Project/Area Number |
21H03746
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80040:Quantum beam science-related
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
玉作 賢治 国立研究開発法人理化学研究所, 放射光科学研究センター, チームリーダー (30300883)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥18,070,000 (Direct Cost: ¥13,900,000、Indirect Cost: ¥4,170,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2021: ¥13,780,000 (Direct Cost: ¥10,600,000、Indirect Cost: ¥3,180,000)
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Keywords | X線自由電子レーザー / 非線形光学 / 発光分光 / X線非線形光学 / X線発光分光器 / 共鳴非弾性X線散乱 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、非線形な共鳴非弾性X線散乱が可能であることを世界で初めて実証する。その上で、非線形な共鳴非弾性X線散乱を、酸化状態やスピン状態の異なる物質に適用し、それらの状態がスペクトル上にどのように現れるかを明らかにする。非線形な共鳴非弾性X線散乱の原理的な実証実験と基礎的な研究は、既存の装置でも測定可能と考えられる銅箔を用いて行う。より詳細な電子状態の研究には、マンガン化合物の水溶液を用いる。密度の低い水溶液でも非線形な共鳴非弾性X線散乱を測定するために、格段に高感度な大口径の走査型発光分光器を開発する。
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Outline of Annual Research Achievements |
初年度に開発した大口径の走査型発光分光器で溶液試料を測定したときに、溶液ジェットからの飛沫が窓に付着し、入射X線強度が不安定になることが問題となっていた。そこで、窓の前にカプトンテープを配置し、それを送り続ける装置を開発した。飛沫の量も少量なので、テープの送り速度は1 mm/10分程度と低速に設定した。これにより入射X線が飛沫で遮られることがなくなり、安定した測定が可能となった。この改良後に行ったMn化合物水溶液の測定で得られたスペクトルは、これまでになくS/Nに優れたものであった。しかし、測定される2次元のスペクトルは、既存の方法ではうまく解析できないことが分かった。そこで、新たにモデルによらない解析方法を考案した。この解析方法を適応したところ、メインピークが少なくとも2つか、あるいは3つの成分から構成されていることが示唆された。1番強いピークと2番目は、共にMnの高スピン状態に対応していると考えられる。そして、2つの違いはスピンの結合に起因すると思われる。この2つの成分が分離できたことは、本研究の大きな成果と考えている。また、現時点で存在すると断言できない3番目のピークは、どのような電子状態を反映しているか不明である。研究計画にあげていた「2つの異なる励起過程で得られる情報に違いかあるか?」という疑問に対しては、初年度と今年度の測定結果を比較したところ、大きな差はなさそうであるという結論に達した。確定的なことを言えないのは、初年度の測定では飛沫の影響でスペクトルの精度がかなり劣っているためである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たに開発した飛沫防止装置の追加により、高精度のスペクトルが測定可能となった。また、スペクトルの解析方法についても研究が進んでいる。最終年度のビームタイムも採択されている。
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Strategy for Future Research Activity |
X線自由電子レーザーのビームタイムの時間的な制限で、2次元のスペクトルを全領域で測定することは不可能であることが分かってきた。しかし、昨年度の研究で測定すべき重要な領域は確定できたと考えている。最終年度は、この領域で十分な統計精度のデータを取得し、定量的な解析と理論との比較を行う。
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