Project/Area Number |
21H04674
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 32:Physical chemistry, functional solid state chemistry, and related fields
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石内 俊一 東京工業大学, 理学院, 教授 (40338257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 圭祐 東京工業大学, 理学院, 助教 (80845777)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥42,380,000 (Direct Cost: ¥32,600,000、Indirect Cost: ¥9,780,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2023: ¥11,050,000 (Direct Cost: ¥8,500,000、Indirect Cost: ¥2,550,000)
Fiscal Year 2022: ¥9,620,000 (Direct Cost: ¥7,400,000、Indirect Cost: ¥2,220,000)
Fiscal Year 2021: ¥16,900,000 (Direct Cost: ¥13,000,000、Indirect Cost: ¥3,900,000)
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Keywords | イオン選択性分子 / イオンチャネル / イオノフォア / 冷却イオントラップ法 / レーザー分光 / 冷却イオントラップ分光 |
Outline of Research at the Start |
イオンチャネルやイオノフォア,またクラウンエーテルに代表されるイオン選択性分子では,そのイオン選択性に水和効果が不可欠である。このことは,平衡論的には単純に理解できるが,イオンの透過や包接・放出などの過程に対して,水和効果がどの様な役割を担っているのかは,実験的には全く分かっていない。この様な非平衡過程に対する水和効果を明らかにするためには,分子レベルでの水和効果(微視的水和効果)を解明する必要がある。本研究では,水和を水分子1個ずつ制御できる冷却イオン分光を用い,理論計算を併用することで,イオン選択性に対する微視的水和効果を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
イオンチャネルやイオノフォア,あるいはクラウンエーテールなどのイオン選択性分子は,一般には,周囲に水分子が存在しないとイオン選択性を示さない。本研究は,水和を分子レベルで制御可能な冷却イオン分光を用いて,イオン選択性に対する微視的水和効果の解明を目指している。本年度は以下の項目を実施した。 1)装置改良 2重共鳴分光により異性体選別したスペクトルを測定するには,2つのレーザー光を照射する間で質量分析する必要がある。そこで,リフレクトロン型飛行時間質量分析装置を開発した。1本目のレーザーは冷却イオントラップに導入し,その後,リフレクトロン1段目にイオンを飛行させ質量分析を行う。ここに2本目のレーザーを導入して,生じたフラグメントをリフレクトロン2段目で質量分析する。2本目のレーザーを照射する前に新規に設計・製作した高分解能質量ゲートを設置し,1本目のレーザーで生じたフラグメントを完全除去できるようにした。 2)ビューベリシンのアルカリ金属イオン錯体の研究 イオノフォアであるビューベリシンのイオン選択性については,種々の異なる報告が存在し,詳細は確立しておらず,また,そのイオン選択性のメカニズムも明らかになっていない。そこで,アルカリ金属イオンを含む溶液にビューベリシンを添加し生成した錯体量をエレクトロスプレー質量分析法により比較したところ,Na+に対して高い選択性があることが明らかになった。冷却イオントラップに捕捉した錯体の赤外スペクトルを測定により,その構造的な安定性を解明した。 3)水和金属イオンを認識するイオンチャネルの研究 Ca2+は水和したままイオンチャネルに取り込まれ,イオン識別される。イオン識別のメカニズムを明らかにするために,Ca2+チャネルの選択フィルタードメインの部分ペプチドと水和金属イオンとの錯体を生成し,赤外分光を用いてその選択メカニズムの解明に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
半導体不足等による種々の実験装置の納期遅れがあり,加えて学生の実験装置の操作ミス等による装置の破損があり,急遽代替品の購入などのトラブルがあったものの,自助努力により研究は計画通りに進捗している。論文の出版も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の研究項目の実施を計画している。 1)リフレクトロン型飛行時間質量分析装置の設置 昨年度製作した質量分析装置を現有装置に接続し,装置の最適化と制御システム(高圧電源など)の構築を行う。 2)イオン源の増設の検討 正イオンを負イオンを別々のイオン源で生成し,真空中に導入した後にそれらの複合体を形成する方法を検討する。これは水和イオンを認識するイオンチャネル(マグネシウムチャネル,カルシウムチャネルなど)の研究に不可欠だと考えられる。そのためのイオン光学系をイオン軌道シミュレーションソフトなどを用いて検討する。また,必要な装置で,使用することが確実なもの(ESIスプレーヤーや高圧電源,シリンジポンプなど)は購入を進める。 3)Ca2+イオンチャネルのイオン選択性の研究 昨年度着手したCa2+イオンチャネルの選択フィルター部分ペプチドのCa2+錯体の水和クラスターの研究を進める。水分子が10個以上付加した水和クラスターの赤外分光を行う。同様の測定をCd2+やMn2+錯体に対しても行い,それら錯体の構造の比較から水和金属イオンの選択性について議論する。 4)ビューベリシン・アルカリ土類金属錯体の研究 ビューベリシンはアルカリ土類金属に対しては複数個配位した構造を生成し,それがイオン選択性を示すことが,昨年度の予備実験で分かっている。そこで,その様な錯体の赤外分光及び理論計算により構造を明らかにし,イオン選択性のメカニズムを解明する。
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