Project/Area Number |
21J11900
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 01030:Religious studies-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河底 佑佳 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2021: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 宗教概念 / 宗教史 / 近世イギリス史 / イギリス宗教史 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、中世以来キリスト教を指す語として用いられてきたラテン語religioの訳語としてのreligionがいかなる過程を経て複数性を獲得し、近代宗教学とも地平を共有するreligion概念が近世イギリスにおいていかに創出されたのかを明らかにすることを目的とする。このために当時著された比較宗教的諸文献と哲学的「宗教」観の双方に着目し、歴史的・思想的側面から同概念の形成を跡付ける。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、religionの語の範疇にキリスト教と非キリスト教が共に含まれる過程を明らかにするために、近世イギリスにおける諸宗教記述をもとに、諸宗教包括的なreligion概念の形成と、同時代における偶像崇拝への注目に焦点を当てて研究を実施した。 同時代に諸宗教記述を行った文献の中に、S. パーチャスとA. ロスの各著作がある。彼らの著作においては、真の宗教と誤った宗教という区分はあるものの、キリスト教と非キリスト教の双方を含むreligion観が宗教史記述から立ち上がりつつあったと認められる。加えて両著作からは、聖書で示されるキリスト教以前の宗教に対する記述に付随して、偶像崇拝とその起源への着目が見出された。偶像崇拝の起源と歴史への着目が聖俗双方を内包するreligion観の形成に寄与したとの従来の指摘を考慮すれば、この着目はreligion概念の変化における重要な要素であろう。次いで検討した、世界の言語と宗教に関して論じたE. ブレアウッドによる著作と、17世紀後半に記され偶像崇拝を主題とするT. テニソンによる著作のうち、ブレアウッドにおいて偶像崇拝の定義は曖昧で、偶像崇拝の起源に対して重きを置くこともない。他方テニソンは、偶像崇拝と迷信の関係性を示しつつ偶像崇拝を定義し、また当時のイングランド国教会における儀礼的な行為に向けられた偶像崇拝という非難に対して釈明をする。religionの語に対する定義や偶像崇拝に対する重点の置き方は当時の著述家ごとに異なるが、ピューリタン革命に隔てられたブレアウッドとテニソンの著作における諸宗教や偶像崇拝への記述からは、政治・宗教的断絶を超えたプロテスタントの一致への希求が示唆される。これは、長い時を経て生じたキリスト教の相対化と諸宗教包括的なreligion観の形成を、近世イギリスに焦点を当てて描き出す軸の一つとなりうるであろう。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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