Project/Area Number |
21H04421
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 10:Psychology and related fields
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川合 伸幸 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (30335062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊澤 栄一 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (10433731)
香田 啓貴 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (70418763)
足立 幾磨 京都大学, ヒト行動進化研究センター, 准教授 (80543214)
新宅 勇太 京都大学, 野生動物研究センター, 特定准教授 (90706855)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥41,730,000 (Direct Cost: ¥32,100,000、Indirect Cost: ¥9,630,000)
Fiscal Year 2024: ¥9,750,000 (Direct Cost: ¥7,500,000、Indirect Cost: ¥2,250,000)
Fiscal Year 2023: ¥10,530,000 (Direct Cost: ¥8,100,000、Indirect Cost: ¥2,430,000)
Fiscal Year 2022: ¥10,530,000 (Direct Cost: ¥8,100,000、Indirect Cost: ¥2,430,000)
Fiscal Year 2021: ¥10,920,000 (Direct Cost: ¥8,400,000、Indirect Cost: ¥2,520,000)
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Keywords | 比較認知 / 動物文化 / 行動伝播 / 観察学習 / 問題解決 |
Outline of Research at the Start |
ヒトの特徴は「他者から学ぶ」ことにより文化を発展させることである。チンパンジーや、オマキザル、カラスの道具使用など,動物にも地域ごとの“文化”があるが、動物が他個体から学ぶ能力は否定されてきた。従来は、他者の行為を動物が模倣できるかを「1個体ずつ」しか検討していない。動物が洞察的問題解決に成功した研究を再検証すると、同所に多数の個体がいる状況であった。多個体が同所で問題解決に挑むことで創発的行動が生じ、それが伝播することで、“文化”が成立するのではないかと考えた。動物の他者から学ぶ能力を再検討し、累積的文化の礎である「他個体から学ぶ」ことの進化的基盤を探求し、ヒトの累積的文化の起源を理解する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「同所に多個体が存在することが問題解決行動をうみだし、集団内の個体が互いに学ぶ」という仮説を立て、“ヒト石器時代に生じたであろう他者から学び、知識・技能を伝えるという文化の礎を、“動物文化”で再現することを目的とする。 1)さまざまな「文化」を持つ動物種(オマキザル、カラスなど)の集団を対象に、問題解決行動の創発とその行動の伝搬を調べ、2)固有の知識・技能を持つ小集団が学びあうことで創発を促し(ジグソー法)、3)模倣を促進する技法を開発することで、“ヒト文化”の基礎となる「他者から学ぶ」ことを促進・阻害する社会生態要因を明らかにし、ヒト固有と考えられてきた社会学習の起源とその進化的基盤を理解することを目的とする。 そこで、群れにおける個体間・小集団の競合性(外集団)と宥和性(内集団)の調べるために、集団飼育下にあるオマキザル、カラスを対象に実験・観察を行った。各集団の攻撃行動(e.g.威嚇)や宥和行動(e.g.毛づくろい)などの社会行動を調べ、競合的な順位関係や宥和関係を形成している小集団を特定し、個体間の交渉を定量化した。 その結果、カラスは他個体との順位関係で異なる身体反応が生じていることをあきらかにした。劣位オスは優位オスと対面しているときに心拍が低下し、副交感神経活動が強まったが、優位オスの心拍は変化しなかった。副交感神経系の活動は恐怖や嫌悪など負の情動に伴って生じることから、単なる対峙においても劣位個体は恐怖を感じていることが示唆された。 また、道具を使用させることに先立って、オマキザルの集団の社会行動を調べた。具体的には(後に道具を設置する)木箱に対する反応、クルミをコンクリートに打ち付ける、こすりつけるなどの行動が観察され、残ったクルミめぐるグループ内の交渉、ブランコ(道具)の使用方法(こぎ方など)を週5日間、観察した。現在、解析の途中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に引き続き、新型コロナウイルスの影響で外国人研究者を雇用することが困難であったため。
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Strategy for Future Research Activity |
マーモセットの研究が遂行できなくなったので、マーモセットを研究対象から除外する。いっぽうで、チンパンジーの実験をする研究者を雇用したので、チンパンジーの研究(嫌悪的な対象を他個体から学ぶ)の視野に入れて推進する。 また、潜在的に操作可能な新規な物体(オモチャ)をオマキザルの集団に入れて、それをめぐって集団内でどのような社会関係が見られるか(優位個体が独占する、あるいは幼少個体ほど早く触りに行く、宥和的な行動が見られる、など)を調べる。
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