生成ポテンシャルの評価を基軸とした亜酸化窒素の突発的発生現象の機構解明
Project/Area Number |
21H03637
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 64020:Environmental load reduction and remediation-related
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Research Institution | Akita National College of Technology |
Principal Investigator |
増田 周平 秋田工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (70552157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北條 俊昌 東北工業大学, 工学部, 准教授 (10708598)
寺田 昭彦 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30434327)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2021: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 亜酸化窒素 / 活性汚泥 / 下水処理場 / 機能遺伝子 / モデル解析 / 下水処理 / 温室効果ガス / 低炭素化 |
Outline of Research at the Start |
水処理プロセスにおいて,強力な温室効果を有する亜酸化窒素(N2O)の排出量削減は,温室効果ガス(GHGs)の削減にあたり極めて重要である。N2Oの重要な発生特性として,その濃度が短時間で数十倍程度まで急上昇する現象(突発的発生)が認められるが,その機構は明らかにされていない。そこで本研究では,N2Oの突発的発生機構を,生成経路,分子生物学的特性,環境条件および運転条件の点から明らかにする。本研究は,N2O生成量を汎用的に評価する工学的プラットフォームの構築,IPCCのGHGs算定ガイドラインの高度化,および水処理プロセスにおける温室効果ガスの排出抑制に大きく貢献することが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
地球温暖化問題を背景に、水処理プロセス由来の温室効果ガスの排出量の削減が強く求められている。亜酸化窒素(N2O)は、強力な温室効果ガスであり、水処理プロセスから発生することが知られているものの、その生成機構は明らかにされていない。特に、プロセス中に突如として濃度が急上昇する現象-突発的発生-は、N2Oの生成機構の解明と削減手法の開発のために重要な現象である。以上をふまえ、本研究の目的は、水処理プロセスにおけるN2Oの突発的発生機構の明らかにすることとした。 本研究では、3年間の研究において、1年目はN2O生成ポテンシャル評価手法の新規開発、2年目はN2O生成ポテンシャルと実生成量の乖離機構の解明、3年目はN2Oの突発的発生の再現、という段階的アプローチにより目的の達成を計画している。以上をふまえ、2年目はN2O生成ポテンシャル評価手法の新規開発に関する基礎的検討を行うとともに、実処理施設におけるN2O発生量調査を行った。具体的には、無終端水路を有する終末処理場において、異なる運転条件を設定し、N2O濃度の連続測定を行った。その結果、N2Oの突発的な発生には反応槽内の溶存酸素分布と流入水由来の有機物供給が支配的な因子であり、それらを基にした制御運転を行うことでN2Oの突発的発生が抑制できることを明らかにした。一方で、N2O生成ポテンシャルとN2O発生量の関係性は明らかではなく、引き続き検討が必要と判断された。3年目は、実処理場およびラボリアクターにおけるN2O濃度とN2Oの生成ポテンシャルの関係性の評価に注力する予定である。両者の関係性を明らかにし、N2Oの生成機構の解明と発生抑制技術の確立を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、3年間の研究において、1年目はN2O生成ポテンシャル評価手法の新規開発、2年目はN2O生成ポテンシャルと実生成量の乖離機構の解明、3年目はN2Oの突発的な発生現象の再現と発生抑制技術の確立、を段階的な目標としている。その点において、2年目に至るまでに、実処理場におけるN2O濃度の観測と、ラボ内で培養したリアクターを用いた生物活性試験に関する検討を行った。その結果、特に実処理場における検討においては、N2Oの突発的発生現象を捕捉するとともに、その要因が溶存酸素および有機物供給によることを明らかにした。さらに、攪拌機の運転方法を流入水の変動にあわせて制御することで、N2Oの生成ピークを低減または消失させ、N2Oの発生量を抑制できることを示した。一方で、N2O生成ポテンシャルと実発生量との関係は明らかにできず、今後引き続き検討が必要である。以上をふまえ3年目は、N2Oの生成機構をN2O生成ポテンシャルから解明すること、およびN2O排出削減手法の確立を目標とし、検討を行う予定である。以上より、本プロジェクトは当初想定していた仮説の立証には至っていないものの、N2Oの排出量削減という最終目的達成に向けた取り組みは着実に行えていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究テーマに関連する内容で博士号を取得した技術職員を新たに加え、研究体制の充実化を図る。また、2年間の取り組みを通じて得られた研究協力者(公的機関、民間企業、大学関係者)との連携により、情報基盤の拡充を推進する。 また、実処理場でのN2O生成量に挙動に関する情報を充実させることで、実処理場におけるN2O生成量の多様性を把握し、ラボ内での生成活性試験との関係性に関して考察を深める。特に、分子生物学的手法を駆使し、遺伝子情報と生物活性試験、および現地の観測情報との関係性の解析に注力する。以上の取り組みを通じて、N2Oの突発的発生に関する情報を充実させるとともに、機構解明と発生抑制を目指す。
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)
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[Presentation] 無終端水路反応槽を有する下水処理場における亜酸化窒素排出抑制運転の実証試験2022
Author(s)
大友 渉平, 柴田 悟, 田村 英輔, 伊東 賢洋, 李 玉友, 高階, 史章, 岡野 邦宏, 宮田 直幸, 増田, 周平
Organizer
第57回日本水環境学会年会 2023年3月15日
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