ゲノム行動生態学:「生物の動き」を制御する遺伝子と個体の適応度及び集団への影響
Project/Area Number |
21H02568
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 45040:Ecology and environment-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
宮竹 貴久 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (80332790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 智史 玉川大学, 農学部, 准教授 (20547781)
佐々木 謙 玉川大学, 農学部, 教授 (40387353)
天竺桂 弘子 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (80434190)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
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Keywords | 生物の動き / ドーパミン / 死にまね / RNA干渉 / ゲノム編集 / 不動 / ノックダウン / 行動と個体群 / 行動と群集 / コクヌストモドキ / RNA-seq解析 |
Outline of Research at the Start |
本研究の概要は、ゲノムに制御される生理活性物質の個体変異を明らかにし、個体レベルの自然選択や性選択に及ぼす影響まで解析することである。動植物を問わず生物の基本的な多くの行動は「動き」に集約される。対捕食者戦略(自然選択)や繁殖戦略(性選択)を司る基礎的な行動形質の多くは「生物の動き」によって決まる。「動き」をつかさどる遺伝生理・ゲノム基盤が、生物個体の適応度と個体間相互作用(対捕食者戦略、交尾戦略)にどう関わるのかを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では野外採集が容易で、世代を重ねた実験進化に適し、ゲノム操作系が確立したコクヌストモドキをモデルとし、ゲノムから群集まで包括的な理解を目指す。これまでの研究で天敵に出会うと死んだふりで回避し自然選択に有利なロング系統と、普段からよく動き異性との出会いと交尾が多く性選択に有利なショート系統を育種した。系統間ではチロシン代謝系遺伝子群によって制御されるドーパミンの発現が有意に異なり、さらにゲノム比較解析によりドーパミン関連遺伝子領域に系統間で高頻度の変異が見つかった。本研究では「動き」を支配するゲノムを操作した個体の適応度を測定し、自然選択と性選択に及ぼす集団レベルの影響を評価する。当該年度は、コクヌストモドキの死んだふりを長い方向に育種したロング系統とショート系統に関連する遺伝子のゲノム同士のコネクション解析を行い、本種の動きと不動行動の長さに関連する標的遺伝子を特定できた。特定できた遺伝子のmRNAをコクヌストモドキの成虫にインジェクションし、標的遺伝子をノックダウンすることに成功した。長い死にまね時間を選抜したロング系統で標的遺伝子(Hpd)をノックダウンした結果、死んだふり持続時間が有意に短くなることが明らかとなった。また標的領域のゲノムを編集するために、これまで幼虫へのインジェクションを計画していたが、今回新たに成虫にインジェクションする技術開発の準備を整えた。野外の生態学的な調査において、全国からコクヌストモドキを採集して飼育し、各形質を測定したところ、北に生息する集団ほど、死んだふりの持続時間が長く、さらに概日リズムの変異を測定するための活動性の振幅度合いが小さくなることが、本研究によって世界ではじめて明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
標的遺伝子の候補探索を行い、RNA干渉したコクヌストモモドキの行動観察を積み重ねた結果、死んだふりの長い系統に標的遺伝子のHpdをノックダウンした場合に、死にまね持続時間が有意に短くなることを確認できた。ゲノム編集については準備が整った。野外の生態学的な調査において、全国からコクヌストモドキを採集して飼育し、各形質を測定したところ、北に生息する集団ほど、死んだふりの持続時間が長いという緯度クラインが存在することを本研究によって世界ではじめて明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
RNA干渉の実験結果は、昨年度までに準備できたサンプル数が若干少ないため、研究成果とするためには来年度にさらにサンプル数を増やす必要がある。またゲノム編集技術の準備が整ったため、今後はゲノム編集を試みて、編集個体のF1を作成し、表現型での発現解析に進む。また野外で死にまね持続時間に緯度クラインが発見されたため、その原因の特定に挑戦する。
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Report
(2 results)
Research Products
(29 results)