Project/Area Number |
21H04732
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 40:Forestry and forest products science, applied aquatic science, and related fields
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
津村 義彦 筑波大学, 生命環境系, 教授 (20353774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永松 大 鳥取大学, 農学部, 教授 (20353790)
小林 元 信州大学, 学術研究院農学系, 准教授 (40325494)
内山 憲太郎 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (40501937)
戸丸 信弘 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (50241774)
本間 航介 新潟大学, 佐渡自然共生科学センター, 准教授 (50323960)
吉田 俊也 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (60312401)
後藤 晋 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (60323474)
久本 洋子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (60586014)
高木 正博 宮崎大学, 農学部, 教授 (70315357)
森 英樹 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (80827551)
廣田 充 筑波大学, 生命環境系, 教授 (90391151)
種子田 春彦 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (90403112)
飯尾 淳弘 静岡大学, 農学部, 准教授 (90422740)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥42,510,000 (Direct Cost: ¥32,700,000、Indirect Cost: ¥9,810,000)
Fiscal Year 2023: ¥10,530,000 (Direct Cost: ¥8,100,000、Indirect Cost: ¥2,430,000)
Fiscal Year 2022: ¥10,790,000 (Direct Cost: ¥8,300,000、Indirect Cost: ¥2,490,000)
Fiscal Year 2021: ¥21,190,000 (Direct Cost: ¥16,300,000、Indirect Cost: ¥4,890,000)
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Keywords | 温暖化 / 樹木 / 可塑性 / 適応的遺伝子 / 遺伝的多様性 / 地球温暖化 / 産地試験 / ダケカンバ / 環境要因 / 遺伝的要因 / 成長 / 環境適応 / 形質 |
Outline of Research at the Start |
地球温暖化などの環境の急激な変化に樹木がどのように応答するかを明らかにするため、ダケカンバの天然分布域全体の11 産地から集めた種子を用いて、世界的に見ても大規模なダケカンバの産地試験林を北海道から九州までの11 箇所に設定した。ダケカンバは主に森林限界周辺の寒冷地に分布するために、温暖化の影響を特に受けやすく、実際にどの程度の温度上昇で生存や成長ができなくなるかは不明である。これらの産地試験林では、樹木の成長と形態形質や光合成関連などの生理形態形質の調査、DNA 解析、遺伝子発現解析を行い、形質の環境適応の程度とその遺伝的支配の強さを明らかにし、地域環境に適応的な候補遺伝子の検出を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、気候変動の影響を強く受ける山岳地上部に生育するダケカンバの葉形質・フェノロジーの種内変異を、11産地・8試験地からなる産地試験を用いて検出し、関連する環境要因や遺伝的要因を推定することを目的とした。8試験地の生存953個体の春葉の乾燥葉重・葉面積・SLA(比葉面積)を測定し、4試験地にて計145個体の開葉日を記録し、それと関連する気候値を解析した。その結果、8試験地中3試験地で北の産地ほど乾燥重が有意に重く、6試験地で北の産地ほど有意に葉面積の広い葉を持ち、5試験地で北の産地ほどSLAが大きいことが分かった。また、開葉日は4試験地中3試験地で北の産地ほど早い傾向があった。主成分分析の結果、葉形質と開葉日は産地の降水量や日射量と関連することが推定された。これら11集団8試験地の苗木からDNAサンプル用の葉を採取し、RAD-seq解析を行なって遺伝的多様性や遺伝的地域性を調査した。これら11産地の潜在生育域の年平均気温、年降水量の頻度分布を算出して、各産地の気候的位置付けを調査した。その結果、釈迦ヶ岳集団の遺伝的多様性は他の10集団と比較して著しく低かった。また気候的には中央アルプス集団は低温域95%区間外に位置し、釈迦ヶ岳は多雨側の95%区間外に位置した。中央アルプス集団の苗木は全集団の平均以下の生存率、樹高、幹直径を示し、釈迦ヶ岳集団の苗木は全集団の平均以下の生存率、樹高、幹直径、成長率を示した。これらの結果から森林限界及び南限集団の成長の悪さは異なる要因によることが示唆された。中央アルプス集団は森林限界に位置して、高山環境に適応するために淘汰を受けた結果であり、また釈迦ヶ岳集団は集団の隔離と孤立で遺伝的多様性が極端に地位遺作なった結果、近親交配が進んだために苗木の成長や生残が悪くなったことが原因であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
北の産地ほど葉面積が広く、開葉日が早く、SLAが大きいことは予測できたことであった。しかし当初考えていた予測よりも興味深い知見も得られている。それは天然分布の端の集団でも森林限界の集団と南限の集団では、同じように成長や生残が悪いにも関わらずその原因が異なることが明らかになった。これらは予測していなかった成果であり、今後、その要因について掘り下げて研究を行なっていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である今年度も成長や生残は全ての試験地で調査を継続する。またこれまでの2年間で得られた成長、形質や遺伝の調査から分かった南限集団と高標高集団の特異性について掘り下げて研究を行う。そのため南限集団については追加のDNA用の葉の採取と産地試験用の種子の採取を行い、これらで新たな試験地を設定して昨年度までに得られた結果と同じ結果が得られるかの検証を行う。
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