Project/Area Number |
21H04447
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 13:Condensed matter physics and related fields
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
東 俊行 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (70212529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 進平 東京都立大学, 理学研究科, 助教 (20806963)
久間 晋 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (50600045)
木村 直樹 東京理科大学, 理学部第二部物理学科, 助教 (80846238)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥42,770,000 (Direct Cost: ¥32,900,000、Indirect Cost: ¥9,870,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2021: ¥23,530,000 (Direct Cost: ¥18,100,000、Indirect Cost: ¥5,430,000)
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Keywords | 振動回転冷却ダイナミクス / 量子少数多体系 / 励起ダイナミクス / 一分子 / イオン蓄積リング |
Outline of Research at the Start |
真空中に孤立した1分子イオンという少数多体系の内部量子状態に関して、小型分子イオンの数10秒から数10分の長い時間領域において現れる、電子・振動・回転準位における励起・脱励起ダイナミクスを研究する。 そのために、我々が独自に開発した極低温イオン蓄積リングを利用して、黒体輻射を抑制した4K温度環境下に分子イオンを保持し、様々なレーザーを組み合わせた時間分解精密分光により準位ごとの変化を観測・制御する。これにより、異なった自由度へのエネルギー移動、レーザーを用いた能動的な冷却、さらに複数の準位モード間の干渉の観測を通して、極めて遅い量子ダイ ナミクスを探索・制御する新たな研究領域を開拓する。
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Outline of Annual Research Achievements |
真空中に孤立した1分子イオンという少数多体系の内部量子状態に関して、小型分子イオンの数10秒から数10分の長い時間領域において現れる、電子・振動・回転 準位における励起・脱励起ダイナミクスを研究する。励起されたこれら分子の内部エネルギー散逸過程は、それぞれの自由度間のカップリングを含めて電子構造 や分子構造などの固有の特性を反映する。この過程を理解することは、 基礎的な量子少数多体系ダイナミクスとして興味深いばかりでなく応用面での重要性も高い。 極低温イオン蓄積リングを利用して黒体輻射を抑制した4K温度環境下に分子イオンを保持し、様々なレーザーを組み合わせた時間分解精密分光により準位ごとの変化を観測・制御する。これにより、異なった自由度へのエネルギー移動、レーザー を用いた能動的な冷却、さらに複数の準位モー ド間の干渉の観測を通して、極めて遅い量子ダイナミクスを探索・制御する新たな研究領域を開拓する。 昨年度は、3原子分子正イオンN2O+の振動モード間相互作用によるフェルミ共鳴ダイナミクスを、同じ準位でありながらスピン軌道相互作用によってカップリングがある場合とない場合を比較することで、初めて実験的に捉えた。今年度は、更に精密に寿命測定することでバックグラウンド成分の起源を突き止め、これを差し引くことに成功した、倍音の効果を取り込んだ理論展開も行った。これらを組み合わせることで、フェルミ共鳴の定性的な効果のみならず定量的な議論が可能になり、事件結果と理論がよく一致する結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由 本年度は、3原子分子正イオンN2O+の振動モード間相互作用によるフェルミ共鳴ダイナミクスをより詳細に検討した。その結果、バックグラウンド成分が走査周波数に依存せずに同じ有限寿命をもつことを見いだした。これは実は共鳴的に振動励起した振動モード以外の振動モードを励起することに起因する直接解離が寄与していることを明らかにした。 実験的には、これを差し引くことで最終的な対象とする励起準位の寿命を得た。一方で理論解析では、理論研究者との共同研究から、当初想定していたモデルを超えて倍音の関与するダイナミクスを導入する必要があることが判明した。これらを組み合わせることで、実験結果と理論予測が見事に一致することが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
N2O+の振動モード間相互作用によるフェルミ共鳴ダイナミクス観測は決着したので、 異核2原子分子正イオン精密回転分光に進みたい。いくつかのハロゲン化水素イオンを試した結果、HF+ がイオン源で十分な収量が得られることを確認したのでHF+の分光実験を進める。
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