Project/Area Number |
21H05026
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Broad Section E
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
丸岡 啓二 京都大学, 薬学研究科, 研究員(特任教授) (20135304)
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Project Period (FY) |
2021-07-05 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥188,110,000 (Direct Cost: ¥144,700,000、Indirect Cost: ¥43,410,000)
Fiscal Year 2024: ¥38,610,000 (Direct Cost: ¥29,700,000、Indirect Cost: ¥8,910,000)
Fiscal Year 2023: ¥38,610,000 (Direct Cost: ¥29,700,000、Indirect Cost: ¥8,910,000)
Fiscal Year 2022: ¥38,610,000 (Direct Cost: ¥29,700,000、Indirect Cost: ¥8,910,000)
Fiscal Year 2021: ¥33,670,000 (Direct Cost: ¥25,900,000、Indirect Cost: ¥7,770,000)
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Keywords | ペプチド医薬 / 金属触媒 / 有機触媒 / ラジカル触媒 / 精密合成反応 / 簡素化丸岡触媒 / 重水素化触媒 / ペプチド合成 / アミノ酸 / 超原子価ヨウ素 / 1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン / 水素原子移動触媒 / 可視光レドックス触媒 / かさ高いアミノ酸 / アミノ化合物 / フッ化アシル / ペプチド開裂反応 / ベンジルラジカル / カチオン性DABCO型触媒 |
Outline of Research at the Start |
ペプチド医薬品開発の重要性は昨今の国内外の製薬会社の動向から容易に窺え、その将来性には産学界から多くの期待が寄せられている。しかし、近年のペプチド医薬品の精密合成には未だ不十分であることが明らかになってきている。本研究では、代表者の長年携わってきた金属触媒やメタルフリー触媒の触媒設計研究を基盤とした新規精密合成反応の開発研究を活かすことによって、オリゴペプチド類の選択的合成や選択的開裂、選択的官能基化に焦点をあて、新規な金属触媒やメタルフリー触媒に加えてラジカル触媒を精密に設計、創製することによって、従来法では解決できない幾つかの問題点の抜本的な解決を図る。
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Outline of Annual Research Achievements |
簡素化丸岡触媒の分解を引き起こす脱プロトン化を抑制するため、重水素の同位体効果を利用して、重水素で置き換えた簡素化丸岡触媒を新たに創製し、これらの重水素化触媒が、グリシンやα-アルキルアミノ酸誘導体の不斉アルキル化において、従来の簡素化丸岡触媒より活性が高いことが認められた。続いて、新規ペプチド合成法を開発するため、エステル残基に潜在的な活性化基としてp-ヒドロキシフェニル基を有するアミノ酸エステルを用い、超原子価ヨウ素触媒で活性化する手法を開発した。また、シクロプロピル基を有するアミノエステルが超原子価ヨウ素触媒で活性化されることを見出した。一方、市販のKIとAgSCF3を組み合わせることにより、アミノ酸等のカルボン酸基をそのまま活性化する手法も考案し、嵩高いペプチドを効率よく合成する実用的な変換反応を開発できた。一方、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンから容易に得られる各種のアンモニウム塩の水素原子移動触媒としての可能性を調べるため、可視光レドックス触媒の存在下、不活性C-H結合を有する炭化水素類から炭素ラジカルの発生を試みたところ、α-ナフチルメチル基を有するアンモニウム塩が優れた活性を示すことが判った。さらに、この触媒の活性中心である窒素原子近傍に立体置換基を導入した嵩高い誘導体も合成可能であり、複数の反応点を有する基質の水素引き抜きに利用したところ、元の触媒よりも高い位置選択性を示すことを見出した。これらの結果をもとに、様々な基質の不活性C-H基の位置選択的なアルキル化反応を開発した。また、本触媒は脂肪族アルコールの活性化にも有効であり、α位のC-H結合を選択的に引き抜くことで相当する炭素ラジカルを発生させることが分かった。そこで、スルフィニルイミンに対するラジカル付加反応の開発に取り組んだ結果、目的の1,2-アミノアルコールを高い位置選択性で得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の次年度に当たり、幾つかの機器の購入などを行った。すなわち紫外可視分光光度計や次世代型フラッシュ精製装置などを新たに購入するとともに、真空ラインの配管を行うことによって、実験の迅速化に努めた。これにより、ペプチド医薬合成を指向する新規な触媒・精密合成反応の開発を目指して、(1)嵩高いアミノ酸の不斉合成を指向するキラル有機分子触媒の開発、(2)アミノ酸エステル類の選択的活性化に基づく高難度アミド縮合反応の開発、(3)アミド結合の活性化に基づく選択的ペプチド開裂反応の開発、(4)アミドN-H基の位置及び官能基選択的N-C結合形成反応の開発、(5)不活性C-H基の選択的活性化に基づく新規官能基化反応の開発の5項目に分けて研究を進め、以下の成果が得られた。すなわち、グリシンなどアミノ酸誘導体の不斉アルキル化において、簡素化丸岡触媒より活性な重水素化触媒を創製した。新規ペプチド合成法を開発するため、エステル残基に潜在的な活性化基としてp-ヒドロキシフェニル基を有するアミノ酸エステルを用い、超原子価ヨウ素触媒で活性化する手法を開発した。一方、市販のKIとAgSCF3を組み合わせることにより、アミノ酸等のカルボン酸基をそのまま活性化する手法も考案した。また、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンから容易に得られ、α-ナフチルメチル基を有するアンモニウム塩が、可視光レドックス触媒の存在下、水素原子移動触媒として挙動し、不活性C-H結合を有する炭化水素類から炭素ラジカルの発生に成功した。さらに、この触媒は脂肪族アルコールの活性化にも有効であり、スルフィニルイミンに対するラジカル付加反応の開発に取り組んだ結果、目的の1,2-アミノアルコールを高い位置選択性で得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の研究を推進したい。まず、「丸岡触媒」の基本骨格を用い、天然のアミノ酸を導入することにより、キラル触媒の実用的な創製を目指す。得られた光学活性アミノ酸を用いて、以下の反応開発を試みたい。 (1)アミノ酸のチオエステル類の活性化に基づく新規アミド縮合反応の開発:ペプチド鎖の効率的な伸長やかさ高いジアルキルアミノ酸との縮合反応に有効な新規ペプチド合成手法を開発する。潜在的な活性化基としてカルボン酸のチオエステルを用い、適切なフッ素化剤や塩素化剤などのハロゲン化剤による活性化の有効性を検討する。予備実験の段階ではあるが、SelectfluorやNCSなどが良い結果を与えることが見出されている。 (2)アミド結合の選択的活性化に基づく選択的ペプチド開裂反応の開発:超原子価ヨウ素反応剤とSelectfluorの組み合わせで、アミド結合が活性化されることを見出している。アミドの種類、超原子価ヨウ素反応剤の配位子効果や溶媒効果、反応条件など、アミド類の炭素-窒素結合の開裂条件を詳細に検討する。最初は簡単な構造のアミド類を用い、続いてペプチド内のアミド基の選択的開裂などに応用したい。 (3)不活性C-H基の選択的ラジカル活性化に基づく新規官能基化反応の開発:すでに本研究室で開発したカチオン性DABCO型触媒が有効なHAT触媒として見出されているため、市販の入手容易な各種のジアミン化合物を出発としてモノ(α-ナフチルメチル)アンモニウム塩に変換し、新たなHAT触媒としての有効性を詳細に検討する。これらのHAT触媒を用いて、多官能性化合物の段階的な官能基化反応の開発を目指す。 (4)その他のラジカル反応の開発:本研究室では、銅や鉄触媒を用いるアルキルシリル・パーオキシドのラジカル開裂反応を伴う選択的官能基化反応に取り組んでおり、このラジカル化学に基づいた研究をさらに進展させたい。
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Assessment Rating |
Interim Assessment Comments (Rating)
A: In light of the aim of introducing the research area into the research categories, the expected progress has been made in research.
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