Project/Area Number |
21H04387
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 6:Political science and related fields
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
酒井 啓子 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 教授 (40401442)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 薫 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 講師 (10431967)
後藤 絵美 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教 (10633050)
松永 泰行 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (20328678)
小川 玲子 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 教授 (30432884)
岡崎 弘樹 亜細亜大学, 国際関係学部, 講師 (30860522)
鈴木 啓之 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任准教授 (50792488)
末近 浩太 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (70434701)
KHALILI MOSTAFA 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 特定助教 (50977288)
向山 直佑 東京大学, 未来ビジョン研究センター, 准教授 (20972095)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥41,990,000 (Direct Cost: ¥32,300,000、Indirect Cost: ¥9,690,000)
Fiscal Year 2023: ¥13,910,000 (Direct Cost: ¥10,700,000、Indirect Cost: ¥3,210,000)
Fiscal Year 2022: ¥15,860,000 (Direct Cost: ¥12,200,000、Indirect Cost: ¥3,660,000)
Fiscal Year 2021: ¥12,220,000 (Direct Cost: ¥9,400,000、Indirect Cost: ¥2,820,000)
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Keywords | 社会運動 / 地域研究 / 国際関係 / 国際関係論 / トランスナショナル / 移民 / 国民意識 / 暴力 / 国家・社会関係 |
Outline of Research at the Start |
本課題は、2019年以降世界で同時多発的に発生する路上抗議運動を取り上げ、それらが生み出す空間的共生性と市民社会の生成、個別の運動間の連鎖・共振性という新たな社会運動としての特徴を包括的に分析し、治安機関による暴力起用の恣意化が表す国家・運動間の権力関係の変化を解明する。路上抗議運動が構築する共同体の自助性、自立性の強さとトランスナショナルなネットワークに着目し、若年層が追求する新たな「国家」のありかたは何かを探り、国民のネイション意識の変質や既存の国民国家像へのオルタナティブを分析する。本研究は中東の事例を中心に、アジア、米などの運動と共振・連鎖するグローバルな現代的社会現象として捉える。
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Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、2019年以降中東を中心に世界で同時多発的に発生する路上抗議運動を取り上げ、特に、路上抗議運動が構築する共同体の自助性、自立性の強さと、そのトランスナショナルなネットワークに着目し、若年層が追求する新たな「国家」のありかたは何かを分析するための共同研究を実施している。R3年度は中東のイラク、シリア、パレスチナといった紛争地域における社会運動の実態を研究対象とした。各分担者はR3年度は世界大に拡大する新型コロナウィルス感染症によって、海外渡航して現地調査を実施することも、海外からカウンターパートを招聘して共同研究を実施することもできなくなったため、主として現地の研究者に調査依頼を行ったり、オンラインで現地の研究者、ジャーナリストや作家とつなぎ、研究交流、意見交換を行い、必要な調査研究を進めた。イラクではBayan研究所の研究員に委託して路上抗議運動の現場のスローガンや壁絵を写真に収める他、運動家へのインタビューを実施した。繰り越しを行ったのちには渡航制限がやや緩和されていったため、パレスチナに関して、鈴木(分担者)の主導で社会運動研究者のパールマン教授を米ノースウェスタン大学から招聘、早稲田大学にて対面のワークショップを実施した。シリアについては、岡崎(分担者)が現地を訪問した写真家小松氏の講演会を実施したり、シリア人反体制活動家で作家のサーリフ氏を日本に招いて、東京、広島など各地で講演会、研究会を実施した。イラクについては、バグダード大学との共同で実施したワークショップにクルド問題研究者の吉岡氏を研究協力者として派遣し、学術交流を実施した。またアフガニスタンから退避したカーブル大学教授との間に、数回研究会を実施した。これらの成果は、2月に社会運動の比較分析セミナーを東大で開催、来日したイラク、カタールからの研究者とともに密な研究交流を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イラクに関する社会運動調査については、上述したように、イラクのバヤーン研究センターとの間で共同研究を実施、このデータをもとにバグダード大学やムスタンシリーヤ大学の同分野研究者とオンラインで研究交流を進め、順調に研究が進められている。 一方で繰り越し後は対面での研究交流も可能な限り実施し、上述したようにノースウェスタン大学のウェンディ・パールマンとの意見交換を行った他、UNICEFレバノン事務所のラーウィヤ・アッタウィールを招聘してレバノン、シリアの社会運動の実態についての講演を行うなど、研究交流を活発化することができた。また上述したように、クルド地域における社会運動調査のために研究協力者の吉岡明子をイラクに派遣したが、同時にクルド問題についての議論を深めるため、イランのクルド運動を研究するモスタファ・ハリーリを千葉大学の特任研究員に雇用して、分担者の研究領域でカバーできない地域の調査研究を進めた。 オンラインによる研究交流や成果の社会発信は、国内外の研究者をつなぐために効果的で、これまでウェブ・セミナー「『アラブの春』を振り返る:2011年エジプト」、緊急ウェビナー「エルサレムを起点にパレスチナ/イスラエルの現在を考える」、特別シンポジウム「イラク戦争から20年:イラク、中東、アメリカ、国際社会はどう変わったか」など、本研究課題に関連する現代的なテーマを時宜に合わせて開催し、多くの視聴者の参加を得た。 他方、トランスナショナルな抗議運動を研究するうえでの理論研究として、オーストラリア国立大学やヨーロッパの地域研究者、IR研究者と、オンラインでのブレーンストーミングを定期的に続けている。繰越期間中に彼らを招聘して対面でのワークショップを企画したが、各国の感染症対策の違いなどから、実現に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
トランスナショナルな抗議運動を研究するうえでの理論研究として、オーストラリア国立大学やヨーロッパの地域研究者、IR研究者と、オンラインでのブレーンストーミングを定期的(月一回ペース)に続けてきた。今後は海外との渡航制限も緩やかになり、ワークショップを実施し本格的な理論構築のための対面会議を行う必要があるため、2023年秋に5-6人の地域研究・IR研究者を東京に招聘し、社会意識・社会運動のトランスナショナルな伝播をグローバル歴史社会学などの理論的枠組みで、どのように分析できるかを議論する。この理論構築に関する議論においては、上記の定例オンライン会議の過程で向山直佑(オクスフォード→東大に移動)が積極的な関心を示し議論に貢献してきたことから、新たに研究分担者とし、東京での対面ワークショップの企画運営の中核を担ってもらうこととする。 それに平行して、引き続き分担者が担当する地域(イラク、シリア・レバノン、イラン、エジプト、パレスチナなど)に加えて、クルド地域やアフガニスタンなどにおける社会運動・抗議運動の事例についての研究を進める。そのため、京大に移動したモスタファ・ハリーリを新たに研究分担者に加え、イランおよびクルド地域の社会運動に関する研究を進める。さらにはシリア、パレスチナなど、これまでオンラインでのみ意見交換してきた紛争地の研究者、作家を日本国内に招聘し、より議論を深めることを企画している。 一方で、円安や原油価格の高騰といった問題によって渡航費が急騰していることから、予定していた海外調査や招聘計画に支障が出ることが十分予想されるため、引き続きzoomなどオンライン会議を活用する必要があり、そのためのシステム整備を進める。さらにはオンライン会議のための通訳謝金なども十分に手立てする必要がある。
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