Project/Area Number |
21H02661
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 48020:Physiology-related
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
福田 敦夫 浜松医科大学, 医学部, 特命研究教授 (50254272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
才津 浩智 浜松医科大学, 医学部, 教授 (40402838)
和氣 弘明 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (90455220)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,330,000 (Direct Cost: ¥4,100,000、Indirect Cost: ¥1,230,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,720,000 (Direct Cost: ¥4,400,000、Indirect Cost: ¥1,320,000)
Fiscal Year 2021: ¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
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Keywords | GABA / CRH / AgRP / KCC2 / NKCC1 / 低栄養 / 弓状核 |
Outline of Research at the Start |
ストレスではCRH産生細胞にGABAが逆説的に興奮性に作用する。胎生期ストレスやGABA神経系の異常は精神疾患のリスクだが、胎児の視床下部-下垂体-副腎系(既知HPA軸)やGABA神経系の役割はわかっていない。妊娠中の低栄養も子の精神疾患のリスクなので、まず、申請者が発見した弓状核から正中隆起へ投射する興奮性GABA神経経路(新規HPA)が、低栄養時にCRH分泌を促進し、グルココルチコイド放出を増やすことを証明する。次に母体に食餌制限を行い、母体の新規HPA軸反応と胎仔の神経発達及び生後のフェノタイプを評価し、母体低栄養がどのように仔の精神神経疾患フェノタイプを形成するのかを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
1.胎仔における既知HPA軸と新規HPA軸の解剖学的発達過程の同定:胎生15.5、生後0、7日で検討した。CRH-Venusマウス室傍核でのCRH細胞体の発現、正中隆起への軸索の投射は胎生15日から、KCC2の発現は細胞体では胎生15日から認められたが終末での発現はなかった。NKCC1は終末では生後7日から発現がみとめられたが細胞体での発現はなかった。VGATの発現はCRH細胞体、終末ともに生後 0日から認められた。以上より、GABAによるCRHニューロン制御機構は既知HPA軸が生後0日頃に完成し、新規軸は遅れて生後7日頃と考えられた。 2.胎仔における既知HPA軸と新規HPA軸の生理学的発達過程の同定:グラミシジンパッチクランプ法によりCRH細胞のGABA逆転電位を測定した。生後0-2日では-59 mV、生後7日では-70 mVで既知HPA軸のGABA抑制の発達は生後と考えられた。新規HPA軸の発達を検討するため、AAVを用いてCRH細胞にGCaMP、 AgRP細胞にDREADDを発現させ、弓状核―正中隆起スライスでAgRP細胞からパッチクランプ記録した。CNO還流投与でAgRP細胞を選択的に興奮するにはCa-freeでシナプス伝達遮断が必要で、AgRP細胞間の局所回路的抑制を発見した。 3.低栄養時の母体と胎仔における既知・新規HPA軸反応の確認:妊娠母獣の摂餌制限による胎生期低栄養モデル作製のため、母体のコルチコステロン(CORT)上昇をまず検討した。AgRP Cre::Gad67 flox の低栄養ではCORT低下は有意でなく、Gad65の影響や上記AgRP細胞間の脱抑制が考えられたので、CRH Cre::NKCC1 flox マウスを低栄養にし、新規HPA軸の活性化を阻害したところ、低栄養によるCORT低下は有意に減少し、新規HPA軸の栄養モニター機能が証明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
技術的な問題から、CRH-GCaMP3マウスをCRH-Venusマウスに変更し、また、CRH-GCaMP3マウスとAgRP-mCitrine-DREADDマウスの交配を行う予定であったが、AAVを用いてCRH細胞にGCaMP、 AgRP細胞にDREADD(mCherry)を発現させる変更を行った。また、AgRP細胞間の局所回路的抑制が予想外にあったため、AgRP細胞からパッチクランプ記録しCNO還流投与でAgRP細胞を選択的に興奮するにはCa-freeでシナプス伝達を遮断する必要があった。そのため、正中隆起の細胞内Ca2+応答をCRH神経終末(GCaMP3)で記録する実験は、次年度も継続して行うこととした。以上の変更点はあったが計画そのものに大きな支障はなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
1.胎仔における既知HPA軸と新規HPA軸の解剖学的発達過程の同定:昨年に引き続き、胎生15.5日、生後0日、7日でCRH細胞でのCRHとKCC2の発現時期を同定し、既知HPA軸の発達時期を確認する。新規HPA軸に関しても正中隆起へのCRH投射とGABA投射の完成時期とNKCC1発現時期を明らかにする。 2.胎仔における既知HPA軸と新規HPA軸の生理学的発達過程の同定:胎生15.5-17.5日、生後0-2日、7-9日のCRH venusマウスの急性スライス標本を用いて、グラミシジン穿孔パッチクランプ法によりCRHニューロンからGABAの逆転電位の測定を行い、細胞内Cl濃度の低下からKCC2の機能的発現時期を明らかにする。またCRHニューロンへのGABA投与を行い、興奮性からの抑制性への変化の時期を明らかにする。 3.低栄養時の母体と胎仔における既知・新規HPA軸反応の確認:母獣の摂餌制限(-30%)を妊娠10.5-19.5日に行い、胎生期低栄養モデルマウスを作製する。母体のコルチコステロン(CORT)の上昇をまず明らかにする。CRH Cre::NKCC1 flox マウス母獣を低栄養にして、弓状核から正中隆起CRH終末へのGABA入力の興奮性を消去した低栄養母体のCORTを測定し、新規HPA軸の栄養モニター機能を検討する。胎仔でもCORTを測定し、胎仔脳のc-fosの発現部位を蛍光標識されたAgRP細胞とCRH細胞で検討して、母体低栄養に対する胎仔の新規および既知HPA軸反応の役割を検討する。 4.インビボ2光子イメージングによる神経回路機能解析:生後8 週齢でアデノ随伴ウィルス(AAV)によりGCaMP6fを神経細胞に発現させ、神経細胞集団の活動を2光子顕微鏡によるCa2+イメージングで記録し、新規HPA軸の影響を観察する。
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