Project/Area Number |
21H04858
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 59:Sports sciences, physical education, health sciences, and related fields
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
征矢 英昭 筑波大学, 体育系, 教授 (50221346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 正洋 筑波大学, 体育系, 助教 (30726617)
グレニエ フランソワ 筑波大学, 体育系, 研究員 (90738692)
永野 敦子 筑波大学, 体育系, 研究員 (90897886)
Yassa Michael 筑波大学, 体育系, 教授 (90817610)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥42,250,000 (Direct Cost: ¥32,500,000、Indirect Cost: ¥9,750,000)
Fiscal Year 2023: ¥11,440,000 (Direct Cost: ¥8,800,000、Indirect Cost: ¥2,640,000)
Fiscal Year 2022: ¥15,990,000 (Direct Cost: ¥12,300,000、Indirect Cost: ¥3,690,000)
Fiscal Year 2021: ¥14,820,000 (Direct Cost: ¥11,400,000、Indirect Cost: ¥3,420,000)
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Keywords | 海馬 / 低強度運動 / 認知機能 / ドーパミン / レプチン / 青斑核 |
Outline of Research at the Start |
パンデミックや震災など度重なる社会経済不安や身体不活動に伴う身心の活力喪失は、認知症やうつ病など海馬機能低下に由来する疾患者を急増させている。この解決に向け我々は、誰もが意欲的に継続可能な低強度運動が海馬を刺激し記憶能を増強させること(PNAS, 2012; 2018など)、またその脳内分子機構としてドーパミン系が活性化し、その調節が認知症やうつ病の病因とも関係する脳幹の青斑核から生じるとする証拠を掴んだ。この新たな「運動-海馬ドーパミン仮説」を動物からヒトへの橋渡し研究により徹底検証することで、運動を神経科学的証拠を有する海馬機能増強戦略へと変容させ、その強い臨床価値を実装に向け提案する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、誰もが意欲的に継続可能な低強度運動が海馬を刺激し記憶を増強させるメカニズムを、青斑核 (LC) ―海馬ドーパミン (DA) 系に着目し、動物―ヒト橋渡し研究により徹底検証することで、強固な神経科学的エビデンスを有する海馬機能増強戦略として提案することを目指す。3年計画の2年目である令和4年度は、実験計画に従いプロジェクト1~3を実施した。 プロジェクト1では、一過性低強度運動がLCの活動及び海馬へのDA放出を増加させる効果について投稿中である。これらの作用を抑制するDREADDや拮抗薬を用いた実験を進行中である。加えて運動時のin vivo神経活動記録のためにファイバーフォトメトリーを導入した (課題1-1)。 プロジェクト2では、ヒトにおいても低強度運動中のLCの活性化が海馬機能向上に関与するかどうかを検討すべく、LCの活動動態を予測するとされる非侵襲的な指標・瞳孔径を用いて実験を推進した。低強度運動でも瞳孔径が拡張することについて論文化した (Kuwamizu et al., JPS, 2022)。また、MRIを用いた検討から、低強度運動による瞳孔径の変動とLCの統合性が相関することを確認し、その成果について投稿中である (課題2-1)。 プロジェクト3では、海馬機能が低下した病態モデル動物 (PTSDモデルラットなど) に対する低強度運動介入を開始し、病態の予防・改善効果やLC-海馬DA系との関与を検討している (課題3-1)。ヒト実験では健常者からうつ傾向者をスクリーニングし、安全に運動実施するための条件を検討した (課題3-2)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロジェクト1では、一過性低強度運動による海馬活性化にLC由来DAの関与を示唆する成果を取りまとめることができた (投稿中)。DREADDや拮抗薬を用いてこれらの作用を抑制することに成功できれば、海馬の神経可塑性や記憶・学習との関連性を検討可能と想定している (課題1-1)。 プロジェクト2では、低強度運動中にLCの活動指標となる瞳孔が頑強に拡大することを明らかにした (Kuwamizu et al., JPS, 2022)。さらに、LCの活動をより詳細に探るため、MRIによる解析法の確立を進め、低強度運動による瞳孔拡大とLCの統合性が相関することを確認できた (投稿中)。低強度運動による海馬課題成績向上とLCの統合性の関連を検討する実験を開始している (課題2-1)。 プロジェクト3では、病態モデル動物への低強度運動介入を本格的に開始できた。PTSDへの運動効果を確認でき、投稿中である (課題3-1)。ヒト研究では、抑うつ傾向のある被験者をスクリーニングし、一過性の低強度運動の効果を検討する実験を開始できた。気分や海馬パターン分離能に対して運動中の瞳孔拡大との関連を確認することで、LC活動の関与を検討可能と想定している (課題3-2)。
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Strategy for Future Research Activity |
プロジェクト1では、低強度運動で活性化するLC-海馬DA系の薬理遺伝学・光遺伝学的な阻害実験から、低強度運動による記憶や海神経可塑性の向上への役割をin vivoイメージング技術 (電気生理学・ファイバーフォトメトリーなど) を用いながら詳細に検討する (課題1-1)。 プロジェクト2では、MRIを用い、低強度運動による海馬パターン分離能の向上や海馬歯状回神経活動とのL Cの関連性を評価する。さらに、アミノ酸介入によるDA抑制を用いることで低強度運動で生じるヒト海馬機能向上に対するDAの関与を検討する。これらの検討から、低強度運動によるヒト海馬機能の増強においてもLC-DA系が重要であるかどうかを検証する (課題2-1)。 プロジェクト3では、海馬機能低下を呈する動物が、LC-海馬DA系の機能的・形態的な異常を伴うかを確認する。さらに、低強度運動がLC-海馬DA系を介して病態の予防・改善に寄与するかを検討する (課題3-1)。ヒト実験では、健常者の中から質問紙を用いて不安・うつ傾向を有する可能性のある母集団を募集し、低強度運動介入により海馬機能や不安・うつ傾向が改善するかを検証する (課題3-2)。
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