Project/Area Number |
21H04685
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 34:Inorganic/coordination chemistry, analytical chemistry, and related fields
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
灰野 岳晴 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 教授 (80253053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関谷 亮 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 准教授 (00376584)
平尾 岳大 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 助教 (20825343)
木原 伸一 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (30284524)
秋根 茂久 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 教授 (30323265)
有賀 克彦 国立研究開発法人物質・材料研究機構, ナノアーキテクトニクス材料研究センター, グループリーダー (50193082)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥42,250,000 (Direct Cost: ¥32,500,000、Indirect Cost: ¥9,750,000)
Fiscal Year 2024: ¥8,970,000 (Direct Cost: ¥6,900,000、Indirect Cost: ¥2,070,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,840,000 (Direct Cost: ¥6,800,000、Indirect Cost: ¥2,040,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,840,000 (Direct Cost: ¥6,800,000、Indirect Cost: ¥2,040,000)
Fiscal Year 2021: ¥15,600,000 (Direct Cost: ¥12,000,000、Indirect Cost: ¥3,600,000)
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Keywords | 超分子ポリマー / らせん / 不斉空間 / 分子認識 / 超分子カプセル / 超分子らせんポリマー / 不斉触媒 / キラルセンサー / 不斉増幅 |
Outline of Research at the Start |
ホモキラリティーの起源に関わる不斉増幅過程を自在に実現する分子論的アプローチは,まだ十分に一般化されていない。本研究課題では,カリックス[4]アレーンやレゾルシンアレーンビスキャビタンドの金属配位により形成する超分子らせんポリカプセルの動的らせん相互変換を制御することで,①包接空孔の不斉増幅を実現する分子論的アプローチを確立し,②不斉増幅できる不斉触媒反応や速度論的光学分割システムを開発する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は,カプセルのラセミ化の機構に関する研究と不斉触媒反応について詳細な研究を行った。カプセルの分子認識は、金属カチオンや使用する溶媒によって変化する。カプセルのホスト-ゲスト錯体形成は、クロロホルムおよびTHF中ではビピリジン部位の部分解離を介して進行し、アセトニトリル中では加速された。重要な発見は、ホスト-ゲスト錯体形成におけるスリップ機構の寄与である。特に,銅イオンで自己集合した自己集合カプセルはキラリティを失うことなくゲストを受け入れることができたので、スリップ機構によりホスト-ゲスト錯体が形成されていることが明確になった。 次に,キラルカプセルの外側で第二級アルコールの速度論的分離を実現した。分子ホストの内部に閉じ込められた空間は、反応容器として機能することができる。しかし、この概念では反応物が大きく制限される。分子カプセルの外側を利用すれば、反応物を分子カプセルの内側に閉じ込める必要がなくなるので、その制約を緩和することができる。光学活性な銅配位カプセルと触媒中心をもつゲストのホスト-ゲスト複合体を用いて、第二級アルコールの速度論的分離を実現した。一連の実験から、2,2'-ビピリジルアーム上の置換基と下部リムのアルキル鎖が反応のエナンチオ選択性に寄与していた。 さらに、我々は、興味深い不斉誘起を見いだした。周辺部に分岐したアルキル鎖を含むテトラキスポルフィリンは,溶液中でも固体状態でも自己集合により右巻きと左巻きが共存する超分子らせんポリマーを形成した。リモネン、α-ピネン、β-ピネン中では、超分子ポリマーの方巻きらせんが誘起され,ECDシグナルを観測することができた。ECDプローブに基づく純粋な炭化水素の超分子キラルセンサーは、これまであまり報告されていない。従って、本研究は、純粋な炭化水素分子のキラリティを検出できる新しい分子センサーの創製につながる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、カプセルのラセミ化のメカニズムと不斉触媒反応に焦点を当てた。カプセルの分子認識は金属カチオンや溶媒、ビピリジンアーム上の置換基によって変化し、特にアセトニトリル中では加速されることが明らかになった。重要な発見は、自己集合カプセルがキラリティを失うことなくゲストを受け入れることで、スリップ機構がホスト-ゲスト錯体形成に寄与することであった。また、キラルカプセルを使用して第二級アルコールの速度論的分離を達成し、外側を利用することで反応物の範囲が制限されないことが示された。さらに、分岐したアルキル鎖を含むテトラキスポルフィリンは超分子らせんポリマーを形成し、α-ピネンの光学純度を高い精度で検出することが可能であることが示された。この研究は、新しい分子センサーの創製につながる可能性がある。以上のように概ね予定した研究計画に沿った成果となっている。特にカプセルのキラリティーを触媒として利用できたことは大きな進展である,またらせんキラルがキラルセンサーとして機能することを発見したことも本研究課題の目指すキラル超分子化学の機能創出の結果である。従って,本研究課題でらせんキラリティに由来する新しい機能を創製すると言う重要な目的の一つを達成したことになる。また,既にこれらの研究成果については,本年度に学術論文として報告した。よって,概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は,超分子カプセルポリマーのらせん構造を用いて超分子触媒系を構築する。特に協同性の発現や触媒反応のスコープアンドリミテーションについて詳細な検討を行う。また,溶媒の不斉から誘起される超分子らせんの触媒機能への展開も行う。これまでの詳細な検討から超分子化学におけるキラル機能の創製に一歩踏み込むことができた。今後は,超分子系触媒という新しい研究領域をさらに拡張することで,新しい超分子触媒化学を世に送り出していきたいと考えている。これらの研究成果について,得られた結果を取りまとめ学会発表を行うと共に,学術雑誌に報告する。
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