Neural communication responsible for determining the valence of sensory stimuli
Project/Area Number |
21H02525
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 44050:Animal physiological chemistry, physiology and behavioral biology-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中野 俊詩 名古屋大学, 理学研究科, 講師 (60608529)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2021: ¥7,670,000 (Direct Cost: ¥5,900,000、Indirect Cost: ¥1,770,000)
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Keywords | C. elegans / 動物行動 / 神経回路 / 線虫C. elegans / 神経間情報伝達 / ヘミチャネル / 行動制御 / 神経活動計測 / 神経活動測定 / 介在ニューロン / 運動ニューロン / 神経細胞 / 情報伝達 / 線虫 / 遺伝学 |
Outline of Research at the Start |
感覚刺激は、動物の行動を強力に駆動します。脳・神経系は、感覚刺激から予測される 「報酬」・「罰」などの刺激の価値を判断し、適切な行動を出力します。私たちの近年の研究から、感覚刺激の価値が決定される機構の一端が明らかになってきました。線虫の温度を感知する感覚神経細胞とその細胞から情報を受け取る神経細胞間で、情報伝達の様式が刺激の価値に応じて切り替わることが分かってきました。同じような温度上昇刺激であっても、正の価値(報酬)の刺激を受けると興奮性の情報伝達を、負の価値(罰)の刺激では抑制性の伝達が働きます。本研究では、この情報伝達の切り替えがどのようにして実現しているのかを明らかにします。
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Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの研究成果から、イネキシンタンパク質をコードするUNC-7が線虫温度走性行動に必須の役割を果たすことが明らかとなっていた。イネキシンタンパク質は、隣り合う細胞の細胞質を連結させるギャップ結合因子として機能する一方で、単一細胞膜上のヘミチャネルとして作用することも知られている。そこで、UNC-7がギャップ結合あるいはヘミチャネルのどちらの形態で温度走性を制御するのかを検証した。ギャップ結合能を消失させる変異型UNC-7を作出し、この変異型unc-7遺伝子をunc-7変異体に導入すると、変異体の温度走性行動異常が回復した。このことから、UNC-7はヘミチャネルとして機能して温度走性を制御していることが明らかとなった。昨年度までの研究成果と合わせると、UNC-7は温度を受容するAFD感覚ニューロンでヘミチャネルとして機能し、AFDニューロンから介在ニューロンへの情報伝達を制御していることが明らかとなった。 さらに、UNC-7を介したAFDニューロンからの温度情報がどの介在ニューロンに伝達されているのかを明らかにするために、介在ニューロンの殺傷系統をもちいたハイスループット行動解析を行なった。この解析から、2種類の介在ニューロン(AIY、RMD)がUNC-7を介した温度情報の受け取り手であることが明らかとなった。特に、UNC-7ヘミチャネルを介した情報伝達には、AIY介在ニューロンが重要であることが明らかとなった。さらに、UNC-7ヘミチャネルおよびAIY介在ニューロンは、「カーブ」と呼ばれる前進中の移動方向の制御に関与していることを見出した。今後は、AIYニューロンにおけるカルシウムイメージングなどを行い、ヘミチャネルによる神経細胞活動制御機構に迫る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、UNC-7の作用形態がヘミチャネルであることを明らかにすることができた。この進展は、神経細胞間情報伝達機構を明らかにする上で非常に大きな成果である。また、UNC-7を介した情報伝達の受け取り手である神経細胞を同定することができた。今後は、これらの神経細胞のカルシウムイメージングを行うことで、この新しい神経細胞間情報伝達機構を明らかにしていく。以上の進捗から、研究計画は概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である来年度では、AIY介在ニューロンのカルシウムイメージングを行い、UNC-7ヘミチャネルがこのニューロンの活動をどのように制御しているのかを明らかにする。具体的には、自由に行動する線虫のAFDおよびAIYニューロンにカルシウムプローブを発現させ、温度刺激を与えながらこれらのニューロンのカルシウム動態を計測する。これによって、UNC-7ヘミチャネルがAFD-AIY細胞間の情報伝達に果たす役割を明らかにする。 上記の解析から、UNC-7がAFD-AIY神経細胞間の情報伝達に関与していることが明らかとなった場合は、そのメカニズムをさらに追究していく。具体的には、AFD-AIY間のコミュニケーションはグルタミン酸が関与していることが知られている。そこで、グルタミン酸イメージングを行い、UNC-7ヘミチャネルがAFDからのグルタミン酸放出に関与しているのかを明らかにする。さらに、UNC-7ヘミチャネルによるグルタミン酸放出の制御が、シナプス小胞からのグルタミン酸放出を制御することによって実現しているのか、あるいはグルタミン酸が直接UNC-7ヘミチャネルを透過して放出されるのかを遺伝学的に検証する。これらの解析からヘミチャネルを介した新しい神経細胞間情報伝達機構を明らかにする。
来年度に、上記の実験結果をまとめて、論文として発表する。
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Report
(2 results)
Research Products
(12 results)