Project/Area Number |
21H04668
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 31:Nuclear engineering, earth resources engineering, energy engineering, and related fields
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
若井 栄一 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, J-PARCセンター, 研究職 (20360422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴山 環樹 北海道大学, 工学研究院, 教授 (10241564)
牧村 俊助 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 先任技師 (10391715)
佐藤 紘一 鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (30378971)
豊田 晃大 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 大洗研究所 高速炉サイクル研究開発センター, 研究職 (30912654)
涌井 隆 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, J-PARCセンター, 副主任研究員 (50377214)
石田 卓 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 講師 (70290856)
古谷 一幸 八戸工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (70354660)
鬼澤 高志 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 大洗研究所 高速炉サイクル研究開発センター, マネージャー (70421584)
岩元 洋介 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, マネージャー (10391327)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥43,030,000 (Direct Cost: ¥33,100,000、Indirect Cost: ¥9,930,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2022: ¥9,750,000 (Direct Cost: ¥7,500,000、Indirect Cost: ¥2,250,000)
Fiscal Year 2021: ¥23,530,000 (Direct Cost: ¥18,100,000、Indirect Cost: ¥5,430,000)
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Keywords | ハイエントロピー合金 / チタン合金 / 4端子電気抵抗法 / 陽電子寿命測定 / 照射損傷 / 同時計測法 / イノベーション物質 / 照射線場 / 電気抵抗測定 / パルスレーザー照射 / 鉄系 / チタン系 / 放射線 / 同時計測 |
Outline of Research at the Start |
原子力、核融合、エネルギー等の分野では放射線による材料や機器の劣化が生じるため、高い耐久性向上や優れた機能を持つ材料開発が期待される。本研究ではイノベーション材料創出に向け、鉄系、チタン系、及びタングステン系の材料を主な研究対象とし、特に複雑系材料(ハイエントロピー合金、高密度ナノクラスターを持つ材料等)に対して放射線場でも材料の内部欠陥状態を電気抵抗測定、陽電子寿命測定及び応力負荷・計測が同時計測できる非破壊検査技術を新たに構築する。本装置による計測結果と関連する材料特性評価、並びに第一原理計算等の解析によってこのような物質の照射損傷の基礎過程や欠陥成長過程を解明し、基礎理論を先進化する。
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Outline of Annual Research Achievements |
イノベーション物質の創製では、低放射化性を向上させるために、これまでにないCoやNiフリーのBCC結晶構造を主体とする鉄系、チタン系のハイエントロピー合金(HEA)の設計・作製を行い、硬さ、結晶構造、微細組織観察、磁気特性試験、弾性波測定等の解析を進め、従来に比べて高い強度を併せ持つ合金を作製することができた。また、BCC結晶構造を主体とするチタン系HEAでは、高温で熱間圧延や熱間鍛造試験を行い、一部に良好な特性を持つものを見だした。さらに、様々な分野で適用が期待されているSUS316FR鋼、チタン合金(β相含む)、TiC添加タングステン等の諸特性と耐照射特性の解析を行った。また、高靭性タングステンにガス元素添加による作製を行い、良好な材料を作製できた。 一方、照射下の非破壊試験評価では、パルスレーザー法(波長512 nm)による応力負荷下で、材料内で生じる電気抵抗値の変化を4端子測定法で調べ、転位形成等による欠陥による電気抵抗測定をしつつ、計測精度を上げるために、付加電流値、温度管理、電圧安定化に関するノイズフィルターによる改善を行った。また、アバランシェ・フォトダイオード(APD)法による陽電子寿命計測システムを構築し、照明の影響やレーザー光の直接光と反射光が当たらないように準備した。これらの計測システムを総合評価するため、様々な準備と試験を進めた。しかし、予期しない熱処理装置の不具合の発生によって一部の測定サンプルの遅れや急冷熱処理による亀裂発生等による強度評価の一部の遅れ、及びAPD測定時の散乱光によるAPD装置の不具合等が生じたため、レーザー光の波長を変え、遮蔽構造を見直して両システム系の計測精度を再検討した。次年度にこれらを基に改良した条件下で、照射下で新物質の同時計測を行う予定である。 なお、これらの研究成果は国内外で学術会議発表及び学術誌に複数投稿を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イノベーション物質の創製では、良好な新物質(鉄系ハイエントロピー合金(HEA)やチタン系HEA)の創製とその評価が、分担者や協力者との連携によって、当初計画以上に進んだ。特に、これまで良好な特性を引き出すことが困難と考えられてきたBCC結晶構造を主とするHEAの作製を進めることができた。その原因の解明等はかなり重要課題であるが、サンプルの作製量がかなり限られていたため、優先順位をつけて特性評価を進める必要があり、諸特性の評価を実施した。但し、その評価中で予期しない熱処理装置の不具合の発生による測定サンプルの遅れや急冷熱処理で亀裂発生による強度評価が一部、実施できないものもあり、計画の見直しを要した。 照射下における非破壊検査システムとして、4端子電気抵抗測定法とAPD等を利用した陽電子寿命計測法の2つの手法の構築を進めた。この中で、パルスレーザー法による照射手法を利用して同時計測を行った。この同時計測を行う前に、各装置の計測精度の向上を進めた。4端子電気抵抗測定による照射欠陥検出に必要な精度を高めるため、環境や計測条件及び電圧ノイズフィルター等を組み合わせた実験は、良好に進めることができたが、予定より多くの時間を要した。また、APD法による陽電子寿命計測法の計測系を構築し、かつレーザーの入射光や反射光を直接に受けないように計測システムの構築を行った。このようにして同時計測実験を行った後、APDが散乱光による影響を受けることが分かった。また、サンプル以外の位置で発生するγ線に対する鉛遮蔽を施したが、まだ影響を受け、計測精度の向上が必要であった。従って入射ビームと同時計測装置の配置等を最適化し、陽電子と電子の対消滅で発生するγ線に対して、不要な位置から発生する量の低減やAPDの光保護膜の強化法を検討した。以上のことから、現在までの進捗状況はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
イノベーション物質の創製では、原子力分野や高エネルギー加速器分野等の放射線下で使用される機器の高度化や高性能化のために必要とされる物質の創製を目指し、R3、R4年度に続き、新物質の創製とそれらの諸特性の試験と解析及び評価、並びにイオン照射(6月頃)や電子線による照射実験(5月と9月頃)を行う。また、超高圧電子顕微鏡による電子線照射実験を主に前半期に併せて行う。これらによって、耐照射性能が高い、世の中に役に立つより優れたイノベーション物質の創製を目指して進めていく。 一方、パルスレーザーを用いた照射下同時計測実験の計測精度を向上させるために、レーザー光は、現在、512 nmの波長を使っていたが、APD機器への散乱光入射の影響を低減するために、APD機器の感度が低いとされる波長領域にある1024 nmの波長を持つレーザー光を用いた試験を行う。さらに、APDに光の薄い保護膜等でカバーした場合の検討等を行うと共に、ガンマ線の遮蔽と検出効率の向上の評価、設計及び製作を施す。これらの試験をそれぞれ独立に前半期中に行い、性能を評価した後、電気抵抗法との同時計測を行う。さらに、電気抵抗測定法では、レーザー照射以外に、電子線照射下での予備試験と本試験(5月と9月頃)を行い、評価していく予定である。この中で本手法の応用性と基礎的なはじき出し損傷過程の評価を進めていくため、京大リニアック電子加速器施設等を利用し、数MeVの電子線照射下で材料や機器で生じる照射挙動の変化を4端子電気抵抗測定系装置の整備と試験を行う。 これらの研究による成果は、国内外の会議や学術誌で発表を行い、専門家と広く議論を行い、さらに、研究を進めていく予定である。また、このような計測方法に基づいた新しい計測技術やこれらを応用した実用機器への非破壊試験による材料損傷評価の実用化を目指していく。
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