Project/Area Number |
21H02920
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53020:Cardiology-related
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
蒔田 直昌 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 客員部長 (00312356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 随象 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70727411)
白井 学 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, オープンイノベーションセンター, 室長 (70294121)
沖田 孝一 北翔大学, 生涯スポーツ学部, 教授 (80382539)
石川 泰輔 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, オープンイノベーションセンター, 客員研究員 (60708692)
塩谷 孝夫 佐賀大学, 医学部, 助教 (20253594)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,810,000 (Direct Cost: ¥13,700,000、Indirect Cost: ¥4,110,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2021: ¥9,490,000 (Direct Cost: ¥7,300,000、Indirect Cost: ¥2,190,000)
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Keywords | ブルガダ症候群 / マルチオミックス解析 / 人種特異性 / 複雑形質 / ゲノムワイド関連解析 / 人種横断的解析 / 選択的スプライシング / ポリジニックリスクスコア / リスク層別化 / GWAS / 突然死 / リスク予測 |
Outline of Research at the Start |
ブルガダ症候群(BrS)は東アジアに好発する遺伝性致死性不整脈で、多くの疾患関連遺伝子が知られているが、BrSの突然死リスクにはこれらとは別の人種特異的かつ多因子疾患要因の関与が推測される。申請者は致死率の高い日本人BrS 752人のGWASから、既知の3個のSNPに加えて、致死性不整脈の早期発症と関連するSNPと心筋長鎖ノンコーディングRNAの発現を変化させるSNPを見出した。本研究の目的は、①日本人心筋のオミックスデータからSNP量的効果(eQTL)と②SNP周辺の変異・構造異常を解明し、リスクSNPが突然死をもたらす新たな生物学的メカニズムを解明することである。
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Outline of Annual Research Achievements |
ブルガダ症候群(BrS)は東アジアに好発する遺伝性致死性不整脈で、レアな遺伝子変異とコモンバリアントが分子病態として共存する複雑形質であると考えられている。有病率、致死性不整脈の発生率、遺伝子変異の保有率などには大きな人種差があることが知られているが、その分子基盤は不明である。また、これまで欧州人を中心としてGWASが行われ、20個を超える関連SNPが同定されたが、その研究成果が直ちにアジア人に適応できるかどうかは不明である。 これを明らかにするために申請者は、日本人BrS 940人の人種特異的GWASを行い新規リスクSNPを 1個同定した。さらに、欧州人BrS 2,840人との人種横断GWASメタ解析から、新たなリスクSNPを6個同定した。リスクSNPの頻度・効果量・ポリジェニックスコア(PRS)解析から、コモンバリアントとしての遺伝子基盤は両人種で共通性が高いことが判明した。また6個の新規リスクSNPのうち1つは、心筋のカルモジュリンキナーゼIIδ (CaMKII-δ)の選択的スプライシングを促進することが判明し、BrSの新たな生物学的メカニズムとして注目される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本人BrS 940人でGWASを完了し、3個の既知SNPに加えて新規リスクSNPを 1個同定した。さらに欧州人BrS 2,840人との人種横断的GWASメタ解析から新たなリスクSNPを6個同定した。これらのSNPの頻度・効果量は両人種間で共通性が高いことが判明した。欧州で確立したポリジェニックスコアを日本人BrSに適応したところ、日本人においても十分なBrSの予測能が確認された。以上から、単一遺伝子疾患としてBrSや臨床像には大きな人種差があるものの、コモンバリアントとしての遺伝子基盤には両人種間で共通性が高いことが判明した。 またヒト臓器発現データベース(GTEx)を用いて、6個の新規リスクSNPの遺伝子発現量に対する効果(eQTL)とスプライシング効果(SQTL)を解析したところ、CaMKII-δ のイントロンにあるSNPが選択的スプライシングを促進することによって、心筋内でCaMKII-δアイソフォームのスイッチングを起こすことを見出した。これまでGWASによって疾患感受性遺伝子の部位が同定されてきたが、それがどのような生物学的機序で疾患感受性をもたらすのかはほとんど解明されていなかった。本研究の結果はBrSの新たな分子病態として注目される。 日本人BrSについて致死性不整脈の層別解析を行ったところ、致死性不整脈と関連するSNP を染色体1, 3, 5に同定し、Kaplan-Meier生存曲線で有意差を確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の結果をまとめ論文を早急に提出する予定である。本年度の研究実施計画は主として以下の2項目である。 (1) 致死性不整脈の層別化: 日本人BrSについて致死性不整脈の層別解析を行ったところ、致死性不整脈と関連するSNP を染色体1, 3, 5に同定し、Kaplan-Meier生存曲線で有意差を確認した。欧州・台湾・タイとの共同で、SNP以外の臨床要因を組み込んだCOXハザード解析のメタ解析を行い、突然死を予知しうる要因を同定し、定量的なPRSを確立する。 (2) 性差に関わる分子基盤の同定: BrSは患者のおよそ9割は男性で、有病率に大きな性差があることが知られており、男性ホルモンの関与が報告されているが、詳細な病態は不明である。日本・欧州・台湾・タイの共同研究チームで男女のBrSでGWAS層別解析を行い、男性特異的なSNPとそれに関わる病態を明らかにする。
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