Project/Area Number |
21H04601
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 25:Social systems engineering, safety engineering, disaster prevention engineering, and related fields
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Research Institution | National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention |
Principal Investigator |
山口 悟 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 雪氷防災研究部門, 上席研究員 (70425510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 浩一 株式会社雪研スノーイーターズ(研究室), 雪研スノーイーターズ(研究室), 研究室室長 (10180639)
的場 澄人 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (30391163)
大風 翼 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (40709739)
西森 拓 明治大学, 研究・知財戦略機構(中野), 特任教授 (50237749)
伊藤 陽一 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 雪氷防災研究部門, 契約研究員 (70400017)
新屋 啓文 新潟大学, 災害・復興科学研究所, 准教授 (80794982)
常松 佳恵 山形大学, 理学部, 准教授 (90722207)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥41,860,000 (Direct Cost: ¥32,200,000、Indirect Cost: ¥9,660,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2022: ¥15,210,000 (Direct Cost: ¥11,700,000、Indirect Cost: ¥3,510,000)
Fiscal Year 2021: ¥14,300,000 (Direct Cost: ¥11,000,000、Indirect Cost: ¥3,300,000)
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Keywords | 雪崩 / 吹きだまり / スキー場の雪崩安全管理 / 積雪の時空間変動 / 動的ハザードマップ / 積雪再配分 / 不均一性 / 微細構造 / 雪崩予測 / 積雪構造の不均一性 / スキー場の安全管理 / 確率的ハザードアップ / 積雪構造の時空間変動 / 確率的ハザードマップ / ふきだまり |
Outline of Research at the Start |
本研究では, 今まで雪崩予測で考慮されてこなかった積雪層構造の時空間的非一様性を取り扱える雪崩発生予測モデルを開発し, 雪崩運動モデルと組み合わせることで, 雪崩発生危険性だけではなく発生する雪崩の到達距離までも包括的に予測可能とし, それを基に予測の不確実性に基づく潜在的危険性も考慮した動的雪崩ハザードマップの開発を行う. さらに開発した動的雪崩ハザードマップをスキー場の協力のもと社会実装実験を行い, スキー場を含めた雪崩管理の現場のニーズに即した真に雪崩事故防止に役立つ情報提供が可能なシステムの構築を目指す.
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Outline of Annual Research Achievements |
風砕や風速変動による積雪構造の時空間的な非一様性のモデル化に関しては,積雪構造の時空間的な非一様性の原因を調べるために,吹雪量を自動計測できるスノーパーティクルカウンターを使った観測,小型LiDARを用いた10分間隔での雪庇の発達過程の観測を実施した.それらの結果により開発中のモデルの妥当性を検討した.また形成された吹きだまりの積雪サンプルを採取し, 微細な3次元構造をX線CTで計測した. 積雪構造の時空間的な非一様性をフィールドで簡易に測定できる装置(小型マルチデジタルスノーゾンデ)の開発に関しては, X線CTとMRIを組み合わせることで,積雪微細構造と積雪内部の水分分布との関係を可視化するという今までにまったくない新しい測定技術を開発し,その成果を国際英文誌で発表した.この技術は,開発中に小型マルチデジタルスノーゾンデの検証データの取得に使える技術である. 予測誤差を考慮した情報発信技術の開発では,多項式カオス求積法(PCQ)を多変数へ拡張し,その計算精度や最適な設定を定量的に調べるために,モンテカルロ的な手法との比較を実施した.その結果PCQを用いた場合に必要とされる数値計算の回数は、他の手法よりも一桁以上小さくなることがわかった.また入力値の分布が変化した際に,数値モデルを用いた計算を追加することなく低計算コストで入力値の分布の変化に対応できる可能性が見出された.雪崩運動モデルに関しては,ISeeSnowという雪崩のシミュレーションモデルの比較に関する国際Projectに参加し,シミュレーション結果を共有した.システムの実用化にむけたスキー場の協力を得た社会実装実験に関しては,ニセコアンヌプリ山域で吹きだまりが発達する箇所を地図上で表示可能なシステムを構築し,スキー場関係者に公開するとともに,計算結果の妥当性等に関するフィードバックをもらった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
風砕や風速変動による積雪構造の時空間的な非一様性のモデル化に関しては,詳細な野外観測を実施した.その結果,現在開発を進めているモデルの改良や検証に使うデータが所得でき,モデルの妥当性が確認できた. また吹雪時の積雪の微細構造解析のためのサンプルの所得・解析も実施できた.積雪構造の時空間的な非一様性をフィールドで簡易に測定できる装置の開発に関しては,X線CTとMRIを組み合わせることで,積雪微細構造内の支分分布を可視化するという世界初の手法を開発し,今後の装置の検証データを取得する手段を確立できた.予測誤差を考慮した情報発信技術の開発に関しては,本研究で使用する多項式カオス求積法(PCQ)を多変数へ拡張するとともに,入力値の分布が変化した際に,数値モデルを用いた計算を追加することなく低計算コストで入力値の分布の変化に対応できることを示すことができた.これにより動的な確率論的ハザードマップ作成の道筋が見えた. 一方で今冬は少雪や寒暖差により3月中旬に予定していた人工雪崩実験予定箇所で雪崩が自然発生してしまったため人工雪崩実験は実施できなかった.それに関しては来年実施時期を早める方向でスキー場関係者と協議している.システムの実用化にむけたスキー場の協力を得た社会実装実験では,ニセコアンヌプリ山域で吹きだまりが発達する箇所を地図上で表示可能なシステムを構築し,スキー場関係者に公開し,実際に現場で我々の情報を見てもらうとともに,精度や使い勝手に関してフィードバックをもらった.その結果を元に,来年度以降システムの改良を進める予定である.このように一部小雪の影響で実施できなかった研究内容(人工雪崩実験)もあったが全体としては計画通り進んでいると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
風砕や風速変動による積雪構造の時空間的な非一様性のモデル化に関しては, モデル検証用データに関しては,今年度までである程度取得できた.そのため今後は取得したデータを使って,詳細な風況場と積雪微細構造の関係のモデル化を進めるとともに,構築するモデルと積雪再配分モデルとの融合を進める予定である.積雪構造の時空間的な非一様性をフィールドで簡易に測定できる装置の開発に関しては,試作機作成に向けて,引き続き各センサー部の詳細な設計並びに測定手法の改良に向けた低温室実験や野外観測を実施する予定である. 予測誤差を考慮した情報発信技術の開発に関しては, PCQ法を実際の雪崩ハザードマップへ適用するために必要な雪崩の運動を決める各種パラメータのばらつきを測定するための人工雪崩実験を実施する予定である.なお実施時期を3月中旬から2月中旬にすることで,小雪年でも確実に実験が行うことができるようにするために,現在スキー場と調整中である.それらの人工雪崩実験の結果をモデルに導入することで,PCQ法を用いた確率論的ハザードマップの試作を行う.システムの実用化にむけたスキー場の協力を得た社会実装実験では,構築したシステムを使って我々の生み出す予測情報,観測情報を実際にスキー場関係者に見てもらうとともに,提供した情報の活用方法に関して,引き続き意見交換を実施することで,現場からのフィードバックをもらいながらシステム全体の改良を進めていく予定である.
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