Understanding the origin of ancient city and the state history of Teotihuacan
Project/Area Number |
21H04378
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 4:Geography, cultural anthropology, folklore, and related fields
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
杉山 三郎 岡山大学, 文明動態学研究所, 客員研究員 (40315867)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 悦夫 富山国際大学, 現代社会学部, 教授 (40235320)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥41,860,000 (Direct Cost: ¥32,200,000、Indirect Cost: ¥9,660,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2023: ¥10,920,000 (Direct Cost: ¥8,400,000、Indirect Cost: ¥2,520,000)
Fiscal Year 2022: ¥11,180,000 (Direct Cost: ¥8,600,000、Indirect Cost: ¥2,580,000)
Fiscal Year 2021: ¥13,390,000 (Direct Cost: ¥10,300,000、Indirect Cost: ¥3,090,000)
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Keywords | メソアメリカ / 古代都市 / テオティワカン / モニュメント / 生贄儀礼 / 古代都市文明 / 新大陸考古学 / メキシコ古代史 / 古代モニュメント / 古代儀礼場 |
Outline of Research at the Start |
メキシコ中央高原は、過去2千年間におよぶ断続的な巨大都市の変容史を持ち、世界的にも特有な都市文明研究の中心地である。紀元前後から6世紀まで繁栄した巨大都市テオティワカンは豊かな自然環境を利用し、当時新世界最大の都市へと成長した。 本研究は、「太陽のピラミッド」と「月のピラミッド」の中間に位置し、国家の要として機能したと考えられる「太陽のピラミッド北の広場」の発掘を行い、テオティワカンの政治体制の解明を目指す。国家のトップ集団の儀礼準備・行政活動や衣食住の考古資料が最も期待される宮殿タイプの複合施設であり、都市の起源、計画都市の象徴性と機能など、都市文明の動態メカニズムを問う先駆的な研究である。
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Outline of Annual Research Achievements |
テオティワカンの中心地区で行われている「石柱の広場複合体」の発掘は、関心度の高さからメキシコ政府考古学審議会に提出した計画書に対しての様々な指示を受け、連絡を取り合いながら調査とその後の保存・修復作業を進めている。まず、広場の北のマウンド(建造物25C)内に北(裏)側から入れたトンネル調査により、「石柱の広場」建築以前の早期のデータ、貴重な動物の生贄奉納墓の発見、さらに「石柱の広場」創設時に行われた儀礼・饗宴に関する膨大な資料を得たが、審議会の指示により2021年度の調査後から、トンネル全体を埋め戻す作業を随時行ってきた。2022年度には審議会から送られた建築士と現地で協議し、トンネル全域を埋め戻す作業を完了した。 外部での発掘調査は継続し、今まで「石柱の広場」において2021年度まで大量のマヤ壁画の破片が発見されたため、2022年度の7~9月には、その壁画が描かれた部屋を探す調査を行った。Plaza50から北に位置する「建造物44」内部に3メートル幅、長さ12メートルのトレンチ発掘を行ったが、その存在は確認できず、破片が出土したPlaza50内にあった小部屋にマヤ壁画をもつ施設があった可能性が高まった。さらに「建造物44」の東南の角一帯に広域発掘を行い、建造物と広場の関係を探った。さらに「死者の大通り」の東側では、「太陽のピラミッド北の広場」の北東区域に試掘坑を入れ、建造施設の北東の角の位置を追跡し、外部との繋がりを通時的に探る調査を行った。そして内部の北西区域にて、「太陽のピラミッド北の広場」の機能を探るトレンチ発掘を行った。この広場全体で最も重層な建築群が確認され、様々な機能をもつ小規模な部屋が組み込まれた施設と思われるが、さらなる広域の発掘が望まれる地区である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「石柱の広場」の北のマウンド(建造物25C)内で行われたトンネル調査では、儀礼・饗宴の残骸調査を継続し、当地区(マウンド北側)での遺物の分布範囲の調査は全て終了して、トンネルは埋め戻した。しかし遺物の分析が進むにつれ、同じ饗宴で使われ意図的に壊された土器のほとんどが完形にならず、マウンド周辺の他の地区にも残骸が埋められた可能性が示唆され、今後の課題として周辺地区のさらなる調査が求められる。 「石柱の広場」北地区では、広場(Plaza50)とさらに北側に続く複合体(建造物44B)との関係を探る調査を続けた。現在までの発掘区域からは、広場から後者へのアクセスは制限されているが、部屋の分布や排水溝などが共有されていることから、相互交流があった補完的機能をもつ施設と考えられる。また北の複合体は、さらに大きなパティオと基壇をもつユニットに連携した大部屋と前室が石彫と共に出土し、さらに最終期に焼け跡のデータも豊富に取得することができた。 「太陽のピラミッド北の広場」では、全体の施設の拡大を通史的に確認するため、その北東隅にピット発掘を行った。増築ごとの広がりを確認でき、北側に試掘坑を広げた結果、同施設が単体でなく、東側の外壁がさらに北に続くことが確認され、「太陽のピラミッド北の広場」の北に広がるフラットな大空間が、都市の早期には何かの機能をもつ閉鎖された施設の可能性が示唆された。 同時に大量の出土遺物の整理・分析を22年夏から進めており、本プロジェクトでマヤ・エリート層との直接の関係が示唆されたことから、メソアメリカの関連する他文化領域の図像学、建築、人骨の専門家と現地での意見交換や、遺物分析、ワークショップを行う計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の現地調査は、昨年度の継続発掘調査を行い、最終年度となる2024年度では、大量の遺物整理と分析を中心的に進める予定である。データの発表、出版を計画し、出土した大量の遺物分析と同時に、修復作業とフォトグラメトリーによる3次元記録も行う予定である。本計画当初にドロン・ライダー測量による精密な3Dマップから、「石柱の広場」と「太陽のピラミッド北の広場」の均整のとれた建築ユニットの補完的な機能が想定された。しかし、後者のユニットのデータが発掘で十分に得られず、明確な説明の提示はまだ難航している。「太陽のピラミッド北の広場」の中心軸上の建造物や中央広場での層位が浅く、関連遺物も少なく、一方重層な住居区域は建造物も複雑で、保存の問題から早期レベルへの発掘が難しかったことも挙げられる。さらなる広域発掘により、出土する後期レベル建造物からさらに掘り下げる作業が必要である。一方、広域発掘は埋葬体を探り当てる割合が高まり、施設を利用した住民に関わるデータの取得に貢献する。今まで「太陽のピラミッド北の広場」では、埋葬体の出土例はなく、人が住んでいなかった印象さえ受ける。今後は、まだ確認されていない北西部の広域発掘、さらに2021年度からペンディングになっている大量の壁画が出土した「太陽の宮殿」との関係を探求する作業が重要と考えている。テオティワカンのモニュメントに関わる国家施設と統率者集団の一部住居と想定され、古代都市の特性を探る最適な戦略地区と考えられる
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Report
(3 results)
Research Products
(13 results)