Project/Area Number |
21H04375
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 4:Geography, cultural anthropology, folklore, and related fields
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
横山 智 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (30363518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 武 富山大学, 学術研究部人文科学系, 教授 (20351190)
小林 知 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (20452287)
山本 宗立 鹿児島大学, 総合科学域共同学系, 准教授 (20528989)
平田 昌弘 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (30396337)
大澤 由実 青山学院大学, 地球社会共生学部, 助教 (40822630)
和田 崇之 大阪公立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (70332450)
佐々木 綾子 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (90613810)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥41,860,000 (Direct Cost: ¥32,200,000、Indirect Cost: ¥9,660,000)
Fiscal Year 2024: ¥10,010,000 (Direct Cost: ¥7,700,000、Indirect Cost: ¥2,310,000)
Fiscal Year 2023: ¥11,570,000 (Direct Cost: ¥8,900,000、Indirect Cost: ¥2,670,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,970,000 (Direct Cost: ¥6,900,000、Indirect Cost: ¥2,070,000)
Fiscal Year 2021: ¥11,310,000 (Direct Cost: ¥8,700,000、Indirect Cost: ¥2,610,000)
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Keywords | 発酵食 / 在来知 / 菌叢解析 / ドメスティケーション / アジア / ヒマラヤ / アフリカ / 発酵食品 |
Outline of Research at the Start |
これまでの研究では、アジア各地で異なる生業形態のもとで生産・採取される乳、大豆、魚介類の発酵食品の製法と利用は論じられているが、安定して発酵食品を生産するために成熟・洗練されてきた生産者の実践と発酵微生物の相互関係については分かっていない。 そこで本研究では、「クローバル化に伴う発酵食品の生産変化」、「発酵食品に関わる各アクターの文化や技術」を人文社会科学と農学の研究者による分野横断的なフィールドワークで解明し、さらに「微生物のドメスティケーション」を自然科学の研究者による微生物分析の結果と融合させる学際的手法によって、「アジア発酵食文化圏」を再構築することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度はCOVID-19による海外渡航の制限が解除され、研究の遅れを取り戻すべく、アジア地域を中心に海外調査を積極的に実施した。ラオスでは、ラオス北部3県において、後発酵茶、餅麹、蒸留酒、魚介類、トウガラシ、野鳥、大豆の発酵食品の製法を利用に関する調査を実施した。さらにカウンターパートの国立農林業研究所の研究者に発酵微生物(乳酸菌)の分離培養における滅菌操作手技を教授するとともに、現地での実験環境整備を行なった。 カンボジアでは、トンレサープ湖南岸のポーサット州において、伝統的発酵食品の生産と流通に関する調査をカウンターパートのRUA教員・学生と共同で実施した。さらに、年度末にもRUAを訪問し、RUAに保管されている40点余りのサンプルの今後の分析手順などに関して意見交換を実施した。 タイでは、発酵調味料の味の嗜好に関する実験をPhranakhon Rajabhat大学、Ubon Ratchathani大学、Prince of Songkla大学の協力を得て3地域で実施した。さらに、カレン族の餅麹の製法について記録した。 アフリカにおいては、3月にエチオピア山地農民の発酵食を調査し、これまで重要な役割を果たしてきた酵母や乳酸菌に加えて、近年インスタントドライイーストが農村部にも広く普及し、伝統的な発酵食の食文化が大きく変容しつつあることが明らかとなった。 また今年度は、ヒマラヤ山脈南面のインド・シッキムの農牧複合地域における乳製品と大豆の発酵食文化を調査することができ、インド亜大陸低地文化を基層として、チベット文化・東方発酵食文化が伝播・融合し、さらに、ヒマラヤ南面高湿環境が発酵食文化の変遷を特徴づけているとの新たな知見を得た。 また、国内発酵食調査では、大徳寺納豆の製造工程(計6サイクル)における発酵途上試料の収集を完了し、菌叢解析に向けた準備を完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響により、初年度の2021年度にラオス国立農林業研究所からラオス政府へのABS申請ができず、2022年度にずれ込んだ影響で、予定していたラオスでの本格調査とサンプル取得ができなかった。カンボジアでも共同研究契約を締結し、本格的に研究を開始できたが、これらの2地域においては、COVID-19で海外渡航できなかった1年間の遅れを取り戻すまでには進捗していない。全体的に見るとやや遅れているが、今年度に現地で本格的な調査を進めることができ、とくにタイ、ヒマラヤ、アフリカの研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる本年度は、メンバーと海外カウンターパート機関の研究者が集い、これまでの研究成果の共有するため国際ワークショップを8月に開催し、次期共同研究の方向性について議論する。共同研究契約を締結したラオスとカンボジアにおいては、伝統的発酵食のインベントリーを作成するためにカウンターパートであるNAFRIおよびRUAと共に現地調査を継続する。ラオスに関しては、これまでの調査結果を踏まえて、北部において餅麹・醸造酒・蒸留酒・後発酵茶・納豆などの伝統的発酵食の生産地の分布と製法の地域差について研究成果をまとめる。 カンボジアでは、伝統的発酵食品のインベントリー作成を進める。そのために、王立農業大学の食品産業学部の4年生の卒業論文として、カンボジアの伝統的発酵食品のフィールド調査を進め、その分析を研究協力者の石川県立大学食品科学科の中口准教授の研究室で実施する。タイにおいては、これまで4地域で実施した味覚実験のデータの比較分析を行い、研究結果発表を進める。また、引き続き、タイのカレン族の餅麹作りについてのフィールド調査を実施する。 ヒマラヤ地域においても、ネパール、アルナチャール・プラデーシュを調査する計画を立て、乳製品と大豆の発酵食を主に調査しつつも、発酵食について広く把握し、農牧複合発酵食文化の特徴を明らかにする。 アフリカの研究に関しては、エチオピアでの補完現地調査を実施し、北部社会の主食である発酵したパンケーキのインジェラの国内への普及・定着過程を解明し、現在のエチオピアの食事体系におけるインジェラの重要性について解明する。 発酵食品の分析に関しては、ポータブル型DNAシーケンサーを用いたPCR産物の配列解読技術を安定化させる。実験環境に問題がある場所でも実装できる遺伝子解析技術と菌種鑑別プロトコールを確立し、現地で分離培養された発酵微生物の菌種鑑別に役立てる筋道を立てる。
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