Project/Area Number |
21H02956
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 54010:Hematology and medical oncology-related
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
平位 秀世 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (50315933)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 明日美 東京薬科大学, 生命科学部, 助教 (00571556)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2021: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 造血幹細胞 / 慢性炎症 / 転写因子 / C/EBPβ / ストレス造血 |
Outline of Research at the Start |
慢性炎症は、造血の老化やクローン性造血の発生を介して、動脈硬化や癌など加齢に伴う様々な疾患のリスク因子となる。本研究では慢性炎症による造血変化の分子機構を明らかにするため、ストレス造血制御因子であるC/EBPβに着目し、1) 慢性炎症時の造血幹細胞制御におけるC/EBPβ及び各アイソフォームの機能的意義や、2) 各アイソフォームの制御標的遺伝子を明らかにする。本研究の成果によって、慢性炎症に起因する造血変化の制御を通して、様々な疾患の予防及び進展の抑制を目指した治療戦略を確立することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年、慢性炎症が造血系に可逆的あるいは不可逆的な変化をもたらすことが明らかとなっている。遺伝子変異を持つ造血クローンが出現するクローン性造血はそのような変化の1つである。クローン性造血は、造血器腫瘍の発生頻度の増加のみならず、心血管病や糖尿病などのリスクとなり、保有者の予後と相関する。従って、慢性炎症に起因する造血変化のメカニズム解明は、クローン性造血の発生やそれがリスクとなる疾病の予防戦略を考える上で重要な課題である。C/EBPβはロイシンジッパー型の転写因子で、単一エキソンの遺伝子である。翻訳段階で長さの異なる3種類のアイソフォーム (LAP*、LAP、LIP) が生じ、それぞれ異なる機能を持つと考えられている。C/EBPβは、急性ストレス存在下に造血幹・前駆細胞レベルで骨髄球系への分化と増殖を促進する作用を持つが、慢性ストレス存在下の造血制御においてどのような機能的意義を持つかは不明である。本研究では、様々な慢性炎症存在下の造血制御におけるC/EBPβ及びその各アイソフォームの機能的意義を明らかにし、慢性炎症に起因する造血系の老化やクローン性造血の予防及び進展の抑制を目指した治療戦略を確立することを目的とした。 慢性炎症の1つである老化をモデルとして造血幹細胞 (HSC)におけるC/EBPβ mRNAの発現を定量的に観察したところ、短期HSCで亢進傾向にあったが、大きな変化は認められなかった。一方で、老化に伴う造血変化を野生型マウスとC/EBPβノックアウト (KO)マウスで比較したところ、野生型で認められた長期HSCの増加と、多能性前駆細胞4 (MPP4)の減少という老化に伴う変化のいずれもが、KOマウスでは減弱化していた。したがって、加齢に伴う造血制御にC/EBPβが関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
加齢マウスの造血系におけるC/EBPβのmRNA発現量の測定と、相当に時間を要すると予想されたC/EBPβノックアウトマウスの造血系の解析などは順調に進行した。しかし、研究目的の一つであるC/EBPβのアイソフォームの機能解析に遅れが生じた。C/EBPβの翻訳制御に関わるupstream open reading frameへの1塩基変異の挿入により、3つのアイソフォームのうちもっとも短いLIPの発現が抑制された遺伝子改変マウスを、ゲノム編集の技術を用いて作製に成功したが、繁殖を始める段階で、実験動物施設の飼育スペース内の微生物汚染が発覚し、実験中止を余儀なくされたため、当該マウスの解析が遅延した。また、C/EBPβのアイソフォームをフローサイトメトリーによって解析するために必要な抗体が販売中止により、入手できなくなった。動物種を含めた同等品がないため、全く別の交代を用いた条件検討が必要な事態となっており、これも遅延の理由となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
C/EBPβのアイソフォームをフローサイトメトリーを用いて解析するために必要な抗体を選定し、条件検討を行う。その上で、C/EBPβの翻訳制御に関わるupstream open reading frameへの1塩基変異の挿入により、3つのアイソフォームのうちもっとも短いLIPの発現が抑制されること遺伝子改変マウス (duORFマウス)で、実際にC/EBPβのアイソフォームがどのように抑制されているかを検討する。これにより、各細胞系統によって、或いはストレス負荷によるLIPの発現がupstream open reading frame配列に依存するかどうかを明らかにする。また、duORFマウスの末梢血・脾臓・骨髄細胞をフローサイトメトリーで解析し、造血制御におけるLIPの機能的意義を明らかにする。 C/EBPβ KOマウスでは、野生型で認められた長期HSCの増加と、多能性前駆細胞4 (MPP4)の減少という老化に伴う変化のいずれもが減弱化している。このようなマウスから、長期HSCをはじめとした造血幹・前駆細胞をソーティングにより純化し、RNA-seq解析により網羅的な遺伝子発現を野生型とC/EBPβ KOの間で比較検討する。これにより、慢性炎症時の造血制御におけるC/EBPβの関与とその標的遺伝子を明らかにする。この成果から老化に伴う造血変化をもたらす分子メカニズムとC/EBPβの機能的意義の解明を目指す。
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