病原菌特有の金属取り込み機構を標的とした新規抗菌薬の開発
Project/Area Number |
21J11192
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 37010:Bio-related chemistry
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
村西 和佳 北海道大学, 大学院総合化学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2022: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2021: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | ヘム / nikオペロン / コレラ菌 / 抗菌薬 / 病原菌 / Fur / 鉄 / ニッケル |
Outline of Research at the Start |
薬剤耐性菌の種類が年々増加し続けていることから従来の作用機序とは異なる新たな抗菌薬の開発が求められている。本研究では、病原菌のみに存在する金属取り込み機構を選択的に阻害することで、病原菌のみに作用する抗菌薬の開発を目指す。具体的には、病原菌において鉄枯渇状態で発現が増大するタンパク質NikAがヘム輸送体として機能し、病原菌の生育に必須であることに注目し、創薬標的としての可能性を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年、これまで主流であったRNA合成阻害や細胞壁合成の阻害といった作用機序の抗菌薬に対する耐性菌が多発し、新規抗菌薬の開発が難航している。そこで、従来とは異なる作用機序による抗菌薬の開発が求められていることから、本研究では病原菌のみに存在する金属の取り込み機構を選択的に阻害することで病原菌のみに作用を持つ抗菌剤の開発を目指す。 申請者は、コレラ菌のニッケル取り込みシステムの遺伝子であるnikオペロンの上流に鉄依存生の遺伝子制御因子VcFurの結合配列Fur boxが存在することから、コレラ菌ではnikオペロンがニッケルではなく、鉄によって発現制御されている可能性を検討した。 偏光解消度測定による検討により、VcFurは鉄との結合によりFur boxにKd = 1.2 μMで特異的に結合すること、一方でニッケルとVcFurの結合はDNAとの非特異的結合を惹起することが明らかとなり、ニッケルを結合したFurは下流遺伝子の発現制御に寄与しないことを示唆した。さらに、大腸菌のFurが鉄錯体であるヘムと結合することが報告されていることからVcFurのヘム結合を追跡したところ、Kd = 1.3 μMで結合することが明らかとなった。また、VcFurのヘム結合の生理的意義を明らかにするため、偏光解消度測定によりヘムがVcFurとFur boxの結合に与える影響を検討したところ、ヘムの添加によりVcFur-Fur boxの結合が解離することが明らかとなった。本研究によりコレラ菌のnikオペロンは、ニッケルではなく鉄とヘムによって発現制御されていることが明らかとなった。 本成果は、2022年1月にJ. Inorg. Biochem. に受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
鉄存在下におけるVcFurのFur box DNAへの結合を評価する際に、Fe2+が酸化されてFe3+となることを抑制するために嫌気的条件を整える必要があった。また、Fe2+はバッファー成分と錯形成をして呈色することから、適切なバッファーや濃度を検討するために時間を要した。これらの精密な条件を検討するために当初の想定よりも大幅に時間を要し、当初の計画よりもやや遅れる要因となった。 一方で、国際紙へ成果を報告できたことに加え、論文投稿に並行して、次の標的タンパク質であるVCA1098やVCA1102の発現系の構築を進めており、次年度は早急にこれらのタンパク質の機能評価を実施する用意ができているという点で、研究計画を着実に遂行することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、nikオペロンが、コレラ菌のニッケル取り込み以外の機能も有する可能性を検討している。コレラ菌のnik取り込みシステムは、ペリプラズムないのニッケルをメタロフォアでキレートして細胞質へ取り込むことが知られている。ヘムもまたメタロフォアでキレートされた鉄であることから、コレラ菌のnikシステムがニッケルの取り込みと同様の機構を用いてヘムを取り込む可能性がある。現在、in vitroにおいてリポソームを用いたヘム取り込みの評価系を構築しており、この評価系を用いてコレラ菌nikシステムによるヘム取り込み機能を検討する。また、nikオペロンの下流にはヘム結合モチーフであるCys-Proモチーフを持つタンパク質VCA1102が存在する。VCA1102はコリスチン耐性遺伝子MCR-3の相同体であるが、この遺伝子がnikオペロンの下流に存在する例は他の生物種にはなく、コレラ菌特有のトランスポゾンによって取り込まれたものと推測される。VCA1102のコレラ菌における役割は明らかでない一方で、nikオペロンと共にFurを介して鉄とヘムによって制御される可能性が考えられることから、VCA1102の生理的意義の検討を実施するため、現在発現系の構築を行なっている。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)