Project/Area Number |
21H03584
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 63010:Environmental dynamic analysis-related
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Research Institution | Lake Biwa Environmental Research Institute |
Principal Investigator |
山口 保彦 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター, 総合解析部門, 主任研究員 (50726221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 友輔 京都大学, 化学研究所, 助教 (40823745)
中野 伸一 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (50270723)
早川 和秀 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター, 総合解析部門, 部門長 (80291178)
布施 泰朗 京都工芸繊維大学, 分子化学系, 准教授 (90303932)
木庭 啓介 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (90311745)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
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Keywords | 溶存有機物 / 窒素循環 / アミノ酸 / 細菌 / 窒素同位体 |
Outline of Research at the Start |
貧栄養水域の表層では、生物生産による栄養塩除去量に比べて、既知の経路の栄養塩供給量が過小である現象が観測され、「不均衡な栄養塩収支」問題として長年の謎が残る。我々は最近、「従属栄養細菌が生産した溶存有機窒素(DON)が、貧栄養水域の表層に大量に存在し、ゆっくりと分解され、窒素栄養塩の重要な供給源として機能する」という、従来未知だった栄養塩供給経路「微生物窒素ポンプ」の可能性を独自に見出した。本研究は、琵琶湖をフィールドとして、貧栄養水域における細菌由来DONの時空間分布、生成・分解プロセスを解明することで、新概念である微生物窒素ポンプの実証を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、以下の3項目について、下記の通り、研究を進めた。 (1) 細菌由来DONの時空間分布:琵琶湖の天然湖水中の溶存有機物(DOM)について、調査船「びわかぜ」を用いて、月1回程度の定点深度別試料(北湖17B地点の水深5m,60m)を採取した。DOC・DON濃度、DOM三次元蛍光、DOM分子サイズ分布(SEC-TOC)等の分析を進めた。LC-FLDを用いたD-アミノ酸バイオマーカーの分析法について、加水分解時のブランク低減、LC分析条件等の改良を検討した。限外濾過、固相抽出等を用いたDOM分子量分画・濃縮を実施した。熱分解GC-MS等で濃縮DOM試料の分析を進めた。 (2) 細菌由来DONの生成プロセス:D-アミノ酸およびアミノ糖バイオマーカーをGC-MSで分析するため、試料前処理、誘導体化、GC分析等の条件を検討した。琵琶湖湖水細菌にグルコースを基質として添加してDOMを生成させるマイクロコスム実験の試料採取を継続し、DOC・DON濃度、DOM三次元蛍光、DOM分子サイズ分布(SEC-TOC)等の分析を進めた。栄養環境が異なる植物プランクトンによるDOM生産の変化を検討するため、緑藻1種、シアノバクテリア2種について、室内培養系を確立した。このことにより、窒素制限、リン制限などの栄養環境を変化させた環境条件において、各植物プランクトン種の増殖総量、増殖速度、DOM生産がどのように変化するのか検討する体制が整った。 (3) 細菌由来DONの分解プロセス:琵琶湖の表層湖水有機物の長期分解実験について、濾過試料を採取し、DOC・DON濃度、DOM三次元蛍光、SEC-TOC、細菌群集組成(16Sメタバーコーディング)等の分析を進めた。発現遺伝子解析に向けては、重要なDON分解関連遺伝子の絞り込みを進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
天然湖水および各種実験の試料採取、分析法・解析法の開発・検討も、それぞれ一定進展があったが、研究代表者の育児休業の取得等により、研究の進捗に遅れが生じた。また、湖水DOMのD-アミノ酸バイオマーカーの分析において、試料加水分解時のブランクが想定以上に高く、ブランク低減のための条件検討に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、以下の3項目について研究を進める。 (1) 細菌由来DONの時空間分布:琵琶湖の天然湖水中の溶存有機物(DOM)について、調査船「びわかぜ」を用いた採取を継続する。LC-FLDを用いたD-アミノ酸バイオマーカーの分析法について、気相加水分解等を用いたブランク低減を実施する。採取した湖水DOM試料の分析を進める。DOMの分子量分画や各種化学組成分析を進める。 (2) 細菌由来DONの生成プロセス:D-アミノ酸、アミノ糖のトレーサーレベル15N/14N比迅速分析法の開発を進める。湖水細菌によるDOM生成マイクロコスム実験の試料採取を継続し、各種化学分析とともに、細菌数、細菌群集組成、細菌生産速度等の解析を進める。より自然生態系に近い実験系の実現ため、植物プランクトンの単離株培養において連続培養系を確立する可能性を探る。 (3) 細菌由来DONの分解プロセス:有機物長期分解実験の試料について、D-アミノ酸バイオマーカー分析を進めるとともに、細菌群集組成等の解析も継続する。琵琶湖湖水の天然細菌メタトランスクリプトームの月別変動データを解析し、DON分解関連遺伝子の発現の変動を明らかにする。
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