Project/Area Number |
21H04932
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 63:Environmental analyses and evaluation and related fields
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
柿沼 志津子 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 放射線影響研究部, 研究員 (20392219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尚 奕 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 放射線影響研究部, 主任研究員 (50533189)
鶴岡 千鶴 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 放射線影響研究部, 主任研究員 (60415411)
森岡 孝満 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 放射線影響研究部, グループリーダー (70253961)
臺野 和広 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 本部 経営企画部, 上席研究員 (90543299)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥42,380,000 (Direct Cost: ¥32,600,000、Indirect Cost: ¥9,780,000)
Fiscal Year 2023: ¥9,750,000 (Direct Cost: ¥7,500,000、Indirect Cost: ¥2,250,000)
Fiscal Year 2022: ¥14,560,000 (Direct Cost: ¥11,200,000、Indirect Cost: ¥3,360,000)
Fiscal Year 2021: ¥18,070,000 (Direct Cost: ¥13,900,000、Indirect Cost: ¥4,170,000)
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Keywords | 放射線発がん / ゲノム変異 / 欠失領域 / 融合遺伝子 / 発がん / 放射線 / DNA二本鎖切断再結合配列 / 発がんの分子機構 / アーカイブ / 被ばくのリスク |
Outline of Research at the Start |
ヒトのがんには生活環境や遺伝要因など多くの原因が存在するため、放射線の発がんの正しいリスク評価や、がん予防策の構築には、放射線発がん特有の分子メカニズム解明が必須であるがエビデンスは未だ十分ではない。①放射線被ばくに特徴的なゲノム変異と発がんリスクの関連を明らかにし、②ゲノム変異に基づいて放射線発がんの分子機構を解明することを目的とする。得られた結果は、被ばくによる発がんリスク評価の精緻化に有用であるほか、被ばくした人の将来的な発がん予防のための分子標的戦略に貢献できると考える。
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Outline of Annual Research Achievements |
医療における放射線を用いた治療や検査の増加や、福島原発事故後の放射線への関心の高まりに伴い、放射線被ばくによる発がんが懸念されている。ヒトのがんの原因には生活環境や遺伝要因などがあるため、被ばくによる正しい発がんリスク評価や将来的ながん予防のためには、放射線発がん特有の分子メカニズムの解明が必須であるが、エビデンスは未だ十分ではない。我々は、マウスやラットを用いた大規模実験により「被ばくによる寿命短縮や発がんリスクは、被ばく時年齢や線質に依存する」ことや、一部のがんにおいて「放射線に特徴的なゲノム損傷がある」ことを明らかにし、国際的にこの分野をリードしてきた。本研究では、これまでの研究で得られた世界的に見ても貴重な腫瘍サンプルアーカイブをゲノムレベルで体系的に解析し、①放射線被ばくに特徴的なゲノム変異と発がんリスクの関連を明らかにし、②ゲノム変異に基づいて放射線発がんの分子機構を解明することを目的とする。得られた結果は、被ばくによる発がんリスク評価の精緻化に活用できるほか、被ばくした人の将来的な発がん予防のための分子標的戦略に活用できると考える。 R4年度は、肝がん、肺がん、腸管がんの病理組織解析を継続し、一部の実験群において放射線被ばくによる発がんリスクの増加を確認しゲノム解析に進めた。Tリンパ腫とBリンパ腫の各種変異解析を進め、特定の染色体領域でのゲノム欠失を明らかにした。また、Tリンパ腫のゲノム欠失領域について、二重鎖切断再結合部位のつなぎめ配列(DSB再結合配列)の解析、および乳がんやBリンパ腫の融合遺伝子の探索解析を継続した。発がんリスク、およびゲノム変異に関する論文および国際学会を含む複数の学会で成果を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
病理組織解析を継続し、放射線被ばくにより発がんリスクの増加を確認した実験群を明らかにし、ゲノム変異解析に進めた。放射線被ばく後に発生したTリンパ腫とBリンパ腫において観察される特定の染色体領域のゲノム欠失と遺伝子変異を明らかにし、論文発表した。また、Tリンパ腫や髄芽腫のゲノム欠失領域の二重鎖切断再結合によるつなぎめ配列(DSB再結合配列)や、乳がんとBリンパ腫の融合遺伝子の解析が順調に進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 腫瘍の病理組織解析による発がんリスクの解析:肝がん、腸管がんの解析を継続し、放射線被ばくにより発がんリスクが増加した実験群についてゲノム解析に進める。 2)放射線特異的ゲノム変異の解析:全エクソームシークエンス解析により、遺伝子領域内の塩基置換・挿入・欠失・LOHなど遺伝子の機能に影響を与える変異を明らかにする。同時に、アレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)解析により、全ゲノム領域におけるDNAコピー数異常を明らかにする。Tリンパ腫とBリンパ腫および肝がんについて、解析を進める。 3)DNA二本鎖切断再結合配列の解析:Tリンパ腫のゲノム欠失領域について解析を継続するとともに、Bリンパ腫および髄芽腫で明らかになっているゲノム欠失領域のDNA二本鎖切断再結合配列の解析を進める。 4)融合遺伝子の解析:乳がん、肺がん、Tリンパ腫の融合遺伝子の探索を継続する。
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