Project/Area Number |
21H05019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Broad Section D
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石原 一 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (60273611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋田 成司 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (60202529)
芦田 昌明 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (60240818)
余越 伸彦 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (90409681)
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Project Period (FY) |
2021-07-05 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥188,240,000 (Direct Cost: ¥144,800,000、Indirect Cost: ¥43,440,000)
Fiscal Year 2024: ¥34,060,000 (Direct Cost: ¥26,200,000、Indirect Cost: ¥7,860,000)
Fiscal Year 2023: ¥43,940,000 (Direct Cost: ¥33,800,000、Indirect Cost: ¥10,140,000)
Fiscal Year 2022: ¥47,450,000 (Direct Cost: ¥36,500,000、Indirect Cost: ¥10,950,000)
Fiscal Year 2021: ¥35,360,000 (Direct Cost: ¥27,200,000、Indirect Cost: ¥8,160,000)
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Keywords | 光圧 / 光マニピュレーション / 発光 / ナノ粒子 / オプトメカニクス / ナノダイヤ / 誘導放出 |
Outline of Research at the Start |
本課題では、環境(誘電環境、輻射環境)をデザインすることを戦略として、物質光学応答の最も基本的現象の1つである「発光」により生じる力を利用した新原理の光マニピュレーションを開拓する。すなわち、従来型の光マニピュレーションでは不可能であった励起状態にある分子やナノ微粒子の特定の線幅にある発光体のみを誘導光により引き寄せることや、発光によって機械振動を誘起するオプトメカニクスの可能性を実験実証する。さらに極低温環境下で極限的に狭い線幅を有する量子ドットの選別が可能な、新しい光学材料の創生システム開発に結びつける。また極低温環境下の高効率発光による自律型オプトメカニクスシステムの実現に挑戦する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、以下のように発光光圧技術の実現を明瞭に示すための典型的かつ具体的研究課題を取り上げている。[1]誘導放出による光圧発生の実証と発光ナノ粒子の選別を通した発光線狭線化。[2] 金属基板上のペロブスカイト薄膜の発光によるオプトメカニクス機構の実証。[3]極低温下でのμeVオーダーの超精密発光線選別とナノ粒子集団の超蛍光光圧の観測。これらのそれぞれにおいて以下のような成果があった。 [1]NV 中心を持つダイヤより遙かに細い線幅、かつ大きな振動子強度を持つSiV 中心を一つレベルで含有するナノダイヤの作製に成功し、これを水中で「吸収光圧」で選択的に輸送し、SiV含有ダイヤの濃縮、及び発光線幅の狭線化が確認出来た。単一発光中心含有ナノダイヤの初めての光圧輸送の成功である。誘導放出を用いた光圧発生の実証への大きな足がかりとなった。 [2] 超低振動冷凍機で熱雑音を究極的に抑え、機械的振動と発光特性の計測が可能な測定系を構築した。また、ペロブスカイトによる膜状機械振動子と鏡面基板からなる光共振器構造を形成し、発光強度の大幅な増大とピークシフトを確認した。これにより、薄膜の発光振動計測が可能であることが確認できた。これにより二次元材料を架橋して高精度な機械的共振測定を行う技術が整った。 [3] 超流動ヘリウム中で微粒子を捕捉・操作する要素技術を開発し、ナノ微粒子の光トラップに成功した。また、超蛍光状態にある粒子に対する光圧を記述する理論の定式化に始めて成功した。これにより、超流動ヘリウム中でナノ粒子の発光線の超精密選別を行い、また極低温下での超精密な発光光圧操作や超蛍光による光圧の観測を行う準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2021年度において「研究実績の概要」欄に記載した具体的研究課題[1][2]のそれぞれにおいて順調に研究が進展し、期待通りの成果が得られた。またこれに加え、次の3点が想定を超える進展であった。 [1]において、当初計画で利用する予定であったNV中心含有ナノダイヤからSiV中心含有ナノダイヤにターゲットを変更したが、SiVに関する分光データを取得したところ、線幅や振動子強度などにおいてNVに比べて極めて良好な性質が明らかになった。2021年度でこの成果が得られたことにより、後半期での研究が加速される可能性が出てきており、前半期での想定を超えた成果があったと言える。[2]については、前半期は極低温での測定装置の立ち上げと、良好に発光する機械ばね試料を作製し、その基礎的性質の評価と最適化への作業を進めることを計画していた。しかし、共振器での光閉じ込めによる発光の桁違いの増強や共鳴位置のシフトなど、3年目以降に得る予定であったデータが既に得られており、後半の光ばね効果の観測を加速することになると期待される。また[3]については、申請書段階から3年目以降着手する計画であったが、前半期で、ナノ粒子の超流動ヘリウム中での光圧捕捉・操作の技術がほぼ確立され、また超蛍光光圧を記述する理論的手法が完成し、半年から1年程度前倒しの進捗を得ることが出来た。 以上のことから「当初の計画以上に進展している」を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」欄に記載した具体的研究課題[1][2][3]において、それぞれ以下のように計画する。 [1] 前半で光学特性が把握出来た発光中心含有ナノダイヤに対して誘導放出を利用した選択的光圧操作に挑戦する。前半で得られた吸収光圧による結果と理論解析に基づいて構成した、誘導放出による発光光圧操作に最適な実験条件で誘導光を導入し、その運動を観測し、発光光圧操作を成功させる。 [2] 前半期で完成させた、ペロブスカイト発光による機械振動子デバイスを用い、機能分離型デバイスにおいて光共鳴条件、熱緩和時間、機械的振動数を独立制御しそれぞれの影響を切り分けた測定を行う。また、発光の変調情報を、他の量子系に伝達させ、発光によるオプトメカニクスの新機能を実証する。 [3] 前半で確立した超流動ヘリウム中でのナノ粒子操作技術を活用し、誘導光による操作でナノ粒子発光準位の超精密共鳴準位選択的操作を行う。また、含有される蛍光体の個数に応じたナノダイヤの選別に取り組み、さらに、超蛍光による光圧現象の観測に挑戦する。 最終年度には以上の成果を、発光による光圧操作の集大成として取りまとめ、それが拓いた学理、新しい技術分野の可能性を議論し、新原理のナノサイエンス、ナノテクノロジーとしての方向性を指し示す。
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Assessment Rating |
Interim Assessment Comments (Rating)
A+: In light of the aim of introducing the research area into the research categories, more progress has been made in research than expected.
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