ポリ酸を基盤とした高速イオン輸送を可能とするモレキュラーアロイ結晶の創製
Project/Area Number |
21J11082
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 34010:Inorganic/coordination chemistry-related
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩野 司 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2022: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2021: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
|
Keywords | ポリオキソメタレート / イオン結晶 / プロトン輸送 / 永久双極子モーメント / ポリマー / 水素結合 / プロトン伝導 |
Outline of Research at the Start |
低炭素社会の実現に向けて、化石燃料に依存しない燃料電池の発電効率向上は重要な課題である。中でも、水素極と酸素極の間でプロトンの受け渡しを行うプロトン伝導材料の高機能化が求められている。現在までにポリ酸とポリマーからなる結晶性プロトン伝導体が報告されているが、固体高分子形燃料電池の電解質膜として普及しているナフィオンと比較すると、伝導度は未だ低い水準に留まっている。そこで本研究では更なるプロトン伝導性の向上を目的として、新たなプロトン伝導体設計の手法を提案する。具体的には、電荷が異なる二つのポリ酸を基盤としたモレキュラーアロイ結晶の合成を行い、電位勾配を生かした高プロトン伝導体の創製を目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は高プロトン伝導体創製を目指し、それ自体に永久双極子モーメントを有するポリ酸を基盤としたイオン結晶の合成に取り組んだ。昨年度の検討により副生成物として単モレキュラーアロイ結晶のみを単離することは困難であることが分かった。そこで今年度は視点を変えて細孔内の電位勾配を生じさせる新たな戦略として、永久双極子モーメントを有するポリ酸に着目した。具体的には、電荷と永久双極子モーメントの有無が異なるPreyssler型ポリ酸(K2P5W30O110]13-、[Ca(H2O)P5W30O110]13-、[Eu(H2O)P5W30O110]12-)とPAA、K+からなるイオン結晶を(化合物I, II, III)合成した。 単結晶X線構造解析から結晶構造を調べたところ、永久双極子モーメントを持つポリ酸からなるII, IIIは永久双極子モーメントを持たないポリ酸からなるイオン結晶Iとは異なる結晶構造であることが分かった。以上の結果から、Preyssler型ポリ酸からなるイオン結晶の結晶構造は負電荷の大きさではなく、ポリ酸の永久双極子モーメントに依存することを見出した。次にプロトン伝導度を測定したところ、相対湿度(RH) 75%におけるプロトン伝導度は、IIとIIIでは10-2 S cm-1オーダーの高プロトン伝導性を示す一方で、Iは10-3 S cm-1オーダーに留まった。プロトン伝導の活性化エネルギーは、I、II、IIIでそれぞれ0.44 eV、0.32 eV、0.35 eVであった。加湿条件下のIR測定(In situ IR)の結果、II, IIIではOH伸縮振動に由来するピークが低波長シフトしており、水素結合ネットワークが密になっていた。これが高いプロトン伝導性に寄与していることを明らかにした。
|
Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Report
(2 results)
Research Products
(9 results)