Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
間欠力学系とは中立不動点を持つ一次元写像力学系であり,統計物理において間欠現象のトイモデルとして研究されている.本研究では間欠力学系について,初期分布およびピン留め条件を置いた下での長時間挙動を考察する.研究代表者の今までの研究を踏まえると,マルチレイ上の拡散過程におけるピン留め条件問題に類似する結果が得られると期待される.そのことを実際に示すためには,作用素更新理論において培われてきた転送作用素の摂動解析を精密化する必要がある.また間欠力学系の研究に加えて,作用素更新理論の枠組みからランダム力学系の間欠性の統計法則を定式化することも目指す.
昨年度に引き続きJon. Aaronson名誉教授(Tel Aviv大学)と以下の共同研究を行った:間欠力学系などの無限測度保存エルゴード変換に対しある種のピン留め条件を課すことを考える.そのときの有限測度集合への滞在時間過程に関する関数型の分布極限定理を得た.極限過程としてミッターク・レフラー過程に適当なランダムなスケーリングを施したものが現れることが分かった.なお先行研究により,このミッターク・レフラー過程はピン留め条件を課さない場合の極限過程であることが知られている.証明のために,作用素更新理論における局所極限定理や強更新定理など様々な評価を利用した.以上の研究結果を学術雑誌に投稿し,現在査読中である.またピン留め条件を課したときの無限測度集合への滞在時間に関する分布極限定理,いわゆる一般化一様法則についてもJon. Aaronson名誉教授と共同研究を進めており,現在投稿準備中である.一般化一様法則は元々ピン留め1次元拡散過程の極限定理として知られているものだが,研究代表者のこれまでの研究を踏まえると,間欠力学系を含むような無限測度保存エルゴード変換に対しても同様のことが成り立つと予想できる.しかし1次元拡散過程の場合の証明で用いられたファインマン・カッツ公式などは,無限測度保存エルゴード変換では用いることができない.そこで代わりに作用素更新理論における局所極限定理や大偏差評価を用いて所望の極限定理を得ることを目指している.以上の結果を研究集会「力学系の理論と諸分野への応用」などで発表した.
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
All 2022 2021 Other
All Int'l Joint Research (2 results) Journal Article (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Peer Reviewed: 2 results, Open Access: 2 results) Presentation (4 results)
Israel Journal of Mathematics
Volume: 251 Issue: 1 Pages: 3-47
10.1007/s11856-022-2430-3
Journal of Theoretical Probability
Volume: - Issue: 3 Pages: 1-32
10.1007/s10959-022-01219-4
数理解析研究所講究録
Volume: 2176 Pages: 20-27