Project/Area Number |
21H04623
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 26:Materials engineering and related fields
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
村上 恭和 九州大学, 工学研究院, 教授 (30281992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 潤子 九州大学, 水素エネルギー国際研究センター, 教授 (00415952)
吉岡 聰 九州大学, 工学研究院, 助教 (50452818)
玉岡 武泰 九州大学, 超顕微解析研究センター, 助教 (00871229)
北條 元 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (90611369)
吉田 秀人 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (00452425)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥42,250,000 (Direct Cost: ¥32,500,000、Indirect Cost: ¥9,750,000)
Fiscal Year 2024: ¥8,710,000 (Direct Cost: ¥6,700,000、Indirect Cost: ¥2,010,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,320,000 (Direct Cost: ¥6,400,000、Indirect Cost: ¥1,920,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,320,000 (Direct Cost: ¥6,400,000、Indirect Cost: ¥1,920,000)
Fiscal Year 2021: ¥16,900,000 (Direct Cost: ¥13,000,000、Indirect Cost: ¥3,900,000)
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Keywords | 電子顕微鏡 / ナノ粒子 / 電荷移動 / その場観察 / 表面電位 / 分極 |
Outline of Research at the Start |
高感度化された電子線ホログラフィー(局所領域の電磁場解析技術)を駆使して、金属担持触媒材料における活性サイトと、その電荷分布・電位分布の特異性を明らかにする。この目的を達成するために、本研究ではガス雰囲気下での電子線ホログラフィー実験を敢行するとともに、画像取得時の電子照射量制御や、データ解析における情報科学的手法(ノイズと微弱信号の正確な分離技術等)を活用して、金属担持触媒が実働環境で示す状態の究明を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度の研究項目と成果を以下に記す。 (1)ガス雰囲気下での電子線ホログラム収集技術の構築:前年度の成果を踏まえて、担持触媒系試料の電子線ホログラフィーに関わるデータ収集を進めた。研究分担者の松田の協力のもと、環境電子顕微鏡を用いて、担持触媒系試料に関する画像データの取得を行った。環境電子顕微鏡の場合、圧力として100 Paオーダーのガスを装置内に導入する事ができる。しかしながら、入射電子と導入したガスの相互作用(電子線の散乱現象)により画像データの像質が低下し、高精細な画像データを原子分解能で取得するためには、ガス圧をやや低く抑える必要があることが分かってきた。この検証結果は令和5年度の研究課題にも反映させ、引き続き電子線ホログラフィーの高精度解析を進める。 (2)情報科学的手法を駆使した信号抽出法の整備:前年度から研究を開始したウェーブレット隠れマルコフモデルによるホログラムの雑音除去を、低照射条件、或いは露光時間の短い条件で収集したデータの解析に拡張した。この結果、担持触媒系試料に関わる位相解析精度を従来よりも高めることができ、酸化物に担持した金属ナノ粒子の帯電量、ならびに帯電の符号(正帯電、負帯電の区別)を高い精度・確度で決定することができた。 (3)電気分極の空間分布とナノ粒子構造との相関解析:(2)で述べたウェーブレット隠れマルコフモデルに基づく解析を、Pt-TiO2系触媒試料から取得した電子線ホログラムの解析に適用した。その結果、薄片化したTiO2に担持したPtナノ粒子は、担体との結晶方位関係など幾つかの因子に依存して、正にも負にも帯電し得ることが分かった。これらの技術と成果は、光電子分光等を用いた平均情報、即ち大量のナノ粒子から取得したデータの平均値を調べる手法と相補的であり、電子顕微鏡を利用する実験ならではの成果と言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究基盤整備を踏まえて、本年度はガス雰囲気中での画像データ集取に着手した。上述の通り、電子顕微鏡内に導入したガスと入射電子線の相互作用(ガスによる入射電子の非弾性散乱等)の効果を抑えるため、触媒の動作環境に比べてガス圧をかなり低く設定する必要があることが分かってきた。この技術的な課題を解決するためには、比較的低圧力でも触媒反応に関わる素過程の一部を考察し得る試料系の選定のほか、いわゆるIn-situの実験に加えてEx-situの実験も組み入れるなど、データ収集に関わる工夫を必要とするため、引き続き令和5年度の研究でも検討を続ける。一方、情報科学的手法を駆使した信号抽出法の整備と、電気分極の空間分布とナノ粒子構造との相関解析については、上述したように当初の予想を上回る重要な結果を得ることができた。これらを総括して、令和4年度の研究は概ね順調に進んでいるものと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究実績を踏まえ、次年度は、触媒試料からのデータ収集を進めるため、以下のような研究を実施する (1) 電気分極の空間分布の掌握:本年度から開始した関連研究項目を継続・発展させる形で、真空環境下で集取した電子線ホログラムを高精度に位相解析し、電気分極の空間分布に関わる情報を抽出する。特に次年度は、金属ナノ粒子外縁部(真空部分)の位相揺らぎを精緻に解析し、表面電位分布の均一性を検証する。 (2) 電気分極とナノ粒子の相関解明:本研究項目についても本年度の成果蓄積を踏まえて、真空環境下で取得した金属ナノ粒子の帯電状態と、回折・散乱的手法で評価したナノ粒子の局所構造との相関を明らかにする。特に、第一原理計算から予想されるナノ粒子の帯電の符号ならびに凡その帯電量と実験データの比較検討・考察を深め、ナノ粒子の格子歪や担体との結晶方位関係の効果を究明する。 (3) 金属担持触媒のガス雰囲気中観察:金属担持触媒の電子線ホログラムを、環境電子顕微鏡を用いてガス雰囲気下で取得し、その位相再生を通して動作環境を模した状態にある触媒試料の電位分布を追求する。
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