDCK細胞にはZO-1遺伝子を欠いた株が存在し、同株は細胞間接着などの機能を喪失している。しかしながら、GFPで蛍光標識した外来遺伝子を導入することで、細胞運動など正常細胞と同様の機能を回復することが確認された。詳細な解析の結果、同細胞が集団的細胞移動をする際のZO-1の局在が大きく変化し、とくに移動先端の細胞底面の膜、とくに細胞-基質間接着に関わる構造で、マーカータンパク質であるTKS5が局在することが知られているpodosomeと呼ばれる構造に共局在することが明らかになった。アクチン結合部位を欠損したZO-1は同構造への局在は見られない。また興味深いことに、その局在は波として移動先端から後方(細胞集団内部)へ一定の周期をもった波として伝播していることがわかった。この移動波は細胞増殖因子シグナルの下流として多様な生理活性の要となる活性化型ERKの波と類似している。さらに牽引力顕微鏡(AFM)を用いた解析からZO-1のアクチン結合を介したpodosomeへの局在は細胞の力の発生や細胞移動能を反映する浸潤活性に必要であることが判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
ERKはEGFやFGFなどリン酸化活性を有した膜受容体(RTK)を活性化するリガンド、細胞増殖因子の下流因子として知られ、さまざまな生理活性を制御する司令塔としても知られている。ERKはリン酸化されることによって活性型となるが、その活性化はZO-1と同様に移動する細胞集団の中で前方から後方へと波として伝播することが知られている。細胞に力学刺激を与えることにより、ZO-1は細胞内に凝集体を形成するが、同時にERKもリン酸化され、核移行するなどの変化が見られる。したがって、細胞外環境の変化、集団的細胞移動におけるERKの活性化と本研究で見出されたZO-1の動的変化の関連性を明らかにすることが今後の重要な課題であり、残された研究期間で取り組む予定である。
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