血清アルブミンの放射線による酸化修飾応答と線量・障害予測への応用
Project/Area Number |
21H02860
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52040:Radiological sciences-related
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
柏倉 幾郎 弘前大学, 保健学研究科, 特任教授 (00177370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田羅 洋太 弘前大学, 医学研究科, 助教 (00443995)
山口 平 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (00782822)
伊藤 勝博 弘前大学, 災害・被ばく医療教育センター, 教授 (20322951)
辻口 貴清 弘前大学, 災害・被ばく医療教育センター, 助教 (90737454)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,150,000 (Direct Cost: ¥5,500,000、Indirect Cost: ¥1,650,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,330,000 (Direct Cost: ¥4,100,000、Indirect Cost: ¥1,230,000)
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Keywords | 血清アルブミン / 酸化修飾応答 / 生物学的線量評価 / 低線量放射線 / バイオマーカー |
Outline of Research at the Start |
慢性腎不全や糖尿病などの疾病と血清アルブミン(SA)の特異的な酸化修飾の関連性は近年その解明が進んだが,放射線によるSAの具体的な酸化修飾応答の詳細は不明である.申請者らは,インドネシアで新たに見出された高線量自然放射線地域(33~64 mSv/年,平均≒50 mSv/年)住民血液の解析から,線量依存的に血清アルブミンの酸化修飾が認められることを見出した.この発見は,これまで困難とされてきた100 mSv以下の生体応答の新たな生物学的線量評価法の可能性を示唆している.本研究は,放射線によるSAの酸化修飾の特異配列をもとに,新たなハイスループットな生物学的線量評価法の開発を目指す研究である.
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Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は,検討課題1「線量・線量率や被ばく後の経過時間と血清アルブミンの酸化修飾レベルとの関連性と特異配列の同定」について検討し,以下の点が判明した. ① 0.5 Gyから3.0 Gyまでの全身照射(TBI)マウスから血清を分離し,LC/MS/MSによるプロテオミクス解析及び血清アルブミン(SA)の酸化修飾について解析を行った.その結果,1Gyと3Gy TBIマウスでSerine protease inhibitor A3K(Serpina3k)が有意に増加し,さらに線量依存的な弱い相関が観察された.また,0.5Gy TBIマウスではAngiotensinnogen(Agt),1GyではOdorant-binding protein 1α;(Obp1a)が,3Gy TBIではSerum paraoxonase/arylesterase 1,Prothrombin及びEpidermal growth factor receptorがそれぞれ同定された.このうち,Serpina3k,Agt及びObp1aついては放射線との関連性を示す報告はこれまでになく,新たな発見と言える. ② 同様にTBIマウス由来SAの酸化的修飾(mOMSA)が48個プロファイリングされた.そのうち11のOMSAに照射線量と有意な相関性が認められ,そのうち4つのmOMSA,mOMSA9,mOMSA11,mOMSA14,mOMSA20は0.5以上の相関係数を示す相関性が示された.興味深いことに,SA分子のドメインIに存在するmOMSA14の159番目のメチオニン残基の酸化による修飾部位は,ヒトSAhOMSA9の162番目のチロシン残基の酸化を介した修飾部位であることがわかった.この事は,SAのドメインIの酸化を介した修飾部位は,放射線の特異的標的でありバイオマーカーとして利用できる可能性を示唆している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・ヒト血清での検証を進める為,弘前大学附属病院・高度救命救急センターへ搬送され放射線を用いた検査を行った患者からの血清採取を目的に,大学院医学研究科倫理委員会に対して研究課題名「放射線診断に伴うヒト血清成分の変動に関する基礎研究」で申請し,2021年7月9日に承認され(承認番号・2021-057),現在検体数を蓄積している.今後,ヒト血清でのプロテオミクス解析及び血清アルブミンの酸化修飾についての検証が可能となる. ・昨年度得られた成果の一部は,フリーラジカルや活性酸素種に関する研究学会であるSociety for Redox Biology and Medicine及びSociety for Free Radical Research-EuropeのOfficial JournalであるFree Radical Biology and Medicine(IF=7.376)に投稿,採択され,オンライン掲載された(2022.04.18).現在,マウス実験で得られた結果について投稿原稿を作成中であり,今後投稿予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は,昨年度に引き続き検討課題1に加え,検討課題2「CT検査患者血清アルブミンの酸化修飾応答の解析と特異配列の同定」及び検討課題3「特異配列ペプチドに対するモノクローナル抗体作製と,生物線量評価法として線量依存性及び障害予測の検証」について検討を開始する.この課題解決のための具体的な検討項目は,① CT検査患者血清の定量的修飾オミックス解析,② 高線量自然放射線地域住民で得られた配列結果と①の比較解析,③ 同定されたヒト及びマウスの酸化修飾配列のペプチド生成とそれに対するモノクローナル抗体の作製の3点を予定している.
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Comprehensive exposure assessments from the viewpoint of health in a unique high natural background radiation area, Mamuju, Indonesia2021
Author(s)
Eka Djatnika Nugraha, Masahiro Hosoda, Kusdiana, Untara, June Mellawati, Nurokhim, Yuki Tamakuma, Abarrul Ikram, Mukh Syaifudin, Ryohei Yamada, Naofumi Akata, Michiya Sasaki, Masahide Furukawa, Shinji Yoshinaga, Masaru Yamaguchi, Tomisato Miura, Ikuo Kashiwakura, Shinji Tokonami
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 11
Issue: 1
Pages: 14578-14578
DOI
NAID
Related Report
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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