Project/Area Number |
21H03866
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
1120:Literature, linguistics, and related fields
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
NAGAMURA Yoshitomo 富山大学, 学術研究部人文科学系, 講師
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥470,000 (Direct Cost: ¥470,000)
Fiscal Year 2021: ¥470,000 (Direct Cost: ¥470,000)
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Keywords | 『承久記絵巻』 / 『承久記』 / 『吾妻鏡』 / 絵巻 / 軍記物語 / 承久の乱 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、『承久記絵巻』詞書の特色を解明するために、『承久記』流布本系および『承久軍物語』との関係を検討する。 『承久記』流布本系諸本のなかでも、古活字本や版本によって微妙に相違する文章に注意する必要がある。 『承久軍物語』については、流布本『承久記』に『吾妻鏡』を増補して江戸時代に成立したことを1918年に龍粛氏が指摘して以降、研究されることはなくなったが、絵巻作成の草稿本とみなされることなど、『承久記絵巻』と対比した上で成立・受容の検討を深めるべきである。 具体的な研究方法として、①『承久記絵巻』詞書の全文翻刻を作成し、②『承久記』流布本系諸本・『承久軍物語』『吾妻鏡』との対比を行う。
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Outline of Final Research Achievements |
当初の研究計画の通り、従来は詳細が不明であった龍光院本『承久記絵巻』全6巻の基礎的研究を進めた。同絵巻は、所在が明らかなものでは承久の乱(1221年)の全体を描く唯一の作品である。その書誌を紹介するとともに、近世の文献上に所見する〈承久の乱を描く絵〉との関連や、本文の特色を解明した学術論文を公表した。 その他、承久の乱を主題とする唯一の単著研究書である長村祥知『中世公武関係と承久の乱』(吉川弘文館、2015年)刊行後の、学界・地方公共団体・博物館・一般読書界・テレビ等における承久の乱をめぐる研究状況・出版・催事・番組等の動向を整理した時評を公表した。
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Academic Significance and Societal Importance of the Research Achievements |
2021年は承久の乱(1221年)から800年の年であった。ゆかりの各地で催事が営まれ、2022年に放映される鎌倉幕府2代執権北条義時を主人公とするテレビドラマでは承久の乱が終盤の見せ場になることが予告されるなど、社会的・国民的な関心を集めている。 この承久の乱の全体を描く龍光院本『承久記絵巻』全6巻について、従来は詳細が不明だったが、本研究で基礎的な事柄を解明した。本研究の成果は、研究者人口が少ない『承久記』の本文研究はもとより、近年関心が高まっている「四部之合戦書」(『保元物語』『平治物語』『平家物語』『承久記』)に発する絵画との関連など、多くの発展的課題に資すると予想される。
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