音の身体性が心理情報処理に及ぼす影響の基盤解明とその応用
Project/Area Number |
21H04427
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 10:Psychology and related fields
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
北川 智利 立命館大学, BKC社系研究機構, 教授 (60336500)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 有史 立命館大学, 食マネジメント学部, 教授 (30366546)
坂本 修一 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (60332524)
西浦 敬信 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (70343275)
中 貴一 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (70981520)
|
Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥42,120,000 (Direct Cost: ¥32,400,000、Indirect Cost: ¥9,720,000)
Fiscal Year 2024: ¥8,190,000 (Direct Cost: ¥6,300,000、Indirect Cost: ¥1,890,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,190,000 (Direct Cost: ¥6,300,000、Indirect Cost: ¥1,890,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,190,000 (Direct Cost: ¥6,300,000、Indirect Cost: ¥1,890,000)
Fiscal Year 2021: ¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
|
Keywords | 身体性 / 知覚 / 認知 / 情動 / 意思決定 / 聴覚 / 注意 / 感情 / 社会的応用 |
Outline of Research at the Start |
私たちの身体に何かが触れる時,あるいは,私たちが身体を動かす時,ほとんど必ずと言っていいほど音が生じる。それは服が擦れるような微かな音かもしれないし,「何かを叩く」ような身体運動の結果として生じる音かもしれない。そのような身体と音との随伴関係を私たちは日々経験し学習している。身体に関連して生じるそのような音は,その音源,身体の状態,音源と身体の関係について,極めて高い精度の時間情報と,360度の空間情報を提供している。本研究では,このような音の身体性がさらに,私たちの知覚,認知,情動,意思決定にどのような影響を与えるのかを明らかにし,その知見を実社会に応用する音響技術の開発を行う。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、聴覚の空間的注意における身体性についての予備的検討、聴覚の身体性が感情と意思決定に対して与える影響についての実験環境の構築、および聴覚の身体性の特殊詐欺場面への応用における研究を進めた。 聴覚の空間的注意の距離方向における空間窓形状を測定すべく,予備的な検討として,probe-signal法を用いて標的音の反応時間を計測した。実験の結果,身体からの距離によって標的音の反応時間に若干の違いが見られた。ただし,距離に関する明確な傾向は見られなかったこともあり,次年度以降継続して検討する事とした。 感情と意思決定に対する聴覚の身体性の影響については、立命館大学に防音室を設置し、音響機材をセットアップした。その環境で音響計測を行い、聴覚の身体性に関する実験環境を構築した。本年度はCOVID-19の影響で被験者実験は実施できなかったが、次年度以降に聴取実験を行う環境がある程度整った。 実験室実験が難しかったこともあり、聴覚の身体性の社会的応用に力を入れた。特殊詐欺場面において耳元で聴く声が、騙されやすさに影響する可能性について幅広く発信した。島根県警察と協力して特殊詐欺被害を低減するための防犯教室の体験型教材を作成し、島根県全域で防犯教室を実施した。アンケート調査の結果、防犯教室に参加することで「自分も詐欺の被害に遭うかもしれない」という意識が高まることが分かった。また、一般的に「退屈でつまらない」と評価されがちな警察による防犯教室が「楽しい」ものだと感じられることもわかり、体験型教材の有効性も示された。家電メーカーの受話器のない電話機の開発にも協力した。新聞の取材を受けたり、一般向けの講演を行うことで、音の身体性を利用することで特殊詐欺被害を低減できる可能性について発信をおこなった。これらの活動が評価され島根県警察本部長からの感謝状を受けた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の影響を受け,対面でおこなう必要がある実験の遂行に支障が出た.そのため,一部の検証にはやや遅れが出た.一方で,本年度は社会的応用に力を入れることで、聴覚の身体性を特殊詐欺の被害低減に役立てる可能性を示すことができた。対面実験が難しかった期間に社会的応用に力を入れることで、概ね期待通りの成果を得られている.
|
Strategy for Future Research Activity |
COVID-19の影響を受けずに対面実験が可能になったため、今後は積極的に対面実験を行う。音の身体性が、注意、感情、意思決定に及ぼす影響について実験的な検討を進めていく。社会的応用場面についても、特殊詐欺場面以外に応用可能なフィールドについて調査を進めていく。
|
Report
(2 results)
Research Products
(4 results)