Project/Area Number |
21H02578
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 46010:Neuroscience-general-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
久本 直毅 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (80283456)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2023: ¥6,890,000 (Direct Cost: ¥5,300,000、Indirect Cost: ¥1,590,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 神経軸索再生 / 線虫 / 軸索再生 / C. elegans / 神経再生 / モデル生物 / シグナル伝達 |
Outline of Research at the Start |
切断された神経を修復する普遍的機構の理解は、神経損傷治療の発展に必要不可欠であり、患者および社会に貢献する重要な課題であるが、そのメカニズムの詳細については不明の部分が多い。本研究では、その中でも比較的理解が進んでいる線虫C. elegansをモデルとして、神経軸索再生を制御するシグナル伝達経路の未解明部分について、これまで得てきた知見や発見を基に解析することで、その経路を統一的に解明する研究を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、線虫C. elegansの神経軸索再生を制御する経路のうち、Rhoシグナルの上流で機能するインテグリンのさらに上流の経路について主に解析を行った。インテグリンの上流では、軸索切断により低分子量Gタンパク質Rapの線虫ホモログRAP-2が活性化され、それがtalinホモログTLN-1を細胞膜にリクルートすることにより、細胞内からインテグリンの活性化を誘導する。興味深いことに、tln-1のインテグリン結合ドメインの変異による再生率の低下は、活性化型変異を導入したインテグリンにより抑圧できるが、rap-2欠損変異における再生率の低下は活性化型インテグリン変異体では抑圧できない。一方、rap-2欠損変異における再生率の低下はTLN-1を細胞膜に強制的に局在化することで抑圧できたことから、RAP-2がTLN-1を介してインテグリン経路非依存的に機能することが示唆された。TLN-1はvinculin線虫ホモログDEB-1と結合することから、deb-1変異体における軸索再生率を検討したところ、rap-2と同様に再生率の低下が見られた。さらにDEB-1と結合するvinexinホモログSORB-1の欠損変異体でも、同様に再生率の低下が見られた。また遺伝学的解析から、deb-1変異とsorb-1変異は同一経路上で機能することが示唆された。さらにどちらの変異体もインテグリン経路の活性化によって再生率の低下が抑圧できなかったことから、DEB-1-SORB-1がTLN-1のインテグリン非依存的な機能を仲介する可能性が示された。一方、神経軸索再生におけるGqの上流経路については、化学物質であるascr#5の合成に必要な酵素群が切断軸索で機能していることを遺伝学的に確認したが、それらの遺伝子の切断軸索細胞での発現は非常に弱かったため、検出方法を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
線虫の神経軸索再生においてインテグリン上流で機能する経路について、TLN-1結合因子でvinculinホモログであるDEB-1と、DEB-1に結合するvinexinホモログSORB-1が、同一経路かつインテグリン活性化とは異なる経路で、神経軸索再生を促進することを見出すことができたことが主な判断理由である。DEB-1およびSORB-1が神経軸索再生に必要であるという知見自体が新規である上、これらが同一経路で軸索再生を制御することも判明したことから、RAP-2によるTLN-1を介したインテグリン非依存的軸索再生促進経路の一部が明らかになったといえる。一方、研究費申請時のもうひとつの課題であるGqの上流経路についても、一定の成果を得ている。なお、ascr#5合成酵素の切断軸索における発現についてはまだはっきりしたデータが得られていないが、これについては実験の改良によっていずれ検出できると思われる。したがって、本研究は概ね順調に進んでいると言って良いと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
インテグリンの上流において、DEB-1およびSORB-1が神経軸索再生を促進することがわかったので、これに結合する因子を探索することでDEB-1-SORB-1による軸索再生促進機構の詳細について明らかにする。具体的には、SORB-1に結合する因子の酵母ツーハイブリッド法によるスクリーニングや、線虫で軸索再生を促進することが判明している解析済または解析中の因子との関係について遺伝学的な検討を行うことにより、SORB-1のさらに下流で機能する因子の探索を行う。一方、Gqの上流経路については、まずはascr#5合成酵素の切断軸索における発現について、実験系を改良することで確実な検出ができるようにする。また、ascr#5合成酵素の転写を行う因子の候補がいくつかあるので、その方向からの解析を行うことで、ascr#5合成酵素が実際に切断軸索で機能している証左を得ることを試みると同時に、その軸索再生における動態と役割について明らかにする。
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Report
(1 results)
Research Products
(9 results)