Project/Area Number |
21H04429
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 11:Algebra, geometry, and related fields
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
並河 良典 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (80228080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
望月 拓郎 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (10315971)
吉川 謙一 京都大学, 理学研究科, 教授 (20242810)
尾高 悠志 京都大学, 理学研究科, 准教授 (30700356)
吉岡 康太 神戸大学, 理学研究科, 教授 (40274047)
森脇 淳 中部大学, 人間力創成教育院, 教授 (70191062)
疋田 辰之 京都大学, 数理解析研究所, 助教 (70793230)
松下 大介 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (90333591)
金城 翼 京都大学, 数理解析研究所, 助教 (90982778)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥24,180,000 (Direct Cost: ¥18,600,000、Indirect Cost: ¥5,580,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | シンプレクティック代数幾何 / 超ケーラー多様体 / モジュライ空間 / シンプレクティック特異点 / ポアソン変形 / 複素シンプレクティック多様体 / 双有理幾何 / トーリック超ケーラー多様体 / べき零軌道 / 小林-ヒッチン対応 |
Outline of Research at the Start |
シンプレクティック型式をもった代数多様体は,数学のいろいろな場面に登場する.K3 曲面上の連接層のモジュライ空間,複素半単純リー環のベキ零多様体,アファイン平面のn-点ヒルベルト概型, 代数曲線上のHiggs 束のモジュライ空間などがその典型例である.これらは,代数幾何のみならず, 幾何学的表現論, 数理物理などでも重要な働きをする. 本研究では,こうした対象を代数幾何,幾何学的表現論,代数解析,微分幾何,数論幾何等の多角的な観点から研究して, シンプレクティック代数幾何とでもよべる分野を構築, 発展させる.
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Outline of Annual Research Achievements |
並河は,錐的シンプレクティック多様体の代表例であるトーリック超ケーラー多様体を用いて,局所基本群が自明であるような孤立シンプレクティック特異点の例を構成した. これは, Beauvilleの問題に端を発したもので, Bellamy ら6人が,数年前に4次元の例を構成していた.今回の例は全く違う手法を用いており,一般次元で通用する. さらに,並河は,一般のアファイントーリック超ケーラー多様体の Q-分解的端末化を, 別のトーリック超ケーラー多様体として具体的に構成し,もとのアファイントーリック超ケーラー多様体の普遍ポアソン変形を明示的に構成することに成功した. 望月は,ヒッグス束のモジュライ空間上に自然に誘導される計量の漸近挙動について研究し,ヒッチン系の可積分系としての構造から定まる半平坦計量と漸近的に等しいことを,一般の階数の場合に示した. 疋田は,箙多様体に対するバー対合がシャッフル代数の言葉では容易に書けることを示し,その応用としてグラスマン多様体Gr(2,n)の余接空間に対するK理論的標準基底の明示公式を得た. 金城は,良モジュライを持つ(導来)シンプレクティックスタックのホモロジーの分解予想を定式化し,2次元カラビヤウ圏の対象のモジュライ空間の場合にこの予想を証明した.吉川は,Eisenstein K3曲面の解析的捩率不変量から得られる複素超球上の保型形式の研究を行ない,幾つかの場合にBorcherds積で書けることを示した. 吉岡は,安定層のモジュライ空間についてピカール格子やample錐の形状を調べた. 尾高は,開Calabi-Yau多様体の上の標準計量の存在問題について,K安定性の拡張を行った. 森脇は,執筆中の2つの本にあったギャップの修正を完了させた. 松下は,特異点を持つシンプレクティック多様体のファイバー構造の変形の非障害性について研究した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度からの懸案であった,錐的シンプレクティック多様体に対するBeauville-Bogomolov分解の拡張に関しては, まだ解決の糸口が見つかっていない. しかし,局所自明な基本群をもつ孤立シンプレクティック特異点の構成に関して進展があった. これまで, 複素半単純リー環のべき零軌道,スロードウィー切片,そしてそれらの有限被覆を用いて例を構成しようと試行錯誤していたがうまくいかなかった. ところが,視点を変えて,まったく別種の錐的シンプレクティック多様体であるトーリック超ケーラー多様体を考えてみたところ,思いのほか簡単に例が構成できた. さらに,新しい対象に視点を広げたことにより, 今まで見えていなかった多くの問題の存在に気がついた.これがきっかけとなり,2023年度に, 2つのプレプリント「A remark on isolated symplectic singularities with trivial local fundamental group」,「Toric hyperkaehler varieties and Q-factorial terminalizations」を執筆し, arXiv に投稿した.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の主目標の一つは, いろいろなシンプレクティック特異点を, 錐的シンプレクティック多様体の中で特徴付けすることである. そのなかでも, 2n 次元トーリック超ケーラー多様体を, n 次元代数トーラスが効果的かつHamilton的に作用している錐的シンプレクティック多様体として特徴付けることは, 重要な課題である. 2023年度におこなった研究の自然な延長として,この問題の解決に取り組む. そのためには, モーメント写像の局所構造を, 余次元2の閉集合を除いたところで完全に分類して, そこから組み合わせ論的データを抽出する必要がある. さらに, 最終的には, 錐的シンプレクティック多様体の良い C^*-作用をうまく利用して分類にまで持ち込まねばならない. 一般に, アファインシンプレクティック多様体が持ちうる良い C^*-作用は,一意的ではない. しかし,その中で最も標準的なものがあると予想される. 分類で用いるのは, この標準的な C^*-作用であろう.
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