DNA複製と共役する姉妹染色分体間接着機構の一分子動態理解
Project/Area Number |
21H04767
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 43:Biology at molecular to cellular levels, and related fields
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Research Institution | Kyoto University (2022-2024) Nagoya University (2021) |
Principal Investigator |
西山 朋子 京都大学, 理学研究科, 教授 (90615535)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥41,600,000 (Direct Cost: ¥32,000,000、Indirect Cost: ¥9,600,000)
Fiscal Year 2024: ¥8,450,000 (Direct Cost: ¥6,500,000、Indirect Cost: ¥1,950,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,450,000 (Direct Cost: ¥6,500,000、Indirect Cost: ¥1,950,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,410,000 (Direct Cost: ¥5,700,000、Indirect Cost: ¥1,710,000)
Fiscal Year 2021: ¥8,060,000 (Direct Cost: ¥6,200,000、Indirect Cost: ¥1,860,000)
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Keywords | 姉妹染色分体間接着 / DNA複製 |
Outline of Research at the Start |
すべての真核生物において、複製されたDNA同士はかならず接着される。この姉妹染色分体間接着における大原則は、真核生物のゲノム均等分配を根底から支える基本原則でありながら、その分子メカニズムが明らかになっていない。本研究では、接着確立因子Sororinの複製依存的なローディング機構と、接着を担うコヒーシン複合体の構造変化に着目し、細胞生物学、生化学的手法と一分子解析手法を組み合わせることにより、DNA複製依存的に確立される接着機構の全容を一分子レベルで理解することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
すべての真核生物において、複製されたDNA同士はかならず接着される。この姉妹染色分体間接着における原則は、真核生物のゲノム均等分配を支える基本原則でありながら、その分子メカニズムが明らかになっていない。本研究では、接着確立因子Sororinの複製依存的なローディング機構と、接着を担うコヒーシン複合体の構造変化に着目し、細胞生物学、生化学的手法と一分子解析手法を組み合わせることにより、DNA複製依存的に確立される接着機構の全容を一分子レベルで理解することを目指す。 これまで、Sororinのローディングに必要な因子の同定を目的とし、ツメガエル卵抽出液を用いてSororin結合因子の網羅的な同定を行い、複数の因子を同定したが、細胞核内での結合因子をより的確に探索するため、核質成分をより濃縮させる必要があった。このことから、今年度は、細胞核抽出液を用い、Sororin結合因子の探索を行う系の確立に取り組んだ。その結果、少なくともツメガエル卵抽出液においては、間期卵抽出液中での核形成後、核を収集することで、DNA複製因子や接着因子コヒーシン、サイクリンEなどが濃縮された細胞核抽出液(NPE)を作製することに成功した。その一方で、濃縮されなかった因子もあり、特に結合因子探索に用いるSororinの存在量がNPEで激減していることが明らかとなり、リコンビナントタンパク質などで補う必要があることが明らかとなった。また、同定した因子の姉妹染色分体間接着やDNA複製における寄与を明らかにするため、ツメガエル卵抽出液からの免疫除去法やオーキシンデグロン法を用いて当該因子を分解実験可能なヒトHCT116細胞を作製し、検証系を立ち上げた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究で、Sororin結合因子の同定をより的確に行うため、核質成分を濃縮させる必要があるという結論に至った。このことから、今年度はまず、Sororin免疫沈降にもちいる細胞核抽出液作製法の検証を行った。これまで用いてきたツメガエル卵抽出液は、ツメガエル未受精卵を賦活させて作製した間期卵抽出液であり、極めて細胞周期同調性が高いという特徴を持つ。一方、核質成分は含むものの、間期細胞核内ほどの核内タンパク質の濃縮率はなく、DNA複製関連因子などの濃縮率は十分ではなかった。もし核質成分を濃縮する場合は、卵抽出液中で作らせた多量の間期細胞核を集めることにより核質を得る必要がある。そこで間期卵抽出液に精子核DNAを加え、核を形成させたのち、成長した細胞核を低遠心により収集し、超遠心の上清画分を核質として得た。得られた核抽出液(NPE)の成分をウェスタン解析で確認したところ、コヒーシンサブユニットやサイクリンE、複製因子など、核質中に存在すると期待される因子の濃縮が確認された。一方、NPEにおけるSororinの存在量は減少しており、上記の手法で得られた核質中にSororinは存在しないことが明らかとなった。このため、内在性Sororinにかわりにリコンビナントタンパク質Sororinを添加するなどの手法をとる必要がある。 ツメガエル卵抽出液からの免疫除去法に基づいた因子除去については、いくつかの候補因子について、免疫除去用の抗体作製に着手した。また、オーキシンデグロン法により目的の因子を分解実験可能なヒトHCT116細胞についても、いくつかの候補因子について、ゲノム編集を用いてmAID付加遺伝子を作製し、オーキシン依存的に分解出来る細胞の作製を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度、Sororin結合因子のスクリーニング方法を検証し、ツメガエル卵抽出液を使う場合、核質成分の濃縮が必要であることが判明した。しかし完成した核抽出液では核質成分は濃縮されたものの、Sororin自体の存在量が減少することがわかり、それを補うために、リコンビナントSororinの添加が必要であるとの結論に至った。今後はこの方法で、リコンビナントSororinのpull downにより、結合因子を明らかにして行く。 また、ツメガエル卵抽出液からの免疫除去法に基づく接着関連因子の除去については、いくつかの候補因子について、免疫除去用の抗体作製に着手した。今後は系の確立を進めながら、接着および複製の表現型を調べていく。 オーキシンデグロン法を用いた分解実験(ヒトHCT116細胞)系も、引き続きゲノム編集によるmAID挿入株の確立を続け、接着・複製の表現型を明らかにしていく予定である。
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Report
(3 results)
Research Products
(7 results)