Project/Area Number |
21H04812
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 51:Brain sciences and related fields
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
古屋敷 智之 神戸大学, 医学研究科, 教授 (20362478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小坂田 文隆 名古屋大学, 創薬科学研究科, 准教授 (60455334)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥41,730,000 (Direct Cost: ¥32,100,000、Indirect Cost: ¥9,630,000)
Fiscal Year 2024: ¥12,220,000 (Direct Cost: ¥9,400,000、Indirect Cost: ¥2,820,000)
Fiscal Year 2023: ¥12,220,000 (Direct Cost: ¥9,400,000、Indirect Cost: ¥2,820,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,190,000 (Direct Cost: ¥6,300,000、Indirect Cost: ¥1,890,000)
Fiscal Year 2021: ¥9,100,000 (Direct Cost: ¥7,000,000、Indirect Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | レジリエンス / 慢性ストレス / 老化 / 全脳イメージング / 一細胞オミクス解析 |
Outline of Research at the Start |
うつ病など心の病には社会からのストレスや老化など後天的な要因が深く関わる。我々は、マウスの慢性ストレスが脳内外の炎症反応によりうつ・不安様行動を誘導することを示してきた。一方、慢性ストレスや老化による脳機能障害には個体差があり、レジリエンスの存在が示唆されるが、実態は不明である。本研究では、神経活動・炎症反応の全脳イメージング、一細胞オミクス解析、神経活動・細胞・分子操作など先端技術を駆使し、慢性ストレスや脳機能老化に対するレジリエンスを担う神経回路・脳組織リモデリング・脳末梢連関を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
心の病には社会からのストレスや老化など後天的な要因が深く関わる。マウスの慢性ストレスは脳内外の炎症反応によりうつ・不安様行動を誘導する。慢性ストレスや老化による行動変化には個体差があり、レジリエンスの存在が示唆される。また即効性抗うつ薬や特定の環境・生活習慣がレジリエンスを増強することも知られる。しかしこれらレジリエンスの生物学的実態は不明である。本研究では、慢性ストレスや脳機能老化に対するレジリエンスを担う神経回路・脳組織リモデリング・脳末梢連関を解明する。本年度は以下の研究を実施した。 項目1.慢性社会ストレスによる脳機能障害に対するレジリエンスの機序の解明:G欠損型狂犬病ウイルスベクター等を用い、慢性社会ストレスにより変化する前頭前皮質への神経入力を同定し、化学遺伝学的手法により認知情動変容への関与を示した。炎症性細胞のオミクス解析や遺伝子欠損マウスなどを用い、慢性社会ストレスによる炎症応答を担う複数の分子経路を同定し、各経路が特異的な脳機能に影響することを示した。レジリエンス関連代謝物の合成酵素欠損マウスの情動変容と免疫系の関与を示した。 項目2.老化による脳機能障害に対するレジリエンスの機序の解明:脳機能障害を示す老化感受性群と示さない老化抵抗性群を分類する実験系を確立し、全脳イメージングやオミクス解析を用い、脳機能障害の個体差と相関する分子・細胞変化を発見した。老化マウスで異常が見られた脳領域の活動を化学遺伝学的に操作し、情動行動への影響を示した。 項目3.即効性抗うつ薬や特定の環境・生活習慣によるレジリエンス増強の機序の解明:レジリエンスを増強しうる低用量ケタミン投与などが慢性ストレス・脳機能老化に与える影響を調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、慢性ストレスや脳機能老化に対するレジリエンスを担う神経回路・脳組織リモデリング・脳末梢連関の実態とメカニズムを解明するものであるが、いずれの項目についても研究が推進されている。逆行性トレーサーを用いた組織学的解析、オミクス解析、化学遺伝学を用いて、慢性ストレスに対するレジリエンス、脳機能老化に対するレジリエンスと関連する神経回路や分子群を同定し、その一部はレジリエンスとの因果関係を明らかにしている。レジリエンス関連代謝物の合成酵素欠損マウスではレジリエンス障害を示唆する行動異常や免疫系の関与を見出している。以上の研究成果から、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
項目1.慢性社会ストレスによる脳機能障害に対するレジリエンスの機序の解明:これまでの解析を継続しつつ、慢性社会ストレスにより変化する前頭前皮質への神経入力の神経活動を計測するとともに、遺伝子発現変化や転写エピゲノム制御を調べ、その役割を分子操作により調べる。炎症性細胞が他の脳細胞に与える影響を電気生理や一細胞オミクス解析により調べる。レジリエンス関連代謝物が情動行動を制御する脳基盤を全脳イメージングや一細胞オミクス解析等で調べる。 項目2.老化による脳機能障害に対するレジリエンスの機序の解明:これまでの解析を継続しつつ、老化に伴う当該脳領域の神経投射や遺伝子発現の変容を調べ、分子操作や神経活動操作も行い、脳機能老化に対するレジリエンスの階層縦断的メカニズムに迫る 項目3.即効性抗うつ薬や特定の環境・生活習慣によるレジリエンス増強の機序の解明:これまでの解析を継続しつつ、レジリエンス増強が見られる操作について全脳イメージングやオミクス解析等を実施する。
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