Project/Area Number |
21H02738
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49060:Virology-related
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
本田 知之 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (80402676)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2021: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
|
Keywords | 内在性ウイルス / ウイルス感染 / LINE / ウイルス / 非コードRNA / 内在性ウイルス叢 / レトロトランスポゾン / RNAウイルス / がんウイルス |
Outline of Research at the Start |
近年、常在細菌叢は、粘膜における感染防御や免疫制御などで重要な働きを持ち、1つの臓器として捉えられるようになってきた。一方で、同じ常在微生物叢であっても、常在ウイルス叢については、これまで体系だった解析は行われてきていない。本研究では、ゲノムの半分を占める内在性レトロウイルスとレトロトランスポゾン、内在性RNAウイルス配列からの転写産物集団を「内在性ウイルス叢」と定義し、ウイルス感染におけるその普遍的な応答および役割を体系的・統合的に解明する。得られる知見はウイルス制御における新しいプレイヤーを提案し、その制御は既知・未知ウイルスを問わないウイルス制御法となる可能性を秘めている。
|
Outline of Annual Research Achievements |
近年、常在細菌叢は、粘膜における感染防御や免疫制御などで重要な働きを持ち、1つの臓器として捉えられるようになってきた。一方で、同じ常在微生物叢であっても、常在ウイルス叢については、これまで体系だった解析は行われてきていない。本研究では、常在ウイルス叢として、内在性レトロウイルス(ERV)とレトロトランスポゾン、内在性RNAウイルス配列からなる「内在性ウイルス叢」を想定する。その上で、外来性ウイルス感染が内在性ウイルス叢にどのような変化をもたらし、その変化がどのようにウイルス感染に影響するのかを、体系的・統合的に明らかにする。本年度は、ウイルス感染による変化が生じた内在性ウイルス配列の機能解析と内在性ウイルス配列の発現制御機構の解明を計画した。 その結果、本年度の研究においては、以下に示す結果を得た。 (1)RNA-seqを用いて、ボルナ病ウイルス (BoDV) 感染・非感染SH-SY5Y細胞を比較検討し、ウイルス感染による内在性ウイルス叢の変化を抽出した。さらに、得られた変化の普遍性を、他の細胞株である293T細胞を用いて確認した。その結果、293細胞とSH-SY5Y細胞で共通して変化する特定の内在性ウイルスを同定するに至った。 (2)(1)で大きく変化したウイルス配列について、個別にその生理機能(特にウイルス感染に与える影響)を解明するためのツールとして、ノックダウンプラスミドや過剰発現プラスミドの作成を行った。 このように本年度は、内在性ウイルス叢の挙動とその意義について、概ね順調に解析を進めることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題全体の研究計画では、2つの小課題を提案していた。 それぞれ、ウイルス感染により生じた内在性ウイルス配列の機能解析と、内在性ウイルス配列の発現制御機構の解明研究である。その結果、ボルナウイルスに感染することにより変装する内在性ウイルスを同定するに至った。この知見は今後の研究の方向性を絞る上で、重要な知見である。また、内在性ウイルス配列からの発現について、環境要因の寄与が通常遺伝子の発現より大きいことを見出した。さらに、これまでの知見を総括し、今後の研究の方針を展望する論文を発表した。次年度では、ウイルス感染が誘導する内在性ウイルス叢の変化の意義あるいは内在性RNAウイルス配列がもたらす抗ウイルス能を解明し、内在性ウイルス叢によるウイルス制御の実態解明を目指す。 全体として、当初の計画より若干の変更点はあるが、内在性ウイルス叢に関して大きな成果が出ており、本研究の目的達成に向けて当初の計画通り、概ね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度に得られた結果をもとにして、ウイルス感染が誘導する内在性ウイルス叢変化による抗ウイルス効果を探索する研究をさらに進める。一方で、特に内在性RNAウイルス配列については、フィロウイルスとの関連解析を進めたいと考えている。以下にこれらについて具体的な展望を示す。 (1)RNA-seqやリアルタイムPCRを用いて、候補内在性ウイルスを絞り込み、その過剰発現・ノックダウンを介して、候補内在性ウイルスに抗ウイルス防御効果があるかBoDVをモデルとして検討する。 (2)内在性RNAウイルス配列として、内在性フィロウイルス配列に着目し、新しい内在性フィロウイルス配列の探索を行う。得られた内在性フィロウイルス配列とフィロウイルス感染(フィロウイルス複製)との関連性を明らかにする。
|