Mechanistic analysis of somatic cell reprogramming using paused iPSCs
Project/Area Number |
21H02678
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 48040:Medical biochemistry-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
久武 幸司 筑波大学, 医学医療系, 教授 (70271236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 綾 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (50436276)
西村 健 筑波大学, 医学医療系, 教授 (80500610)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2021: ¥7,410,000 (Direct Cost: ¥5,700,000、Indirect Cost: ¥1,710,000)
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Keywords | iPS細胞 / リプログラミング / 転写制御 / クロマチン / Klf4 / 転写因子 / サイレンシング / E2F / 間葉上皮転換 / XCR / RNA-seq / Xist |
Outline of Research at the Start |
本研究では,リプログラミングを様々な段階で一時停止させた均質な細胞群(Paused iPS細胞)を利用し,遺伝子発現解析よりこれまでに得られた成果を基に,リプログラミング過程について以下の点を明らかにする。まず1)間葉上皮転換(MET)に関与する転写因子群の同定とその分子機構を明らかにし,次に2)レトロウイルスサイレンシングに関与する分子の同定とその作用機構を明らかにする。さらに,3)カルシウムシグナリングの多能性獲得への作用機構と4)X染色体の再活性化(XCR)に関与する転写関連因子の同定とその分子機構も解析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,様々な段階でリプログラミングを一時停止させた細胞群(Paused iPS細胞)を利用し,RNA-seqなどの遺伝子発現解析を基に,リプログラミングのメカニズムを解析する。これまでの研究から,リプログラミング初期に発現が減少する転写調節因子の中で,Osr2がリプログラミング効率に影響することを見出していた。今年度は,その分子メカニズムを明らかにするために,Osr2の機能的解析をさらに進めた。まず,NMuMG細胞でOsr2を過剰発現させると,この細胞の形態学的な特徴及び遺伝子発現の変化から,上皮間葉転換(EMT)が起こることが分かった。この際に,トランスフォーミング成長因子-β(TGF-β)シグナル伝達系を抑制するとEMTが消失することより,Osr2がTGF-βシグナル伝達系の誘導を介してEMTを引き起こすことが分かった。さらに,RNA-seqとGene Ontology解析から,NMuMG細胞でEMTが誘導される前には,細胞増殖が一時的に亢進することを見出した。リプログラミング中にOsr2を過剰発現させて,Osr2発現を維持させると,TGF-βのシグナル伝達が低下せずに,リプログラミングの効率も低下した。ここで,阻害剤によってTGF-βシグナル伝達系を抑制しても,リプログラミングの効率は完全には戻らなかった。この現象をRNA-seqで解析すると,Wntシグナル伝達系の活性化が見られないためであることを見出した。以上の結果から,1)Osr2がTGF-βシグナル伝達系の誘導を介してEMTを引き起こすこと,2)リプログラミング過程において,Osr2の発現減少はTGF-βシグナル伝達系を抑制するだけでなく,Wntシグナル伝達系を活性化することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レトロウイルスサイレンシングに関係するILF2とILF3の研究では,蛍光タンパク質をコードするmRNAを人工合成し,細胞に導入する実験を行ったところ,ILF2とILF3が翻訳段階で遺伝子発現を上昇させることを見出した。さらにILF2とILF3の解析を進めるために,CRISPR/Cas9系を利用して,内在性のILF2とILF3遺伝子をノックアウトしたES細胞(KO ESC)を作製した。このES細胞に,ILF2又はILF3をドキシサイクリン依存性に誘導するレンチウイルスを導入し,ILF2又はILF3の発現量を任意に調節できる系を作った。 昨年度までに,METの解析やカルシウムシグナリングの研究を進める過程で,E2F4がリプログラミングの効率に大きな影響を及ぼすことを偶然見出した。E2Fファミリーの他の転写因子も同様に解析したが,この効果はE2F4にだけ認められた。E2F4をTet-ONシステムでリプログラミングの任意の時期に誘導する系を作製し,この系にてE2F4の機能を解析すると,E2F4はリプログラミング前期ではリプログラミングに対して抑制効果を示すが,後期になると促進効果を示すことが分かった。E2F4はリプログラミング後期では,多能性遺伝子の転写制御領域に結合し,KLF4やOCT4などと協同的に遺伝子制御を行っている可能性がある。また,E2F4ファミリー遺伝子は,細胞周期に関係する遺伝子の発現を制御することが知られているが,リプログラミング過程で見られるE2F4の作用には,細胞周期関連の遺伝子は関係しないようである。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は,レトロウイルスサイレンシングに関与するILF2とILF3のみならず,リプログラミング効率に影響を与えるE2F4の作用機構を解析する。ILF2とILF3には2本鎖RNA結合や2量体形成に必要な機能ドメインがあるので,まずこれらの機能ドメインに変異を入れる。具体的には,ILF2とILF3のアミノ末端の一部を欠損させた変異体や,double-stranded RNA binding domain (dsRBDドメイン)に点変異を入れた変異体を作製する。次に,これらの変異ILF2とILF3を,KO ES細胞で発現させる。これらの細胞でレトロウイルスからの蛍光タンパク質の発現量を定量し,サイレンシングに必要なILF2とILF3の機能ドメインを明らかにする。また,これらの細胞に種々の人工合成RNAを導入して,蛍光発現量を定量することによって,ILF2やILF3によってサイレンシングされるRNAの配列や2次構造の特徴を明らかにする。 E2F4は多くのタンパク質と複合体を作って機能することが知られている。また,相互作用するタンパク質がE2F4のどの領域に相互作用するかも良く知られており,各相互作用因子との結合が特異的に失われるE2F4の変異体も数多く報告されている。これらのE2F4の点変異体をTet-ONシステムでリプログラミングの任意の時期に誘導することによって, E2F4がどの因子と協同して作用するかを明らかにする。さらに,E2F4は核だけでなく細胞質にも多く存在するので,E2F4の細胞内局在を変化させたときに,E2F4のリプログラミングに対する作用がどのように変化するかも明らかにする。
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Report
(2 results)
Research Products
(12 results)