Project/Area Number |
21H04954
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 90:Biomedical engineering and related fields
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
岸田 晶夫 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (60224929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 剛 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 准教授 (10393216)
橋本 良秀 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (40638384)
中村 奈緒子 芝浦工業大学, システム理工学部, 准教授 (70754878)
小林 真子 東北大学, 工学研究科, 助教 (70908912)
佐々木 善浩 京都大学, 工学研究科, 准教授 (90314541)
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Project Period (FY) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥41,730,000 (Direct Cost: ¥32,100,000、Indirect Cost: ¥9,630,000)
Fiscal Year 2024: ¥7,280,000 (Direct Cost: ¥5,600,000、Indirect Cost: ¥1,680,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,190,000 (Direct Cost: ¥6,300,000、Indirect Cost: ¥1,890,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,580,000 (Direct Cost: ¥6,600,000、Indirect Cost: ¥1,980,000)
Fiscal Year 2021: ¥10,400,000 (Direct Cost: ¥8,000,000、Indirect Cost: ¥2,400,000)
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Keywords | 組織工学 / 脱細胞化組織 / 再生医療 / 細胞外小胞 / 免疫反応 / 細胞外マトリックス / マトリックス結合型ベシクル / 埋込型医療デバイス / 細胞外小胞体 |
Outline of Research at the Start |
脱細胞化組織(ECM)は人間の寿命が尽きるまで埋植可能(Destination Use: DU)なデバイスを構成するDUバイオマテリアルのモデルと考えられる。脱細胞化組織の構造的因子および液性因子に着目し、血液適合性、抗炎症性、組織再構築能の評価からDUバイオマテリアルの設計指針を獲得する。構造的因子は種々の脱細胞化法で作製されたECMの生体機能の比較により検討する。液性因子は、サイトカイン類およびECM結合型細胞外小胞体に着目して生理機能を解析する。構造因子と液性因子の連動・相関に注目し、それらの因子を繊維化コラーゲン組織上に実装して生体機能を確認し、DUバイオマテリアルの概念を実証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
人間の寿命が尽きるまで埋植可能(Destination Use: DU)が可能なバイオマテリアルの開発を目的として、脱細胞化組織を基盤として細胞外マトリックスの構造因子および液性因子の双方について生体機能の解明を行う。本年度はマトリックス結合型ベシクル(MBV)の検討、化学修飾脱細胞化心膜の炎症部位移植、免疫原性を統一的に理解するための遺伝子組み換え単球の網羅的研究、およびMBVとの比較のためのヒアルロン酸ナノゲル集積ゲルの調製と機能解析を行った。 筋組織からのMBV分離を試みた。採取は可能であったが採取量は非常に低かった。組織ごとにMBV含有量が異なることが明らかになった。脱細胞化組織を損傷部位に移植すると早期に周辺組織と一体化するが、癒着を引き起こす。癒着を防止するために脱細胞化組織表面を多分岐ポリエチレングリコールで被覆したところ、癒着を防ぎつつ表面に中飛細胞層を形成することが明らかとなり、超長期の生体内残存の可能性が示唆された。マクロファージ様細胞をゲノム編集してM1分化時に蛍光を発するように組み換えた細胞の分化過程を詳細に検討し、炎症性評価についての統一的知見を得るための条件を探索した。マクロファージに分化およびM1,M2様に分極させる際の培養時間依存性などについて一定の知見を得た。さらに脱細胞化生体組織の初期炎症抑制に用いることを考えて、ヒアルロン酸をナノゲル化し、さらに集積させたゲルを調製した。脱細胞化組織修飾について方法論を検討中である。 人工材料への実装のため、脱細胞化組織の特性を維持したままでゲル化あるいはコーティング素材とする技術について検討した。脱細胞化筋組織からのゲル調製を試み、高強度のゲルを得るためには、コラーゲンの含有量を高める脱細胞化および組織融解のプロセスが必要であり、それらを決定することで安定に筋組織由来ハイドロゲルを調製することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脱細胞化組織からのMBVの抽出について条件の最適化を引き続き進めており、種々の組織からの抽出量、粒度分布について再現性がほぼ得られつつある。MBV内部にmiRNAが存在することの確認ができた。生体内での長期安定性を獲得するために、初期炎症による軟組織の無秩序な増成を避ける必要がある。このために多分岐ポリエチレングリコールを脱細胞化組織に複合させたところ、期待通りの成果が得られた。さらに長期の安定性について検討を進める。M1分極については人工材料および脱細胞化組織の系統的な評価により、脱細胞化組織の低炎症性を明らかにすることができた。免疫細胞の分化プロセスについても知見が得られ、生物学的安全性評価のひとつとしての応用が期待される。新たな研究指針を獲得できた。ゲル化能については、検討項目の増加および種々のプロセスの再確認を行ったところ、脱細胞化組織中のコラーゲン含有量がゲル化に影響していることが分かった。筋組織中にはコラーゲン量が少ないため、ゲル化能を高めるためにコラーゲン以外のタンパク質を分離したところ、高いゲル化能を実現できた。脱細胞化組織を生体に埋植する際には出血・組織破壊は避けられない。それを起点とする炎症をステロイド等の薬物で抑制すると創傷治癒・再生が阻害される。それを避けるためにヒアルロン酸(HA)の応用を考案した。HAはそのままでは生体内滞留性が低いので、集合体を形成する機能を付与した。次年度以降に脱細胞化組織との複合化を検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
MBVの生物活性については、各種臓器・組織からの回収について量的な側面と生物学的な側面を重点的に調査する。特に創傷治癒能に優れた小腸や膀胱に再度焦点を当てて、ナノゲル粒子などとの比較によって、サイズの効果と生物学的な効果を同時に比較する手法を検討する。また炎症細胞の活性化抑制機能について、MBV以外の要素である組織構造について引き続き遺伝子組み換え単球を用いた検討を行う。マクロファージに分化後の動的な反応について顕微鏡による動態観察とM1,M2の活性との関係を探る。京都大学との協業を進め、エクソソーム、MBVと人工ナノ粒子間の同異性について確認を進める。MBV上に表出されているタンパク質の解析を行い、MBVの本質的理解を進める。また、動物実験による埋植試験により、中長期の低炎症性と周辺組織(特に癒着反応)の関連について検討する。脱細胞化組織のゲル化のための調製プロセスが確定したので、高強度ゲルの特性を調べる。コーティング対象の人工材料については、エレクトロスピニング法または3Dプリント法の適用の可否について脱細胞化組織ゲルを用いて検討を行う。
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