Project/Area Number |
21H04608
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 26:Materials engineering and related fields
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
赤瀬 善太郎 東北大学, 多元物質科学研究所, 講師 (90372317)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥57,590,000 (Direct Cost: ¥44,300,000、Indirect Cost: ¥13,290,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥55,770,000 (Direct Cost: ¥42,900,000、Indirect Cost: ¥12,870,000)
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Keywords | 透過電子顕微鏡 / 電磁場解析 / その場観察 / ローレンツ顕微鏡法 / 電子線ホログラフィー |
Outline of Research at the Start |
近年、透過電子顕微鏡を用いた材料・デバイスの電磁場評価は大きな進展がみられるが、外部磁場の変化に伴う磁区構造変化の観察に関してはまだ発展の余地がある。研究代表者はこの分野でローレンツ顕微鏡法をベースとした独自の観察手法を開発し、現在も材料評価に展開している。本研究では近年透過電子顕微鏡の高分解能観察およびその場観察の分野にて技術的ブレイクスルーを起こしている高性能CMOSカメラを導入することで、研究代表者が開発した磁区構造変化のその場観察手法で得られるデータの質の大幅な改善を図るととともに、データ解析の周辺技術を開発し、先端軟磁性材料の機能解明・性能評価に展開することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年、透過電子顕微鏡を用いた材料・デバイスの電磁場評価は大きな進展がみられるが、外部磁場の変化に伴う磁区構造変化の観察に関してはまだ発展の余地がある。研究代表者はこの分野でローレンツ顕微鏡法をベースとした独自の観察手法を開発し、材料評価に展開している。本研究では近年透過電子顕微鏡の高分解能観察およびその場観察の分野にて技術的ブレイクスルーを起こしている高性能CMOSカメラを導入することで、研究代表者が開発した磁区構造変化のその場観察手法で得られるデータの質の大幅な改善を図るとともに、画像処理法を駆使したデータ解析の周辺技術を開発し、先端軟磁性材料の機能解明・性能評価に展開することを目的としている。 2022年度の研究計画として(a)デジタルデータの解析方法の開発、(b)CMOSカメラを活用した電磁場解析法の模索、(c)実用材料の解析を挙げていた。2022年度からCMOSカメラを搭載した装置を実際に運用し、(a)(b)に関するノウハウを蓄積しつつ、(c)の実用材料の解析を進めた。特に(c)に関して、学会での成果発表後に複数の問い合わせがあり、多種の実用材料を解析する機会を得た。そのうちのいくつかは共同研究へと発展している。また、(a)(b)に関しても、連続ローレンツ顕微鏡像の強度輸送方程式法への展開や、CMOSカメラの高速データ取得特性と電子線ホログラフィーを組み合わせる手法に関して、データが得られてきており、次年度も手法改良の研究を継続する方針である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は本格的に装置を利用できるようになったことから、外部利用者からの観察依頼などを通して、MnZnフェライト、自動車用鋼板、高温環境下で利用される鋼材、磁性ナノ粒子など様々な試料について動的解析を実施し、上記の項目(c)が大きく進展した。そのうちの数件は共同研究へ発展している。 外部への成果発表としては日本顕微鏡学会第78回学術講演会および日本金属学会2022年秋季第171回公演大会にて、MnZnフェライトの磁区構造観察を中心に本研究手法と観察事例を発表した。具体的には集束イオンビーム法で切り出したMnZnフェライトの透過電顕試料に対して1Hzの三角波の交流磁場駆動による磁壁の駆動と2048x2048ピクセル100fpsの撮影を行い、磁壁の滑らかな運動と、粒界にてピンニングが生じる様子の詳細な記録に成功したこと、また20Hzの三角波の交流磁場での磁壁を駆動と300fpsでの撮影により、周波数があがっても同様な磁化過程を辿っていることを確認できたことを報告した(このような現象の実証は従来の静磁場を印加する実験では難しい)。また、課題採択前に観察していた電磁鋼板の試料に対しても新たに観察を行い、CMOSカメラ導入前後のデータを比較した結果を紹介した。 項目(a)(b)については、下記の今後の推進方策に示すような研究を、国内外の研究者の協力のもと進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の装置運用を通じて、以下に挙げるような具体的な課題やアイデアが生じてきたため、次年度はそれらの課題を解決したい。 課題1:「動的ローレンツ顕微鏡データへの強度輸送方程式の適用」 この課題は研究初年度からの課題ではあったが、これを実現するには画像のドリフト補正による位置合わせ以外にも、磁場印加時の電子線入射方向の変化に伴ってベンドコンタ―の位置ずれが生じ、強度輸送方程式の適用が困難になるという本質的な問題があった。しかし、関係者との議論の中で、今回導入したCMOSカメラの広い視野と短い露光時間、データの定量性、およびドリフト補正の技術を活用することで、「磁場印可時の電子線入射方向を固定して、代わりにスクリーン上で像が移動するようになるが、その移動はドリフト補正で追いかける」という新しい方針が得られたので、実験条件の再設定を行って本課題の解決を試みる。最終的には動画データの位相再生の実現につなげたい。 課題2:「CMOSカメラの高速動作特性を利用した電子線ホログラフィーによる電磁場変動の時間分解評価」 本課題で導入したCMOSカメラは「その場観察モード」を利用することで短い露光時間の連続データを取得でき、また得られたデータから任意のフレームを結合したり、スキップしたりと様々な演算が可能である。そこで、得られた連続データからストロボ撮影のデータのような周期的に積算したデータなどの作成も可能である。時間分解能に関しては実際のストロボ撮影には敵わないが、それに準じたデータを簡単に取得できるようになった。そこで、この時間分解特性を利用したホログラフィーの解析に現在取り組んでいるところである。2023年度は撮影条件等を工夫して適用範囲を広げたい。 研究の総括と成果発表に関して、今年度は少なくとも一つの国内会議と二つの国際会議にて発表を行う予定である。また、得られた成果を論文にまとめる。
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Report
(3 results)
Research Products
(5 results)