Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2022: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2021: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
|
Outline of Research at the Start |
原子層積層系では, 単層にはない新奇な物性が発現する. 特に近年注目されているのが, 二つの単層物質を有限の相対角度で固定した, ツイスト積層系である. これまでの研究では,超伝導の発現など固定されたツイスト積層系の研究が進展している. 本研究では, 層間の相対的なスライドによる新奇な物理現象を理論的に予言することを目的とする. 一つ目は, 実際の実験系での観測を想定した非平衡効果を取り入れた新しいトポロジカルポンプ理論の構築である. 二つ目は, 層状積層物質の種類の多様性に着目した層間スライドによる輸送現象の予言である.
|
Outline of Annual Research Achievements |
これまでツイスト積層物質の層間スライドによる電荷ポンプは、ツイスト二層グラフェンに限られており、他の物質での物性は未解明であった。そこで令和5年度は他のツイスト積層物質に関する研究を行った. ツイスト接合した2つの3次元トポロジカル絶縁体の接合面における電子状態を理論的に調べた. トポロジカル表面Dirac円錐がブリルアンゾーン境界の中点に現れる場合, モアレ模様の異方性の有無に関わらず, 接合面の表面状態がモアレ相互作用により1次元電子状態を形成することを明らかにした. その電子状態は互いに反対向きのスピンを逆方向に伝搬し, スピン反転を起こさないような不純物散乱に対して安定なスピン流を生成する. その1次元電子状態はツイスト接合面に並行に配置され, 朝永Luttinger液体の2次元配列を実現することが期待される. さらに1次元状態間結合はツイスト角により調整可能であり, 2次元非フェルミ液体などの新奇物性を研究する新しい舞台となると考えられる. さらにこのような1次元電子状態は, ツイスト角が磁場と等価な役割を果たす, 有効的なランダウ準位として理解できることを明らかにした. また二層ツイスト系からさらに理論を展開し, バルク物質と二次元物質のツイスト系の電子状態も研究した. そのために, 国際共同研究をDi Xiao教授, Matthew Yankowitz教授を行った. グラフェンとグラファイトをツイストして重ねたモアレグラファイトの輸送現象の測定について, 理論計算を担当した. これらの成果は, 二層ツイストグラフェン以外の層間スライドによる電荷ポンプを調べるために必須の研究である. これらの結果により, ツイスト積層物質の層間スライドによる電荷ポンプを様々な物質に対し拡張することができる.
|