Project/Area Number |
21H03874
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
1130:History, archaeology, museology, and related fields
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Research Institution | 宮内庁書陵部陵墓課 |
Principal Investigator |
TSUCHIYA TAKAFUMI 宮内庁書陵部陵墓課, 宮内庁書陵部
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥290,000 (Direct Cost: ¥290,000)
Fiscal Year 2021: ¥290,000 (Direct Cost: ¥290,000)
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Keywords | 古墳時代 / 飛鳥時代 / 冠 / 工人集団 / 仏教荘厳具 / 百済 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、6世紀後葉~7世紀にかけてみられる銀・金銅製冠(香川県母神鑵子塚古墳、山梨県平林2号墳、千葉県浅間山古墳、茨城県武者塚古墳、福岡県銀冠塚例など)を分析対象とし、技術系譜について検討する。現状、これらの技術系譜は朝鮮半島中西部に位置する百済に辿ることができると考えている。同じ時期にみられる装飾馬具(いわゆる毛彫り馬具)、金銅製仏像、仏教荘厳具などの技術系譜も百済に辿れることが指摘されており、この百済系工人集団が冠の製作にも関与していた可能性が考えられる。百済からの製品・技術の伝播は5世紀後葉頃と6世紀前葉頃にもみられるが、これはその第三波ともいえるものであり、その実態解明を目指す。
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Outline of Final Research Achievements |
本研究の結果、飛鳥時代前半の冠は「1 広帯二山式冠との共通性が認められるもの」、「2 百済の銀花冠飾の影響を受けたもの」、「3 連珠円文がみられるもの」の3つの技術系譜に分類できると考えた。 2・3は、6世紀末~640年代頃にかけて百済から渡来した工人集団、1は5世紀後葉頃から日本列島で広帯二山式冠の製作を担ってきた工人集団によって製作されたものであろう。1と2・3の工人集団が互いに交流した様子はみられない。やがて2・3の工人集団は仏教荘厳具などの製作を担うこととなり、1の工人集団は消えていくことになるが、その過渡期の様相を確認することができた点は一定の成果であると考える。
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Academic Significance and Societal Importance of the Research Achievements |
飛鳥時代前半には、百済から渡来した工人集団が製作した冠と、古墳時代以来の在来工人集団が製作した冠が一部併存することを確認した。仏教荘厳具等を製作した主流の工人集団は前者であり、後者は飛鳥時代後半には消えていくことになる。美術史の既往の研究において古墳時代の金工品は等閑視されることが多いが、飛鳥時代前半におけるこのような過渡期の状況をふまえることで、飛鳥時代における金工品の出現過程を理解しやすくなるという点に、本研究の学術的意義があると考える。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)