Project/Area Number |
21H04570
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 22:Civil engineering and related fields
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐野 大輔 東北大学, 工学研究科, 教授 (80550368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 浩之 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (00302779)
北島 正章 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任教授 (30777967)
片山 和彦 北里大学, 感染制御科学府, 教授 (60342903)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥32,500,000 (Direct Cost: ¥25,000,000、Indirect Cost: ¥7,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥8,060,000 (Direct Cost: ¥6,200,000、Indirect Cost: ¥1,860,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,060,000 (Direct Cost: ¥6,200,000、Indirect Cost: ¥1,860,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,190,000 (Direct Cost: ¥6,300,000、Indirect Cost: ¥1,890,000)
Fiscal Year 2021: ¥8,190,000 (Direct Cost: ¥6,300,000、Indirect Cost: ¥1,890,000)
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Keywords | 水の消毒 / ウイルス / 消毒耐性メカニズム / 下水処理水 |
Outline of Research at the Start |
新型コロナウイルスの近縁を含む複数のウイルスに対し、遺伝子変異を促進させることで遺伝的多様性の高いウイルス集団を人工的に創出し、消毒処理への耐性に対する「特定の変異遺伝子」及び「遺伝的多様性」の影響を検証する。最終的に、新型コロナウイルスを含む下水中ウイルスの消毒耐性を考慮した適切な下水処理水の管理手法を提案する。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究3年度である令和5年度においては、世界中で環境表面の消毒に用いられているエタノールを用いて、マウスノロウイルス(murine norovirus:MNV)に対する連続曝露実験を行った。70%エタノール消毒と増殖を繰り返す一連のサイクル実験を行い、繰り返し70%エタノール消毒を受けたウイルス集団の感受性について評価した。10回の曝露実験を行ったところ、70%エタノールに対する感受性はランダムに上下したことから、70%エタノールによる処理はMNV集団に対する選択圧を有していないことが明らかとなった。さらに、5-fluorouracilを用いて遺伝的多様性を増加したMNV集団、及び組織細胞へ感染したウイルスの単離により得られたMNV集団に対するエタノール感受性も評価した。また、世界中で水の消毒に使用されている塩素消毒について、エンベロープウイルスであるエンベロープウイルスであるPseudomonas syringae phage phi6(φ6)に対する連続曝露実験も行った。塩素消毒と増殖を繰り返す一連のサイクル実験を行い、繰り返し塩素消毒を受けたウイルス集団の感受性について評価した。その結果、繰り返し塩素消毒を受けたφ6は受けていないφ6に比べて低い塩素消毒感受性を示したが、消毒を受けた回数の増加に応じて一様に感受性が低下していくのではなく、感受性変化はランダムに生じていたことが示された。この結果は、塩素に繰り返し曝露したφ6集団は、塩素に強い株が選択されることはなく、塩素曝露下では遺伝的浮動が最も大きな影響を与えていたことを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
水中ウイルスの消毒耐性メカニズムを解明することを目的とする本研究では、作業仮説として、「特定の変異遺伝子がウイルス集団の消毒耐性をもたらす」、及び「ウイルス集団の消毒耐性は遺伝的多様性により決定される」の2つを設定し、その検証を試みている。研究3年度である令和5年度においては、この2つの仮説を検証するために、エタノールによる繰り返し処理を受けた非エンベロープウイルスであるマウスノロウイルス(murine norovirus:MNV)集団と、塩素による繰り返し処理を受けたエンベロープウイルスであるPseudomonas syringae phage phi6(φ6)集団を得た。これらの集団の消毒処理への感受性はランダムに変化しており、非エンベロープウイルスに対するエタノール消毒、及びエンベロープウイルスに対する塩素消毒においては、消毒に強い集団の選択は起こらないことが確認された。エンベロープウイルスの塩素消毒感受性が集団によって異なることを見出したのは世界で初めてのことであり、学術的価値の高い結果が得られたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度である令和6年度においては、令和5年度にエタノール連続曝露によって得られたMNV集団の遺伝子配列解析を行う。MNV集団はエタノール感受性の違いにより高感受性集団と低感受性集団に分け、次世代シーケンシングにより全ゲノム解析を行う。その後の配列解析により、高感受性集団と低感受性集団にそれぞれ共通の遺伝子変異があるか、及び配列多様性がエタノール感受性に関係しているかについて調査する。また、令和5年度に塩素連続曝露によって得られたφ6集団に関しても、感受性集団と低感受性集団に分け、次世代シーケンシングにより全ゲノム解析を行う。エタノール連続曝露実験で得られたMNVと同様に、高感受性集団と低感受性集団にそれぞれ共通の遺伝子変異があるか、及び配列多様性が塩素感受性に関係しているかについて調査する。得られた結果から、本研究の作業仮説である「特定の変異遺伝子がウイルス集団の消毒耐性をもたらす」、及び「ウイルス集団の消毒耐性は遺伝的多様性により決定される」の2つについて考察する。
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