Project/Area Number |
21H04947
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 64:Environmental conservation measure and related fields
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
武田 志乃 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 放射線規制科学研究部, シニアスタッフ (00272203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 輝昭 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 放射線規制科学研究部, グループリーダー (70443067)
大澤 大輔 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 物理工学部, 主任技術員 (90324681)
楠本 多聞 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 計測・線量評価部, 主任研究員 (90825499)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥41,470,000 (Direct Cost: ¥31,900,000、Indirect Cost: ¥9,570,000)
Fiscal Year 2024: ¥7,410,000 (Direct Cost: ¥5,700,000、Indirect Cost: ¥1,710,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,150,000 (Direct Cost: ¥5,500,000、Indirect Cost: ¥1,650,000)
Fiscal Year 2022: ¥11,830,000 (Direct Cost: ¥9,100,000、Indirect Cost: ¥2,730,000)
Fiscal Year 2021: ¥7,930,000 (Direct Cost: ¥6,100,000、Indirect Cost: ¥1,830,000)
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Keywords | ウラン / 内部被ばく / 骨 / マイクロCT / 分布 / 化学状態分析 / 局所線量 / 放射光 / 量子ビーム |
Outline of Research at the Start |
骨は内部被ばく核種の分配が多く長期残存する器官と見積もられており、骨からの核種代謝情報は内部被ばく線量・リスク評価に重要である。現行の核種骨移行評価はシミュレーションが主体であるが、血流から骨髄、さらには骨芽細胞・破骨細胞が多彩に連携・相互作用して織りなす骨形成・石灰化・リモデリングプロセスにおける核種の動態を解析するミクロンレベルでの新たな取り組みが必要である。本研究では、ストロンチウム、ウランを投与したラットモデルを用い、骨髄細胞画分の核種動態解析や影響解析と放射光ビームを用いた2次元的分布・化学形・局所線量解析、3次元計測を組み合わせ、新たな骨への核種移行評価法の確立に取り組む。
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Outline of Annual Research Achievements |
骨は内部被ばく線量・リスク評価の重要器官である。現行の内部被ばく核種の骨移行評価はカルシウムの体内動態モデルを基盤としたシミュレーションが主体であり、ウランにおいては体内動態や生体内での化学的性質が著しく異なるにもかかわらず、ストロンチウム、ラジウム等のアルカリ土類金属と同じモデル計算で評価されている。数少ない動物実験による定量データも骨基質と骨髄を区別して評価していない。本来、内部被ばく核種の骨移行を評価するためには、血流から骨髄、さらには骨芽細胞・破骨細胞が多彩に連携・相互作用して織りなす骨形成・石灰化・リモデリングプロセスにおける核種の動態を解析するミクロンレベルでの新たな取り組みが必要である。本研究では、ウラン等の内部被ばく核種を投与したラットモデルを用い、骨髄細胞画分の核種動態解析や影響解析と量子ビームを用いた2次元的分布分析・化学形解析、局所線量解析、3次元計測を組み合わせ、新たな骨への核種移行評価法の確立に取り組む。 令和5年度は広領域SR-XRF(放射光蛍光X線分析)を導入し、ラット大腿骨の膝関節から股関節にかけての縦断面切片に対する元素イメージングの取得を検討した。またマイクロPIXE(荷電粒子励起X線)分析により骨組織試料の局在部におけるカルシウム-リン比を見積もるため、分析標準を検討し骨組織中カルシウムおよびリンの定量化に取り組んだ。大腿骨に対する3次元計測については引き続き定量化に影響する不確かさ因子について解析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では軟組織と硬組織が複雑に入り組む構造を有する骨組織に対して、ミクロンレベルの新たな核種移行評価法の確立を目指す。内部被ばく核種のばく露動物モデルの大腿骨を対象とし、1)骨髄画分の核種動態・影響解析、2)大腿骨組織の薄切試料に対する元素分布・化学形・組織病理解析、3)局所線量解析、4)3次元計測により、総合的に骨組織への核種移行を評価する。令和5年度は1)、2)、4)については実試料の解析に着手し、データを構築した。3)については飛跡検出条件や組織像の取得について検討を行った。 1)骨髄画分の核種動態・影響解析:ウラン投与ラット大腿骨の骨髄画分についてのICP-MSによるバルク濃度測定を進め、投与量や経時変化についてのデータを構築した。 2)大腿骨組織の薄切試料に対する元素分布・化学形・組織病理解析:今年度は数百ミクロンのビームを用いた広領域イメージングを導入した。薄切分析標準を用いて、骨組織中ウラン等の検出感度を評価すると共に、ラット大腿骨試料に対する広領域イメージングを得た。これまでのマイクロビーム分析では予測できなかった部位でのウラン蓄積を確認した。またマイクロPIXEでのカルシウムおよびリンの定量に向けて、従来の薄切分析表順に加え滴下標準による評価を検討した。 3)局所線量解析:CR-39によるα線飛跡解析のための試行として、エッチング条件や組織転写状態の確認を行った。 4)3次元計測:ウラン投与ラット大腿骨の放射光マイクロ吸収コントラストCT法による測定データについて、定量化に影響する不確かさ因子について解析を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度はウランばく露モデルの元素イメージング経時的データの構築とCR-39によるα線飛跡解析用試料調製を中心に行う。 1)骨髄画分の核種動態・影響解析: ばく露動物モデルの作出を引き続き行うと共に、ICP-MSによるバルク濃度の測定を進め、用量依存・経時的データを構築する。骨髄細胞のDNAダメージ評価についてはさらに検出条件検討を行う。 2)大腿骨組織の薄切試料に対する元素分布・化学形・組織病理解析:これまでに確立した空間分解能数百ミクロンの広領域イメージングと空間分解能数ミクロンの微細イメージングの両者を組み合わせ、ラット大腿骨ウラン分布解析を進める。カルシウム標識と対応させ、骨形成との関係を明らかにする。骨組織におけるウランおよび内因性微量元素の定量化も引き続き進める。官能基を付した樹脂等を用いてウラン化学形解析のための比較標準を作成し、骨ウラン局在部の化学形解析を行う。 3)局所線量解析:大腿骨薄切試料に対する解析を引き続き進める。薄切試料をCR-39に付着させ、一定時間感光後、α線飛跡を解析する。自家蛍光等のバイオイメージングを活用して、骨組織像とα線飛跡とを精密に対応させる。 4)3次元計測:マイクロCT画像の解析を進めるとともに、マイクロ吸収コントラストCT法によるウラン検出評価を引き続き進める。膝関節から股関節にかけての領域についてのマイクロCT画像の取得も行う。
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