Project/Area Number |
21H02824
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52010:General internal medicine-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
稲城 玲子 東京大学, 医学部附属病院, 特任教授 (50232509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 洋一郎 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10407398)
長谷川 頌 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (30892658)
木村 啓志 東海大学, マイクロ・ナノ研究開発センター, 教授 (40533625)
平林 祐介 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (80447391)
南学 正臣 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (90311620)
西 裕志 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (90784174)
田中 哲洋 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (90508079)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2021: ¥7,930,000 (Direct Cost: ¥6,100,000、Indirect Cost: ¥1,830,000)
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Keywords | 尿細管炎症・線維化 / オルガネラストレス / オルガネラコンタクトサイト / エネルギー代謝 / 慢性腎臓病 / 尿細管細胞一次繊毛 / 尿細管障害 / シスプラチン腎症 / ミトコンドリア / 小胞体 / 脂質代謝 / 一次繊毛構成蛋白 / オルガネラ間相互作用 / 尿細管炎症 / 尿細管線維化 / 尿細管線炎症・維化 / 代謝 |
Outline of Research at the Start |
尿細管細胞一次繊毛 (primary cilium) は広汎な細胞に存在する細胞表面から突出したオルガネラである。その役割として細胞機能恒常性を担うシグナル伝達や、その破綻による尿細管障害などが分かってきた。しかし小胞体やミトコンドリアなどの他のオルガネラとの関連性、特にそれらとの機能的相互作用における役割などは解明されていない。 本研究では、新展開を遂げる一次繊毛研究をさらに新研究領域であるオルガネラストレス、オルガネラ間相互作用の視点から発展させ、「一次繊毛のオルガネラとしての機能解明、それに基づく革新的な尿細管恒常性維持機構とその破綻による尿細管障害機序の解明」を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究の背景として、尿細管細胞一次繊毛 (primary cilium) 構成遺伝子の変異が尿細管障害(嚢胞形成、炎症、線維化)を引き起こすこと、その分子機序として一次繊毛を介した細胞内シグナル伝達経路に異常を起こすことなどが研究されてきた。しかし、一次繊毛が小胞体やミトコンドリアなどの他のオルガネラの機能不全 (オルガネラストレス)、あるいはオルガネラ間相互作用(オルガ ネラクロストーク、オルガネラコンタクト)に及ぼす影響は不明である。 そこで本研究は一次繊毛-ミトコンドリア間相互作用の破綻が尿細管嚢胞形成や脂質代謝異常など、尿細管細胞機能障害に及ぼすと仮定し、その解析を通して「一次繊毛のオルガネラとしての機能解明、それに基づく革新的な尿細管恒常性維持機構や、その破綻による尿細管障害機序の解明」を目指す。 その結果として、尿細管障害モデルマウス(シスプラチン誘導急性腎不全)において、尿細管障害は一次繊毛の短縮や消失を伴うことを確認し、一次繊毛の形態学的、機能的変化が尿細管上皮細胞の恒常性に何らかの関連性を有することを見いだした。さらに、1)一次繊毛構成因子であるIFT88 (Intraflagellar Transport 88)の発現が尿細管障害時(シスプラチンによる障害誘導時)に著明に低下し、2)IFT88 siRNAによるIFT88 knock downは尿細管細胞の一次繊毛の短縮を引き起こす事を明らかにした。さらに興味深いことに、IFT88欠損尿細管細胞の表現型として、ミトコンドリア機能低下(ミトコンドリアストレス、特に脂質代謝の低下)が見いだされた。また、シスプラチン障害尿細管においてみられるミトコンドリア障害は小胞体ーミトコンドリアのコンタクトサイトを減少させ、小胞体ストレスも惹起したことから、一連のオルガネラストレスが一次繊毛障害とも関連する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに我々は、尿細管障害モデルマウス(シスプラチン誘導急性腎不全)において、尿細管障害は一次繊毛の短縮や消失を伴うことを確認し、一次繊毛の形態学的、機能的変化が尿細管上皮細胞の恒常性に何らかの関連性を有する知見を得てきた。 本年度は、こうした一次繊毛の短縮や消失といった現象の病態生理学的意義を解明することを目的に、尿細管障害時の一次繊毛構成分子群の発現変動を網羅的に解析したところ、1)一次繊毛のアセンブリと維持に不可欠で繊毛内輸送を媒介する因子であるIFT88 (Intraflagellar Transport 88)の発現が尿細管障害時(シスプラチンによる障害誘導時)に著明に低下し、2)IFT88 siRNAによるIFT88 knock downは尿細管細胞の一次繊毛の短縮を引き起こす事を明らかにした。さらに興味深いことに、IFT88欠損尿細管細胞の表現型として、ミトコンドリア機能低下(ミトコンドリアストレス)、特に脂質代謝の低下が見いだされた。また、シスプラチン障害尿細管では、ミトコンドリア-小胞体コンタクトサイトの減少、小胞体ストレスも呈することから、一次繊毛は他のオルガネラと密接に繋がっており、その相互作用が尿細管恒常性に重要である事が示された。 従来、遺伝性腎臓病(嚢胞腎)の要因として注目されてきた一次繊毛研究の新しい展開として、本研究では申請者が構築してきたオルガネラストレス、オルガネラ間相互作用に関する研究基盤を有機的に統合させ、学内・学外の医工連携による共同研究も取り入れることで、これまでにない独創的な成果が期待される。 本年度の成果に基づいて、これまでに作成したIFT88欠損尿細管細胞、IFT88 flox/floxマウスなどの独創的研究材料を用いて、IFT88を介した一次繊毛ーミトコンドリアー小胞体間の相互作用の詳細解明が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に引き続き、尿細管障害時の病態生理学的表現型(尿細管細胞の炎症、線維化、エネルギー代謝障害)の変動に着目し、一次繊毛のオルガネラとしての新たな機能探索、それを基軸としたオルガネラストレスやオルガネラ間相互作用、それらの病態生理学的役割の解明を目指す。 1) 一次繊毛を有するヒト近位尿細管上皮細胞株、および一次繊毛構成蛋白(IFTT88)欠損細胞を用いて、近位尿細管細胞の恒常性、小胞体やミトコンドリアなどのオルガネラの恒常性などを検討し、一次繊毛とオルガネラストレスやオルガネラ間相互作用との関連性を解明する。 2) 生体内の尿細管管腔内の流れを再現した独自開発の流体デバイス培養システム (分担研究者の東海大学 木村啓志准教授、Chikamori et al., Biomicrofluidics 2020) や旋回培養法を取り入れ、ずり応力負荷培養下での一次繊毛と他のオルガネラ間相互作用の病態生理学的意義を検 討する。特に、これまで申請者が構築してきた i) 小胞体やミトコンドリアのオルガネラ形態・機能評価系、ii)小胞体-ミトコンドリア間相互作用評価系、iii) 小胞体とミトコンドリアの接触部 (MAM, mitochondria-associated membrane) の評価系などを用いる。 3)上記に加え、一次繊毛構成遺伝子改変動物を用いた検証実験も実施する。具体的な本年度実験項目としては、一次繊毛障害と尿細管細胞機能障害の関連性の解明を目指し、一次繊毛形成・形態変化と尿細管障害時の病態形成関連遺伝子群(細胞増殖・細胞死、炎症、線維化、それらによる細胞老化関連因子)との関連性をRNA-Seq解析、メタボローム解析などにて網羅的、かつ統合的に解析を行う。さらに近位尿細管特異的一次繊毛障害動物を用いてデーターのin vivo検証実験を行う。
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