Project/Area Number |
21H04736
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 40:Forestry and forest products science, applied aquatic science, and related fields
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久保田 耕平 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (30272438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 紘士 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (00508880)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥42,250,000 (Direct Cost: ¥32,500,000、Indirect Cost: ¥9,750,000)
Fiscal Year 2024: ¥8,970,000 (Direct Cost: ¥6,900,000、Indirect Cost: ¥2,070,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,710,000 (Direct Cost: ¥6,700,000、Indirect Cost: ¥2,010,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,710,000 (Direct Cost: ¥6,700,000、Indirect Cost: ¥2,010,000)
Fiscal Year 2021: ¥15,860,000 (Direct Cost: ¥12,200,000、Indirect Cost: ¥3,660,000)
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Keywords | 菌嚢 / 酵母 / 材食性 / 腐食連鎖 / 気候変動 / バクテリア |
Outline of Research at the Start |
本研究では、コウチュウ目を材料として、主として材食性および腐食連鎖に関わるコウチュウ目-微生物共生系に焦点をあて、新規の微生物保持器官の探索、多様な分類群における共生微生物群集の網羅的解析、共進化動態の解析、生態的機能の解明、気候変動にともなう共生系の動態予測を行う。すでにクワガタムシ科で新規の共生系を発見して予備的研究を進めており、多様なコウチュウ目に対象を広げることで、森林生態系における昆虫―微生物共生系への理解を格段に深め、共生機能に配慮した森林管理法の開発に貢献することを目指している。
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Outline of Annual Research Achievements |
〇コウチュウ分類群の共生微生物のメタゲノム解析:本年度はホスト材のタイプが異なるルリクワガタPlatycerus属3種の雌成虫菌嚢、消化管、幼虫の消化管、糞、ホスト材中の坑道壁等の120サンプルについて、真菌類、バクテリア類のメタゲノムを解析中で、次年度に結果の取りまとめを行う。 〇ホストコウチュウ目と共生微生物の共進化動態解析:昨年度までの解析結果に加えて、本年度は中国安徽農業大学の張勝男博士との共同研究関係を構築し、日本産・中国産クワガタムシ科のさらに幅広い分類群と共生酵母の共進化動態解析を行った。クワガタムシ科の種・個体群において、性比の偏りに共生バクテリアであるWolbachia pipientisが関与している可能性を検討し、実際に感染している個体をクワガタムシ科で初めて確認した。 〇気候変動にともなうコウチュウ目分類群―微生物共生系の動態予測:日本産クワガタムシ科の多様な種から分離した共生酵母について、高温耐性がホストクワガタ種の生息環境と相関を持つことが明らかになり、ホスト昆虫の動態予測には、共生微生物の要求環境を考慮する必要があることが示唆された。 〇コウチュウ分類群―微生物共生系の生態的機能の解明:昨年のコクワガタから材料を多様な属に広げ、共生酵母および共生バクテリアが木材構成成分の資化やホスト昆虫の成長・発育にどのような機能を果たしているか検討するため、培養実験・飼育実験を行った。それぞれの微生物の効果が示唆される結果が得られており、さらに次年度も実験を継続する。 〇解析候補種の遺伝的分化、生態ニッチ分化解析:解析候補の材食性昆虫のクワガタムシ科、腐食連鎖に関わるオサムシ科の種について、解析ユニットを決定するための遺伝的分化、生態ニッチ分化解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初の計画のうち、材食性昆虫の共生微生物のメタゲノム解析や共進化動態解析に関しては、解析が順調に進んでおり、次年度中に結果が取りまとめられる見込みである。また、性比の偏りをもたらす可能性のあるバクテリアのWolbachia pipientisとの共生関係がクワガタムシ科で初めて明らかにされる等の新規の発見もあった。年度をまたいで継続している気候変動にともなうコウチュウ目分類群―微生物共生系の動態予測、コウチュウ分類群―微生物共生系の生態的機能の解明等についても、順調にデータを積み重ねている。2023年12月より研究代表者が公務災害での左膝の骨折・手術とリハビリテーションのため、80日間ほど実験実施が困難となった期間があったが、全体としてはほぼ順調な進捗状況と判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
クワガタムシ科の微生物に関するメタゲノム解析は、現在1回目の解析中であるが、2回目に向けてのサンプル収集も進めている。共生系の機能解析についても、各種のクワガタムシ科の種で進行中であり、ホスト昆虫と共生微生物の共進化動態の解明、共生微生物の垂直伝播プロセス、幼虫の成長・生存への貢献、各種糖類の資化能力等の検討を2024年度も継続し、論文化を進める。現在多くの項目で中国(安徽農業大学:張勝男博士)および韓国(江原大学校:金鍾國博士)の研究者とのデータを共有しての共同研究に向けて情報交換を行っており、東アジア地域全体としてのコウチュウ目と共生微生物の共進化動態の解明に向けても研究を進めてゆく予定である。
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