Project/Area Number |
21H04576
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 22:Civil engineering and related fields
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大橋 晶良 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 特任教授 (70169035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金田一 智規 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (10379901)
青井 議輝 広島大学, 統合生命科学研究科(先), 准教授 (40386636)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥41,470,000 (Direct Cost: ¥31,900,000、Indirect Cost: ¥9,570,000)
Fiscal Year 2024: ¥8,190,000 (Direct Cost: ¥6,300,000、Indirect Cost: ¥1,890,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,970,000 (Direct Cost: ¥6,900,000、Indirect Cost: ¥2,070,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,670,000 (Direct Cost: ¥5,900,000、Indirect Cost: ¥1,770,000)
Fiscal Year 2021: ¥8,710,000 (Direct Cost: ¥6,700,000、Indirect Cost: ¥2,010,000)
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Keywords | エコバイオテクノロジー / 環境技術 / 水処理 / 微生物 / DHSリアクター / 資源回収 / 省エネ |
Outline of Research at the Start |
微生物は多種多様であり,それぞれ特有の機能を有している。ある特長の細菌群をバイオリアクター内に優占的に集積培養し,高濃度に保持することができれば,排水の処理に適用されるのみならず,排水から付加価値の高い資源を創出することも可能である。本研究では,特異的に有用細菌を培養する技術・エコバイオテクノロジーを利用し,保持微生物の高濃度化が可能でエアレーションを要さない省エネ・低コスト型のDHS(Down-flow Hanging Sponge)リアクターを用いて,難分解性含有排水処理,排水からの資源回収,温室効果ガス分解,新規窒素サイクル処理,DHS改善の5つの新規環境技術を創成する。
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Outline of Annual Research Achievements |
途上国に適用可能なエアレーションを要さない省エネ型のDHS(Down-flow Hanging Sponge)リアクターの研究を通して,下水処理としての機能だけでなく,新規の環境技術の創生が明らかになってきた。微生物は多種多様でそれぞれ特別の機能を有しており,難分解性排水処理等への適用も可能である。しかし実用化には,如何にしてある特別の機能を有している細菌をバイオリアクター内に優占的に集積培養し,高濃度に保持することができるか,が課題である。 本研究では,微生物の混入を防げない自然開放系の処理システムにおいて,優占的に細菌を培養する技術・エコバイオテクノロジーを利用し,新規の微生物の機能・特性を明らかにすることで,実用化・実装化の可能性が高い環境技術:1.難分解性排水処理,2.新規窒素処理プロセスの開発,3.排水等からの資源回収,4.温室効果ガスの分解による放散防止,5.途上国の普及に資するDHSバイオリアクターの改善,の5つの新規環境技術に特化し研究開発を行うことを目的としている。 2023年度は主にその内の3つ,難分解性排水処理,温室効果ガスの分解による放散防止,新たな窒素サイクルを利用した新規窒素処理プロセスの開発について実施した。その結果,次のような研究成果を得た。オゾンとの併用により染料の分解が促進されると推測され,オゾン分解されないスポンジ担体材質を明らかにした。新種のメタン酸化細菌の分離・培養を試み,培養に成功した。新規の窒素サイクルの不安定さは,微好気環境が影響していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.難分解性排水処理:マンガン酸化物は染料を分解して脱色できるが,染料の分子量よりも大きな生成物が生成され,オゾンとの併用により染料を分解すれば,高分子の副産物の生成を抑制できると推測された。そこで,DHSリアクターを用いてオゾンによる染料の化学分解を検証した。しかしながら,DHSリアクターの重要な特性である保水性を担保するためのポリウレタン担体がオゾンによって分解される問題が起こった。そこで,スポンジ担体の材質として,ナイロン,ポリエチレン,ポリエステルのオゾン分解耐性を調べた。その結果,ポリエステルはオゾンに対して耐性があることを明らかにした。 2.温室効果ガスの分解による放散防止:高アンモニア環境下では,従来のメタン酸化細菌に属さないメタン酸化細菌が存在することが分かった。微生物群集解析により,既往のメタン酸化細菌とは門レベルで異なるActinobacteria門のMicobacterium属に属する新種であることが推測された。そこで新種のメタン酸化細菌の分離・培養を高アンモニアの培地で実施し,新規メタン酸化細菌の分離・培養に成功した。 3.新たな窒素サイクルを利用した新規窒素処理プロセスの開発:既存の窒素排水処理とは異なる新規の窒素サイクルがありそうで,これまでの研究において,Mnを利用する新規窒素サイクルがあることを示す結果を得ている。すなわち,嫌気性環境下で硝化反応が,好気性環境下で脱窒反応が起きる現象である。しかしながら,新規の反応は不安定であり,再現性に欠ける。この原因として,アンモニアの亜硝酸塩への酸化は酸素が必要であるが,亜硝酸塩から硝酸塩への酸化は嫌気で起こることを明らかにした。すなわち,嫌気環境では硝化反応は起こらず,微好気環境の時に反応が起こることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は3つの技術開発を実施する。 1.難分解性排水処理:マンガン酸化物は化学的に染料などを脱色・分解することを明らかにした。しかしながら,マンガン酸化物による染料の分解では,染料の分子量よりも大きな生成物も生成され,これらの副産物を生物学的に分解することはできなかった。そこで,オゾンとの併用により染料を分解すれば,高分子の副産物の生成を抑制できるかどうか,オゾンに耐性のあるポリエステルの担体を用いたDHSリアクターによる分解実験を実施する。さらに,この処理水が生物学的にさらに分解されるかをポリウレタン担体のDHSリアクターで処理性能を調べる。 2.温室効果ガスの分解による放散防止:既知のメタンを酸化する多様なメタン酸化細菌は,タイプIとタイプIIに大別される。しかし,既知のメタン酸化細菌では生息できない高アンモニア環境下で生存する新規のActinobacteria門のMicobacterium属に属する新種のメタン酸化細菌が分離・培養できた。そこで,新規タン酸化細菌の特性,特にアンモニアの耐性,至適なpHを調査すると共に,ゲノムを解析し,アンモニア耐性の機構について検討する。 3.新たな窒素サイクルを利用した新規窒素処理プロセスの開発:既存の窒素排水処理は,酸素がある好気性環境下でアンモニアを硝酸塩に酸化する硝化細菌と,酸素のない嫌気性環境下で硝酸塩を窒素ガスに変換する脱窒細菌によって処理が行われている。しかし,Mnを利用した新規の窒素サイクルがあることを示す結果を得た。すなわち,嫌気性環境下で硝化反応が,好気性環境下で脱窒反応が起きる現象である。しかしながら,好気性環境下での脱窒反応も不安定であり,再現性に欠ける。この原因としてMnイオン濃度が影響していると考えられ,好気性環境下での脱窒反応の安定性について検討する。
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